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ウーサー=キングスとポーターウサギ

「……これはすごい」


 ウサギを町に放ってから数日、その変化は目に見える形で分かることになった。


 日課のウサギ召喚をしようと“うさキングの書”を開くと、違いは一目瞭然だった。


 ウサギ(荷物運び)


「……おお~」


 どうやら彼らは立派に荷物持ちを頑張っているようだ。


 思惑通りしっかりと荷物運びの技能が増えていて、ボクはご満悦である。


「……荷物運びウサギを召喚」


 さっそく増えた項目を指定して召喚。


 ポコンといつも通りに出てきたウサギさんは書に召喚済みとして刻まれる。


 しかしその横には(荷物運び)とある。


「……これは増やせる?」


 ポーターとしてスキルを積んだウサギさんを、再び召喚できた。


 これはすごいことのような気がする。見た目荷物運びのウサギさんは、少し体格が良い気がする。


 かわいいと言う部分が共通しているし、正直あまり違いはわからないが、変化があるのはなんとなくわかる。


 では続いて、ノーマルと何が違うのか検証してみるとしよう。


 僕は新たにノーマルのウサギさんを召喚して、ひとまず模擬戦をお願いしてみた。


「……」


 鼻を鳴らすウサギさんノーマルは、ぴょんぴょんステップを踏みながら、冒険者ウサギさんに殴りかかった。


 しかし動きは両手を振り回すぐるぐるパンチである。


 荷物運びウサギさんは冷静にそれを観察し、ひょいっと簡単に避けてノーマルウサギさんを転ばせた。


 盛大にずっこけたノーマルは涙目でコロコロ転がると壁に激突しポカンと煙を出して消えてしまった。


 これは確実に、荷物運びウサギさんは町の冒険者と都の旅の経験を持ち合わせているようだった。


「……」


 でも、これは危険だと、ボクは理解した。


 ウサギさんだから大丈夫そうだが、これが人間なら積んだ経験を蓄積できる。そして、経験を蓄積した者を増やせるなんて言うのは反則極まりない話だった。


「……黙っていた方がよさそう」


 それは技術の泥棒だと言われても、言い訳出来ない。


 しかし教えてくれた人と、頑張って覚えたウサギさん達の努力のたまものであることもまた事実だろう。


 可愛さの中にキリッとした表情をしているウサギさんをボクはとりあえず頭をなでてねぎらった。


 結果が良好なのでなるべく広い範囲でウサギさんを貸し出していくとしよう。


 召喚数が多ければ多いほど、そしてウサギたちが成長すればするほど、ボクのギフトも成長するのだと、うさキングの書が言っている気がする。


 それに、大きすぎる恩恵もあった。


 うさキングの召喚可能ウサギさんの数は、更にすごい勢いでその数を増していた。


 しかも呼び出すウサギさんはすべての経験を糧により優秀になっていくおまけつきである。


 これはウサギさんの時代到来だった。


「……僕が頑張れば、その分町が、ウサギさんに埋め尽くされてゆく」


 それは素晴らしい光景である。


 まずはこの町をウサギ色に染める。


 ウサギ王国への道筋を見た、ウーサー=キングスであった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ノーマルウサギかわいい!荷運びウサギもかわいい!
[良い点] 富、名声、力、ウサギ、この世の全てを手に入れた男、ウサギ王ウーサー=キングス、彼の死に際に放った一言は人々を世界へ駆り立てた。「俺のウサギか?欲しけりゃくれてやる、探せ!この世の全てをそこ…
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