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ウーサー=キングスと本音の望み

「ど、どういうこと? それってこのダンジョンを完全攻略するって言ってる?」


 トトさんは困惑して尋ねた。


 ボクも目を丸くしてサリアちゃんを見たが、サリアちゃんの答えはイエスだった。


「もちろん」


 これには意外だったようで、今度はリーナさんが慌てて止めた。


「そ、それっていくらなんでも危険じゃないかなサリアちゃん……。ボスモンスターの特性もわかんないし」


「危険なのはわかってるけど、こんなに強いギフト持ちが揃うなんてこと滅多にない。それに―――ウーサーがここまで来ることなんてもう絶対ないだろうし、それってまずくない?」


 どこか確信めいたことを言うサリアちゃんの言葉にボクの胸もドキリと高鳴った。


 パーティ全体に、奇妙な緊張感が生まれるのを感じる。


 そんな中でトトさんはあえて念を押すように言った。


「……そんなにまずいかな?」


「まずいでしょ。だって、城門のマークといい、この城のモンスターといい……絶対このダンジョン、ウーサーのギフトに無関係じゃないと思う」


 まぁ確かにあれほどまでに露骨にアピールされては、気が付かない訳はない。


 しかし前例があるわけでもない指摘に肯定してもいいのかという疑問はあった。


 リーナさんもおおよそ同じような考えの様で、頭を掻くと眉間に皺を寄せていた。


「……う、うーん。言ってることはよくわかるよ。でもそんなこと本当にあるのかな?」


「さぁ? 元々ダンジョンの理屈なんて、ホントのところは神様くらいしか知らないでしょ。トトはどう思う」


「どうかな? 個人のギフトとダンジョンが結びついてるなんて話は聞いたことはないけど。どちらも神様が人間に送ってくれたものなのは確かだ」


「トトは神様に言われて私達を誘いに来たんだよね?」


「巫女様の託宣だからそう……そこにも意味があるってこと?」


「たぶんあるでしょ。私達の役目はどう考えてもウーサーをこの先に連れてくことだと思う。だからウーサーに聞きたいの。この先に行くかどうか。別に引き返しても構わないけど?」


「……」


 少しだけ、挑発するような響きのサリアちゃんは事実ボクを試している。


 即答できなかったボクは、考えたことをただ口に出した。


「……ボクはボクのギフトの事なら何でも知りたい。でも流石にそこまでわがままも言えないとも思ってるよ」


 そこにウサギさんがいるなら行きたい。


 でもこれ以上の危険を上乗せするのもためらわれた。


 もうウサギさんのモンスターも城のダンジョンも見ることが出来ただけで、ボクの想像上の目的は達成できているとも言える。


 この上ボスを倒し、ダンジョンを攻略するなんて言うのは本来あまりにもリスクが高すぎる。


 でもボクの話を聞いたサリアちゃんは人差し指を立て、ボクに告げた。


「危険かどうかはこの際どうでもいい。私はそんなリスク切り伏せてでも君の望みを叶えたいと思ってる」


「……な、なんで?」


「な、なんでって……私がダンジョンに誘ったから。当然うま味がないと立場がないじゃない」


「……もう十分なのでは?」


「観光したらもう十分? 馬鹿言わないでよ。ウーサーのギフトは昔から特別だって思ってた。私でさえものすごく気になってるのに、ウーサー自身があっさりあきらめがつくなんてことある?」


「……」


「ありえないでしょ」


 ありがたい話ではあるけれど何でとは思う。


 サリアちゃんの表情はでもいつになく真面目で、冗談でも何でもないと言うのは長い付き合いで一目瞭然だった。


 だからボクは迷うのは止める。


 正直知りたいという欲求はすでにに限界を超えているのだから。


「……ボクは、行きたい。このギフトの事をもっと知りたい。だってボクはこのギフトが好きだから」


「うん。知ってる。任せなさい。剣聖の力、今度こそあんたに見せてあげるんだから」


 いやいや剣聖のすごさならずっと見せてもらっていますとも。


 そんなすごい彼女達がこの先に連れて行ってくれると言うのならこれ以上頼もしいことはない。


 このウーサー=キングス。ここまで言われては引き下がるわけにはいかなかった。


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