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ウーサー=キングスと勇者の相談

「~~~おいしっ! なにこれ! かわいいし!」


 つい先日出会った勇者トトさんが、ウサギカフェで季節のウサギさんケーキを食べている。


 となりで「ウッウー!」と同じく大喜びしている勇者ウサギさんはケーキも普通に食べているのは驚きだった。


 いやまあいいんだけど、その前にトトさんはボクに用事があってここを尋ねてきたようだった。


「……それで、ご用件は?」


「はっ! そうだった! この間話したダンジョンの件で、君のことを調べさせてもらいました」


「……先日はちょっと興奮しすぎました」


 これは気を遣わせてしまったみたいだ。実に申し訳ない。


 冒険者でもないのに、ダンジョンに連れて行って欲しいとはいきなり言われても非常識な話だ。


「そうなの? ああでも、実は君に是非お願いしたいことがあるんだ」


「……何でしょう?」


「剣聖と大魔導士の二人を紹介してほしいんだよ。君なら両方と顔が利くと聞いたんだけど?」


「……」


 ああなるほど。あの二人を仲間に加えたいのか。


 この数年で一層力をつけ、名実共に町で最強の冒険者となった二人は、冒険者の中でも売れっ子である。


 今もどこかでモンスターを討伐していると思うが、捕まえるのは難しい。


 だが連絡をつけるとしたら、ボク以上の適任はいないと思う。


 ウサギさんを通した簡易連絡なら、ウサギさんをパートナーにしている冒険者に限ってだが実際に呼び戻すだけならば難しくない。


「……なるほど、連絡を取ることはできます。しかし気は進みません」


「な、なんで?」


「……ボクの連絡手段は緊急用で、使ったら仕事を中断させてしまうかもしれないから」


 それはトップの冒険者が対応するような危険なモンスターを放り出すようなことになりかねない。


 さすがにそれは気の進まない話だった。


 ボクのギフトは、人々を助けるためにあるんであって、それで邪魔をするようなことはあってはならないのである。


 ボクが渋るとトトさんは手を合わせて頭を下げて来た。


「そこを何とかお願いできない? 町に近い場所のダンジョンは危険だから、少しでも強いメンバーで様子を見に行きたいんだ」


「……他の冒険者ではダメですか? この町の冒険者はみんなすごいですが」


「ダメじゃないけど。巫女様のご推薦なんだ。いい結果を導くなら剣聖と大魔導士を探しなさいって」


 二人を探すことに理由があるということか。


 巫女様が何かはわからないが、なにかギフトがらみのすんごく当たる占いのようなものだろうか?


 そう言うギフトもあるのかもなっと、ボクは大雑把に理解した。


 とするとどうすればいいかなと、ボクが珍しく真剣に悩んでいるとカランコロンと店のベルが鳴る。


「……ああ、疲れたな。こういう時は甘いものに限る」


「確かに。同意しかないです……」


「……」


 そしてものすごく聞き覚えのある声が聞こえて、ボクは顔を上げた。


 入り口から入って来たのは勇者トトさんご所望の、立派に成長した剣聖サリアと大魔導士リーナのコンビだった。


「…………あの人たちですね。帰って来てたみたい」


「え!?」


 そんなことある?っと勇者が驚いているが、ボクも驚いた。


 かっこつけて、キリっと言ってしまった後にこれである。


 ボクは水を一口舐める。


 ウーサー=キングス、これが運命というものなのかと、勇者の運命力に慄いた偶然に赤面する午後のティータイムの出来事だった。


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