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ウーサー=キングスとダンジョン

 ボクはボクのための拠点を手に入れた。


 でっかいウサギの看板がそれを示す証である。


 かわいい。それに尽きる。


 ちなみに看板は、ボクとウサギさんたちの合作である。


「……楽しみだな」


 この先どんな風にギフトが成長するのかわからないけれど、ウサギさんの可愛さは変わらない。


 さて商人の息子らしく、商売のタネを手に入れてホクホクのボクだったが、同時に大きな懸念があった。


 少々事が動くのが予定よりも早まってしまった。


 ウサギさん達を大々的にレンタルするとなれば、この可愛さだ、多くの人がウサギさんをレンタルしていくだろう。


 そうなるとボクが召喚できる上限を、今以上に増やせるものなら増やしておきたい。


 継続してスキルを使い続けることは今のところ召喚数を伸ばすのに効果はある。


 しかしもっと効率よく伸ばすのなら、今ここが試し時だろうと思う。


 ギフトは本来、神から与えられた戦うための力だと言われている。


 冒険者や、騎士。伝説に謳われるような勇者はギフトを極め、皆常識を大きく超えた能力を手に入れていたという。


 まぁそんなに大げさなことは言わないが、戦闘職の方々には、ギフト成長に関してのノウハウがあると思って間違いない。


 ボクはビジネス成功を目指して、まず向かったのは―――厨房だった。


「おやぼっちゃん。また戦闘の訓練ですか?」


「……近いけどちょっと違うね。実はギフトの育て方を聞きたいんだ」


「ギフトですか?……そうですね。なるべく使うこととか?」


「……それはもうやってるんだ。もっとたくさん成長させる方法はないだろうか?」


「ああ。なるほど……ふーむ。そうですね。これはぼっちゃんのギフトに当てはまるかはわからんのですが、ダンジョンに入った冒険者はギフトが良く育つとは聞いたことがありますな」


「……ダンジョン」


「極限の経験は、神々の試練。乗り越えればさらなる成長は約束されると……まぁそう言われておるんですわ。知っているとは思いますが」


「……なるほど、聞いたことがある」


 ダンジョン。


 その存在を知らない者はまずいないだろう。


 突然土地に現れるモンスターの巣穴は、神々が人に与えた試練とも言われていた。


 その話が本当なら、ダンジョンでの冒険がギフト成長を助けていたとも受け取れる。


 検証でも戦闘でギフトは著しく成長する可能性はあった。


 ならそれをダンジョンでやればより短時間でギフトを成長させられるのは道理である。


「まぁ危険なので、あまりお勧めはしませんが。ぼっちゃんのやり方が今は一番いいと思いますので、気長に頑張ってみるべきでしょう」


「……なるほど。ありがとう」


「ああ、いえいえ。ところでぼっちゃん。夕飯に食べたいものはありますか?」


「……ハンバーグ。目玉焼きが乗った奴」


「了解しました。任せてください」


 ボクはリクエストを残して、厨房を去った。


 思った以上に有益なアドバイスをいただいてしまった。


 まさにハイリスクハイリターン。


 時には商人にも当てはまる話である。


 しかしリスクもできるだけ抑える策を考えるのも鉄則だろう。


 ただダンジョンが危険なのはわかり切っている。大人の冒険者に依頼すればお断りされてしまう可能性もあるかもしれない。


 そこで思いついたのは、今売り出し中の同年代だった。


「よし……協力してもらおう」



「引き受けた! 一緒に行こう!」


「いや私はちょっと……」


「いや、行こうよ! 指名の依頼なんだからがんばろうじゃないか」


「うううう……はい」


「……」


 ボクは二人に無言でウサギを差し出した。仲よくしてほしい。


 ボクがダンジョン探索の依頼を出したのは、剣聖サリアちゃんと大魔導士リーナちゃんの二人。


 個人的なお願いなので料金はお友達価格である。


「……じゃあ、行こう」


 やはり、ここぞという時に頼りになるのは……友人とのコネ!


 ウーサー=キングス、人との縁こそ宝だと調子のいいことを考える、一日の始まりだった。


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