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ウーサー=キングスともっともな心配

 新しく発見されたダンジョンの話が慎重に扱われているのには理由があった。


 ダンジョンは莫大な資源をもたらす宝箱でもあるが、同時に神々の試練である。


 手つかずのダンジョンともなれば、手つかずの財宝やアイテムが山のように眠っているが、その数に比例するように罠もモンスターも山のように詰め込まれているのは必定だった。


 ある意味人間用のトラップとも言うべき危険な場所になっているのは疑いない。


 まぁ、危険である。


 その上神々の神託があるレベルともなると更に危険度は跳ね上がるので、探索する人間にも相応の実力が求められるというわけだ。


 だがしかし、そんな危険に挑む前に、ボクは最大の試練に立ち向かわなければならなかった。


 おそらく両親は激しく反対するだろう。


 しかし今回、ボクとしては何としても説得する心算だった―――のだが。


「……ダンジョンに行きたいのです。パパン、ママン」


「いいよん」


「気を付けて行ってきなさいね」


「……?」


 あれ? あっさり認められてしまった気がしたのだけれど、勘違いかな?


 ボクはきょとんとして、いやいやまさかと念を押してもう一度尋ねた。


「……いいんですか?」


「いいよん? ウーサーが必要だと思ったんだろう?」


「反対してもこっそり行ってしまいますものね。ならしっかり準備させた方がいいわ」


 ……うっ。さすがにそんなことはあるかもしれない。


 ボクは反省しつつも、理解度の高さに涙が滲んだ。


「……本当に行ってもいい?」


 もう一度聞き返すと、にっこり笑ったパパンママンは、力強く頷いた。


「いいのねん。お土産をよろしくなのねん」


「ママンにもよろしくね」


「……もちろん。期待してて。そのダンジョンはウサギのダンジョンらしいから」


 この話が、ボクのところに舞い込んだのは、まさに神の采配だと思う。


 もし反対されたら、この情報で無理やり説得するつもりだったくらいだ。


 きっとこの運命はボクのギフトに深いかかわりがあるはず。


 ギフトが深く根差すこの世界で、こんな直感があると言えば無視できないし、喜んでくれると思っていたのだが……。


 その話を聞いたパパンとママンは急に眉を潜めていた。


 おや? さっきまではそうでもなかったのに、とたんに立ち込める不安の気配にボクは訝しむ。


「……どうしました」


「いや、ウーサーは普段は冷静なのに、ウサギさんの話になると目の色が変わるからねん?」


「ちょっと心配になったわ。ウサギさんが沢山いても、興奮してうっかりしない?」


「……!」


 だ、大丈夫なのねん。


 いや、うん本当に……大丈夫だと。思うよ?


 言われてみたら確かに冷静でいられるだろうか?


 いやでも、納得するわけにもいかずにボクも大いに不安になってしまったが、全力のポーカーフェイスで平静を装った。


 でもね、このウーサー=キングスこの両親の前でそれがうまく出来た気はしなかった。


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