人類の野望
旧石器時代から、人類はより良い大地を探し続けている。
豊かな大地、豊かな作物、豊かな資源。
それを夢見て、突き動かされてきた。
争い、疫病、飢餓のない場所を求めて、ホモ・サピエンスはアフリカを飛び出し、世界各地に散乱する。
世界中に散開しても人類が持つ「夢の大地」に対する羨望は消えなかった。
より良い大地はまだあるはずだ、と願い。他の部族との争いを繰り返していた。
安全と自由。人はそれを求めるなかで、夢の大地を空想しそこを目指している。
『ジパング』と呼ばれる島国を夢見て、国を滅ぼしかけた詩人がいた。
哲学者、王、考古学者。好奇心に駆られて、人は見たことのない楽園を夢見ていたのだ。
『ヴィンランド』、『アトランティス』、『レムリア』、『オケアノス』。
海、国境、人種を越えて。人はより良い地平を求め続けた。
測量によって地球儀が完成し、人工衛星によってそれが科学的に証明された。
地球にはもう残される大地がないことが分かっても、人が持つ楽園を求める欲求は消えなかった。
人は空を見上げ、その先にある大地を指差した。
「まだある」
ずっと遠くの星。そこに人々は楽園を夢見た。
そして見つけたのだ。
「人の住める星」それが発見されたという情報に、人々は歓喜した。
酸素も気温も人類に適した星。それが発見されたのだ。
異星『H2P4』その惑星には人類の夢が詰め込まれていた。
その惑星の実施調査を行うため、一人の男が宇宙へと飛び立った。
男の名は「ジョン」、国連宇宙探査員の一人である。