ウーサー=キングスと黄金のニンジン畑
ギフトは成長と共に強くなる。
そしてその原動力は、困難に挑もうとする強い気持ちである。
まさかの隠し能力にビックリなボクだが、うさキングの書に記された解説にボクは唸った。
ウサギの巣穴
ウサギの巣穴はウサギさん達の貯蔵庫である。
ウサギさん達はいつでもこの場所に戻り、ここからどこにでも行くことができる。
持ち帰ったモノ、彼らの経験、彼らの記憶はここに持ち帰られて保存されている。
ここは彼らの領域である。ギフト保持者が彼らの領域に敵を引き込めば、ウサギさん達は気合を入れて能力が上がる。
頑張れ。
「……がんばる」
一度に飛び掛かれるのは、召喚上限だが現時点のウサギさんの群れは、オオカミモンスターをすっぽり包んでなお余る。
もこもこと毛皮に覆われたオオカミは暴れているがウサギさん達は離れない。
攻撃しながらビッチリひしめくウサギさん達は、なんか知っていた。
「……これは、ミツバチの必殺技熱殺蜂球?いや、熱殺ウサ球?」
すごい熱が出ている。空気が歪むほどの蒸気の熱は一体どこから来ているのだろうか?
本当に家のウサギさん達は不思議な生き物だった。
何だろう……本当にビックリだ。
召喚限界まで戦うウサギさんに振り分けたが、これだけでは勝つことはできない。
人海戦術は、目くらましだ。
本命は別にあった。
戦闘技能を持ったウサギさん達。中でも選りすぐりの子達は、かなり育っている。
「……プチ魔法使いウサギにさんにプチ戦士ウサギさん……プチ重騎士ウサギさん」
どの子も面構えが違う。
「……プチ暗黒騎士ウサギさん」
そして一番成長を見せているのはこの子だろう。
誰の学習成果かは一目瞭然であるが、言及はすまい。
ただ職業が形になってきているあたり愛を感じる育成である。
間違いなく現在のウサギさん達の中では最大戦力だ。
その時、猛烈な勢いで回転したオオカミがウサギさん達の決死の攻撃を跳ね飛ばし、パッカーンとウサギさん達は空を舞った。
「ウオオオオオンンンンン!!!!」
怒りに歪むオオカミの青白い瞳がこちらを捕らえた。
様々な武器が突き刺さり、ダメージはある。
しかし、致命傷は無くかすり傷がいいところだった。
「……」
ボクはうさキングの書を開いて、オオカミを見据えると、今まで貯めに貯めたUPをすべてつぎ込んだ商品をウサギの巣穴に放り込んだ。
「……黄金のニンジン畑を見たことある?」
時間稼ぎは機能した。
ゴールデンニンジンは地面一面に生え。
うさ球に参加していなかった全てのウサギさん達が引き抜いてシャクシャク食べる。
実に可愛い。
同時に、黄金色の兵団となったウサギさん達は武器を手にして敵を睨む。




