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ウーサー=キングスと商談相手

 5年前、とある事件でダンジョンの中で死にかけてしまったボクはダンジョンに行きづらい感じになっているわけだが転んでもただでは起きないのが、商人魂である。


 ここはそもそもダンジョンの町。


 ダンジョンで儲ける可能性があるならば、模索しない手はない。


 そのための能力ならボクはすでに持っていた。


「……ダンジョンに行っておいで」


 そんな指示を出してとあるウサギさんを送り出す。


 すると何日かして、大きなモンスターを倒して持って来てくれた。


 自分で直接行くよりは効率が落ちるが、ギフトに成長を感じるのでそっち方面でも無駄ではない様子である。


 モンスターは素材としても取り扱いされていて資金にもなる。


 冒険者ではない身の上では売り先には困ったが、こういう時頼りになるのが冒険者の友人だった。


「いいのか? こいつ下層のモンスターだぞ? 俺達挟まなかったら丸儲けだってのに」


「……とっても助かります。ありがとうございました」


 やはり、モンスターの素材を預けるなら冒険者に限る。


 他にもウサギさんはアイテムや財宝の類を持って帰って来ることもあったが、そっちはダンジョンに入っていないボクが商人としての腕を見せればよい話だった。


 品物を売る場所があるのはとてもありがたい。


 モンスターの素材もアイテムも丸っと最高効率で売りさばければ今後のウサギさん認知度アップ活動のための力をため込むこともできそうだった。


「まぁ俺達も換金のついでだから、別にいいさ。でも……どうやってこんな大物しとめたんだ?」


「……それは企業秘密です」


「そうか。まぁそうだな」


「……ええ。必要なものがあったら言ってください。出来る限り手に入れて見せますので」


「ああ。助かる。じゃあな」


 そして彼らが協力者として口が堅いのも素晴らしい。


 おかげで今回も無事商談は成立である。


 最初のお客様、冒険者『暁の風』との繋がりは今でも大切にしている。


 その名は冒険者界隈で轟いているけれど、幸い今もこの町を拠点にして活躍しているすごい人達なのである。


「……資金源にもなって、ウサギさん達も成長できる。こんなに素晴らしいことはない」


 それにダンジョンを使った検証はボクにとって大きな意味を持つと思っていた。


「……やっぱり強いモンスターだった。君はすごいね」


 そう声をかけるとボカンと今回モンスターを狩って帰って来た普通のウサギさんよりも圧の強いウサギさんが現れる。


 ボクが今回ダンジョンに送り出したのは、件の“迷宮のウサギさん”だ。


 迷宮のウサギさんは、ボクのギフトの中でも最高の戦力であるこは間違いない。


 他のウサギさん達も育っているけれど、それとは別次元の凄味をボクは感じていた。


 実際上級の冒険者でも手を焼くようなモンスターを無傷でこの子は狩ってきているあたり、秘めた戦力はでたらめである。


「……もっと仲良くなる必要があるけど」


 しかし残念ながら、彼を誰かに預けると言うのはためらわれるし、迷宮のウサギさんについて詳しく知ることは中々難しいだろう。


 名前からしてダンジョンで戦い続ければ何かありそうだが、冒険者でもないボクにはハードな話ではあった。


 ボクは迷宮のウサギさんを抱き上げその頭を撫でた。


「……まぁ、うん頑張ろう」


 迷宮のウサギさんは目を細めて、ピスピスと鼻を鳴らす。


 うん。かわいい。


 このウーサー=キングス。なんとなく色々あっても頑張れる気がした、悩ましくも充実したひと時である。


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