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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
6:バニラシド星系

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287/319

287:宇宙怪獣シュウの制圧

『せいっ!』

「許す……なびゅっ!?」

 先頭を行く宇宙怪獣シュウの頭部にパワードスーツの俺の拳が叩き込まれる。

 ただそれだけで魚のような形をしたエネルギーの塊であるような宇宙怪獣シュウは動きを止め、少しずつ萎んでいき、光を消していき、そのまま消える。

 これで対宇宙怪獣シュウ用のmodの有効性は確かめられた。


「よしっ! ヴィー!」

『分かっています!』

「「「!?」」」

 だから俺はその場で暴れ出す。

 素早く手足を動かし、触手を動かし、とにかく当てる事を第一に仕掛けていく。


 対する宇宙怪獣シュウも、こちらの攻撃が致命的なものであると理解しているのだろう。

 数を生かすように一斉に動いて、こちらの攻撃から逃れると共に突破を図るが、先に放った墨球によって構築された迷路は宇宙怪獣シュウの数を削ると共に速度を落とし、ヴィリジアニラが対処できる範囲で宇宙怪獣シュウが到着するように調整。

 結果、宇宙怪獣シュウはまるで大きな口を広げた生物の腹の中へと自ら突っ込んでいくかのように、次々に処理されていく。


『ジョハリス。迷路を強行突破しようとしている宇宙怪獣シュウは居ますか?』

『居るっすけど、球体の効果で速度を含めた能力がガタ落ちしているっすから、帝国軍による支援砲撃で見逃しなく処理されているっす』

『ヴィー様。惑星バニラシドP3周囲のコロニーからも砲撃が始まったとの事です。機材を流用する事によって、対応modや材料を用意したようです』

「つまり、此処を抑えておけば、確実に相手の戦力は削れるわけか」

 そうして俺たちが一か所で宇宙怪獣シュウを抑えているならば、現状を打破するべく宇宙怪獣シュウが別の手を打ってくる事は当然だろう。

 が、墨球の範囲を強行突破すると言う手段は帝国軍の尽力によって失敗したようだ。


『サタ。宇宙怪獣シュウはマガツキでもあります。転移の危険性は?』

「あるが、罠は張ってある。OSを読んだ限りではマガツキと同じ座標の空間を利用しているようだから問題ない。と、引っ掛かったな。消滅したが」

『なるほど』

 更なる別の手、転移による脱出はシブラスミス星系の件もあったので対策済み。

 相手もそれを理解しているから、これまでは使ってこなかったようだが……一縷の望みをかけて使ってきたみたいだな。

 綺麗に網に引っ掛かって消滅したが。


『さて、こうなると残りの手段は……』

『ヴィー様! 『異水鏡』に巨大な宇宙怪獣シュウの反応っす! どうやら、宇宙怪獣シュウ同士が合体して突っ込んでくるみたいっす!!』

『やはり量ではなく質で来ますか。ですがこれなら、どうとでもなりますね』

 次にやってきたのは、これまでの俺たちと同じくらいの大きさの宇宙怪獣シュウではなく、俺たちを丸呑みできるようなサイズの宇宙怪獣シュウ。

 大きな宇宙怪獣シュウは墨球の迷路を半ば無理やりに抜けると、俺たちを飲み込みにかかってくるが……。


「!?」

「まあな。なにせ、俺たちが使っているmodは宇宙怪獣シュウにしか効かない代わりに、宇宙怪獣シュウにとっては天敵以外の何者でもないmodだ」

 その口を閉じるように俺の本体の腕を二本出し、対宇宙怪獣シュウ用のmodを纏ったその腕で挟み込むことによって即死させる。

 当然、事象破綻は起きないし、爆発もさせないし、ついでに体内に格納されていた小型の宇宙怪獣シュウたちにまでmodは及んで、死滅させる。


『……。サタ、メモ、ジョハリス。先へと進みます。概ね片付いたと思うので』

「分かった。核の処理だな」

『かしこまりました』

『そうっすね。『異水鏡』で見ても、後はもう球体の効果込みなら帝国軍に任せて大丈夫だと思うっす』

 俺たちは墨球の迷路に存在していた隙間を完全に埋めると、宇宙怪獣シュウの核となっている多面体の物体が存在する場所へと近づいていく。


「一応言っておくが、此処からは俺に任せてくれ。専門だからな」

『お願いします。サタ』

 残った宇宙怪獣シュウだが、一部はこちらに向かってくる。

 が、俺でも対処出来る量だったので、普通に打ち払ってお終いだ。

 で、俺たちを無視し、強行突破によって墨球の効果範囲外に逃れようとしても、射線が通る位置にまで移動した時点で帝国軍によって撃ち抜かれる。

 ほぼ完全に宇宙怪獣シュウは詰んだと考えていいだろう。

 だがまだ完全ではない。

 元を完全に断たなければ、何処かでミスをして溢れ出てくることはあり得るし……なにより、あのフナカが時間経過で何も起きないようにしないとは少々考えづらかった。


『『異水鏡』による周囲の警戒はしておくっす』

『そうですね。感度を最大にして、探っていきましょう』

『私の方にもデータを送ってください。何か分かる事があるかもしれません』

 俺は宇宙怪獣シュウの核であり、多面体の物体にマガツキとフナカの力が混ざったそれ……渦を巻く光の塊の前に立つ。

 既に新たな宇宙怪獣シュウを生み出すことは諦めているようだが、それは己の目的を果たすことを諦める事とは全くの別だ。

 現に光の塊は不気味な脈動を……出来る範囲での事象破綻からの爆発を起こすべく準備を始めている。


「さて始めるか」

 俺は対宇宙怪獣シュウ用のmodを少し改良した上で、パワードスーツの俺の手へと纏わせ……干渉を始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] >転移 ヘモキューリ「上手に塗せました」
[一言] >制圧 正面突破は無理、包囲突破もダメ、転移にも罠あり、合体しても効果なし、まあダメだわな >核 フナカにしろシュウにしろ悪あがきはしそうなので完全に抹殺するまでは気は抜けないわな
[一言] >先頭を行く宇宙怪獣シュウの頭部にパワードスーツの俺の拳が叩き込まれる ただし動かしているのはヴィー様である。 >素早く手足を動かし、触手を動かし、とにかく当てる事を第一に仕掛けていく …
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