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ウーサー=キングスとウサギの可能性

「……」


 ふむふむ。


 ウサギをよく観察していたボクは、思い付きを実行した。


「……うさぎさん、立って」


 そう命じると、ウサギはスクリと立ち上がった。


 まぁここまでは普通の兎にもできることだろう。


 では次。


「……うさぎさんそのまま歩いて」


 ウサギさんはそのまま二足歩行で、とことこ歩いてきた。


 案外スムーズに歩けてビックリした。


 これでいい?っと小首をかしげるその姿に胸を締め付けられながら、ボクはすっと用意していたトレイにケーキとお茶を乗せて差し出した。


「……これを持って、パパンのところに行ってきて」


 ウサギさんはお盆を両手で受け取ると、当然のようにとことこ歩いて部屋を出ていった。


「……」


 普通に出来た。案外姿勢も安定してた。


 流石はボクのウサギさん。可愛さは伊達ではない。


 しかし可愛いだけが果たしてボクのウサギさんの価値だろうか?


 そう。ボクの思い付きとは、改めてボクの召喚するウサギさんがウサギだという先入観を捨てた上で何が出来るか試してみるということだった。


 ウサギさんはかわいさだけでも世界を獲れる気はする……だがしかし、それだけでは難しいことも多いだろう。


 ならば新しい可能性を模索する事も努力と言えるのではないかと思ったわけだ。


 結果、ボクのウサギさんはかわいいだけでないことが明らかになった。


「……ボクのウサギさんはもっとすごい」


 ウサギさんはさらなる成長が見込める、これは大きな前進である。


 さてどう伸ばそうかと唸っていると、廊下の方から悲鳴がいくつも聞こえて来た。


「えええええ! ウ、ウサギが歩いてケーキを運んでる!」


「か、かわいい! だけどこれが白昼夢なの!?」


 ガッチャン! ガラガラ!


「……」


 おや? なにやら、みんなを驚かせてしまったようだ。


 どうやら二足歩行でおやつを運ぶウサギさんはキュートすぎたみたいだった。


 屋敷がとても騒がしくなったのだが、ボクは続く計画を練るのでとても忙しくなったので聞かなかったことにしよう。


 これはいける。これが確信というものか。


 パパンがそう言う瞬間があるみたいなことを言っていた気がしたが、確かに。


 商人としての勘に目覚めた、ウーサー=キングス閃きの時であった。



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― 新着の感想 ―
[一言] かわいいはせいぎ
[一言] 不思議の国の?
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