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ウーサー=キングスとガーディアンウサギ

 でもやっぱり不安なのでボクらは後日実験をすることにした。


 ターゲットはプチボアという豚型のモンスターである。


 比較的脅威度の低いモンスターの情報を冒険者ギルドで教えてもらい、護衛という形で外に出た。


 ウサギさん(剣士)ウサギさん(槍使い)ウサギさん(盾使い)ウサギさん(荷物持ち)ウサギさん(ノーマル)を呼び出し、リーナさんを守る布陣を敷いた。


「か、かわいい」


「……そうです。かわいいのです」


 チョット凛々しいウサギさんも良いものだ。


 この可愛さが分かるのなら、それすなわち同士である。


 目的の場所に狙いのモンスターがいたのはさすが冒険者ギルドだった。


「うう。いました……ボアは特に苦手です」


「……なぜ?」


「魔法を使う前に轢かれるんですよ。とにかく速くて凶暴ですー」


 この結果次第でリーナさんの依頼はお断りするかもしれないので、頑張って欲しい。


 物陰に隠れていたボクらは、さっそく勝負に出ることにした。


「……リーナさん。詠唱を」


「は、はい!」


 そしてウサギさんたちは武器を構えて前に出た。


 プチボアはその突進力が売りのモンスターで、敵と認識したとたん、一直線に標的に向かってくる。


 この突進を止めることが出来るのなら、雑魚相手ならという注釈はつくが足止めは可能だろうと判断した。


 でもどうだろう、ウサギさんだからな……。


 一定の力があることは知っていたが、見た目無謀に過ぎる気がする。


 ボクは半信半疑である。


 助走をつけたプチボアは猛烈な勢いで突っ込んで来た。


 そして迎えうつのはウサギさん(盾)である。


 真正面に盾を構えて、姿勢を低くする。


 でもいくらなんでもウサギとボアじゃ真正面から受け止めるのは無謀なんじゃないかと、ドキドキしながら逃げ腰になっていると衝突の瞬間―――ウサギさんが動いた。


「!」


 絶妙に角度をつけ、逸らす。


 バランスを崩したプチボアはよろけて、勢いが落ちた瞬間、他の前衛が飛び出した。


 剣士が切り込み、槍は絶妙な間合いを保ちながら急所を狙い打つ。


 確実に成長しているウサギさん達は、ボアの攻撃をかいくぐるだけでなく、弱いながらもダメージすら与えていた。


 意識をウサギさん達に完全に持っていかれたプチボアはリーナさんには目もくれない。


「――――行きます!」


 そして呪文は完成した。


 ウサギさん達が最も得意な逃げ足を発揮し飛び退くと、無数の光弾がプチボアに殺到して、大爆発を引き起こした。


 『大』爆発だ。


 完全なオーバーキルの魔法はプチボアを周りの地面ごと吹き飛ばし、丸焼きの出来上がりである。


「……すごい」


「や、やりました! ありがとうございます!」


「……さすがです。今夜はボアの丸焼き?」


「そ、それはさすがにどうでしょう?」


 あまりにもうまくいったウサギさんとの連携に一緒に飛び跳ねて喜んでいるリーナさんを見たボクは内心余りの威力に息を飲んだ。


 だがそれ以上に衝撃だったのはウサギさん達だった。


「……技量が上がってる」


 ギフトの成長が原因なのか。それとも凄腕冒険者と一緒に荷物持ちをしている影響なのかはわからないけれど、間違いなくうまい。


 なるほど、ウサギさんはモンスター豚よりも強いのだな。


 こう、ボクの判断は間違いではなかったと心から思った。ウーサー=キングス、ウサギと魔導の上澄みを覗いた一日である。


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― 新着の感想 ―
[一言] 赤くて角付きの三倍早いウサギさんは?
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