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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
7:シルトリリチ星系

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310/319

310:改めての ※

今話は第三者視点となっております。

ご注意ください。

「とまあ、こっちの現状はそんな感じだな」

「流石はサタと帝国軍っすね。こんな短期間で、それだけの対策を実際に積めるんすか」

「ジョハリス様。ただの帝国軍では無理だったと思います。この艦隊に居る部隊は精鋭ですから」

 サタが淹れた茶を飲みながら、サタ、ヴィリジアニラ、メモクシ、ジョハリスの四人は、お互いの仕事が現在どうなっているかを報告し合った。

 内容としては、現地到着まで残り丸四日あるにも関わらず、既に準備万端と言っても過言ではない状態であると、第三者なら判断するところだった。


「……」

「サタ。不安ですか?」

「不安だな。相手が相手なだけに」

 だがそれほどの準備をしてもなお、サタは不安をぬぐい切れずにいて、ヴィリジアニラはそんなサタへと視線を向ける。

 そして考える。

 どうすれば、サタの不安を和らげることが出来るだろうかと。


「……。気分転換にパフェでも作って食べましょうか。『シェイクボーダー』の倉庫にある材料を集めてくれば、それなりに立派な物が作れるはずです」

「えーと?」

「勿論、サタの分も作ります。サタ、私は気づいていますからね。『タマイマゼカワ』に合流して以降、食事を楽しんでいる余裕がないことに。今のサタに必要なのは、考えを詰める事ではなく、一度休憩をして状況を落ち着いて見れるだけの冷静さを取り戻す事です」

「あ、ああうん」

 そうして思いついたのは……ある意味でとてもヴィリジアニラたちらしい行動、つまりは食べる事だった。

 ヴィリジアニラは他の三人を押して、『シェイクボーダー』の船内にある倉庫から各種アイスを持ってきて、ガラスの器に盛り、缶詰のフルーツやあんこ、急造の白玉も乗せて、適当なれど自分たちが美味しいと思えるようなパフェを作る。


「「「いただきます」」」

 そして食べる。

 スプーンで乗せられたフルーツをすくって口へと運び味わって、続けてあんこを、白玉を、アイスを同じようにすくって食べていき、やがては単品ではなく混ざり合ったものが口の中へと運び込まれていく。

 初めはそれぞれの具そのもののシンプルな味がして、それから少しずつ複数の甘い味が入り混じった複雑な味へと変化していく。

 それはまるで、出身どころか種族すらも違う者たちが出会い、交流し、一つの何かを作り上げていくような、今のサタたちの状況そのものを示すような味だった。


「……」

「落ち着いてきましたか?」

「何となくと言うかたぶんと言うか……まあ、さっきよりは落ち着いていると思う」

「そうですか。なら良かったです。サタは確かに肉体的には物を食べなくても大丈夫なのかもしれませんが、精神の充足と言う意味でも食べると言う行為は大切な事です。なので、人並程度には食べる事はサタにとっても大事な事だと思いますよ」

「そうなのかもな。俺が自分で思っていた以上に、食事は重要な事になっていたのかもな」

 しかし、そんな高尚な考えをわざわざ思いつき、抱く必要はないものである。

 今のサタにとって重要なのは、純粋に美味しい、満たされたと言う気持ちであり、ヴィリジアニラと一緒に作ったパフェを食べたサタの内には、その思いが確かに満ちていた。


「……。サタ、折角なので一つ」

「なんだ?」

「私とサタは現状、婚約者と言う立場です。そして、私からこの立場を捨てるつもりはありません。私は男女の仲と言う意味でも、サタの事を慕っています」

「……。ヴィー? 何を突然に……」

「サタの事なので。このパフェを食べ終わったら、またフナカに対抗できるかどうかで悩む事でしょう。ですので、その悩みで頭の中が満たされてしまう前に、別の何かで満たしてしまおうかと思いまして」

「えぇ……」

 ヴィリジアニラの言葉にサタは呆然とする。

 なお、メモクシとジョハリスの二人はいつの間にかこの場から逃げ去っており、リビングには二人以外の影はない。


「返事は……どう返しても死亡フラグとやらになってしまうでしょうから、今は無しにしておきましょう」

「無言も返事扱いになってしまいそうなのだけども……」

「そうかもしれませんね。ただそうですね。現状、私の目は私自身の身に降りかかる脅威を感じ取っていません。そして、今の私が脅威に感じるか否かはサタが対処しきれるかどうかである事に疑いの余地はない。ですから、サタはフナカに対しては安心して対処をすればいいです。何とかはなります。私の目がそれを保証しましょう」

「……」

 ヴィリジアニラが手を伸ばす。


「サタ。久しぶりに、と言うほどではないかもしれませんが」

「分かった」

 対するサタは片膝を着きつつ、伸ばされたヴィリジアニラの手にゆっくり、優しく、手を重ねる。


「私、ヴィリジアニラ・エン・バニラゲンルート・P・バニラシドの名の下に、私の婚約者であるサタ・コモン・セーテクス・L・セイリョーの真なる力の開放を許可します。目標はバニラ宇宙帝国の影に潜み脅かす神、フナカ=コンプレークス。彼のものと彼のものに与するものを倒すために、どうか私に力を貸してください」

「承った。フナカとフナカに味方するものたちを倒す事に全力を注がせてもらおう。俺の婚約者であるヴィリジアニラの為に」

 そうして、人知れず誓いは交わされた。

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― 新着の感想 ―
[一言] え~と、つまり ヴィー様「フナカをケーキ代わりに入刀儀式しましょう」 こうですか?
[一言] サタside 「これが勝利の鍵だ!」 フナカside 「これが敗北の鍵だ!」 になりますか?
[一言] >既に準備万端と言っても過言ではない状態であると、第三者なら判断するところだった サタにとってはまだまだ準備不足なのでこの辺はフナカと直接相対した経験があるかないかの違いでしょうね。 >…
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