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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
6:バニラシド星系

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247/319

247:諜報部隊の図書館

「図書館……館じゃなくてビルっていうサイズだよな。これ」

「そうですね。この区画の基底部から、上の区画の基底部まで繋がっていますので、種類としてはビルになります。ですが、用途の都合で、扱いとしては図書館です」

 俺たちは図書館の中に入る。

 当然ながら、出入りの際には改めて身体チェックが入り、成人資格証による入館記録も取られる。

 館内各所に監視カメラも設置されているようなので、何処で誰がどのような資料を閲覧したのかについての情報も、理論上は得ることが可能だろう。

 で、そんな事が可能であるならば……まあ、俺たち六人が得た情報については、ほぼ間違いなく関係各所に知られるだろうな。

 庶子と言えども皇帝一族、宇宙怪獣、機械知性、セイリョー社の研究員……ジョハリスとマイは単独ではそこまでではないが、一緒に居る四人が俺含めて、注目を集めるには十分すぎる面子だ。


「うわっ、此処って紙の本とかもあるんすか……」

「今時珍しいですね。初めて見ました」

「ジョハリス様、マイ様。ここでは敢えて、紙媒体で入れている情報もあるという事です」

「なるほど、紙でしか情報がないならば、漏れない限りは此処に来なければ閲覧できないし、盗み取ることも叶わない。そう言う事だね」

「その通りです。ミゼオン様」

 図書館の中には上層階のサーバールームに集められている電子データにアクセスする専用の情報端末以外にも、様々な形の情報端末がある。

 例としては、中のデータに対して物理電子modによる干渉が出来ないようにした上で、特定のデータだけを表示するようにされたパッド型の情報端末。

 ジョハリスとマイが驚いた、植物紙を綴じて作られた書籍。

 羊皮紙と言う動物の皮を用いて作られた紙によるスクロール。

 薄い木の板を紐で繋げて作られた書簡。

 大きな石に文字を刻んで作られた石板。

 などなど。


「此処で手に入らない情報はない。なんて言いたくなるな」

「そうでもありませんよ、サタ。此処はあくまでも諜報部隊の図書館ですから、諜報部隊で独占しておく必要がないと判断された情報はありません」

「そうですね。そのような情報はウィノレッジラリ星系の図書館惑星へと送られます」

「そうなのか」

「ええ。逆に言えば、秘匿情報ならだいたいはあります」

 どうやら、帝国の古今東西の秘匿情報がこの図書館には集められているらしい。

 うん、もはや図書館ではなく博物館にあるべきものなんかも存在しているように思えるな。

 modによる保護が行われているので、雑に扱っても強度的には大丈夫なのだろうけど……博物館ではなく、こちらに置かれている辺り、一般には表に出せない情報なのだろう。

 とりあえず迂闊には近づきたくないし、閲覧したくないものだ。


 ちなみにウィノレッジラリ星系と言うのは、バニラシド星系から多少離れたところにある星系で、惑星一つ丸ごと図書館になっている、図書館惑星がある星系の事であるらしい。

 ヴィリジアニラとメモクシ曰く、帝国の古今東西の一般的な情報を収集、記録、原本の保存を行いつつ現代向けの編纂を星系全体で行っているそうだ。


 さて、俺たちが居る諜報部隊の図書館とウィノレッジラリ星系の図書館惑星は相互補完の関係性にある。

 なので、公開しても問題のない情報は図書館惑星へ送られ、公開するべきでない情報はこちらに集められる。

 どちらかには求める情報があると言われ、どちらにもなければ、それは……嘘か、新規の情報か、個人が秘匿し続けたものか……と言う話になってくるようだ。


「さて、それじゃあ私とマイは少し別行動を取らせてもらおうかな。調べるべきものが違うから」

「そうですね。ただ、私たちの側から誰も付けないと言うのも問題ですし……ジョハリス」

「分かったっす」

「うん、頼むよ。ジョハリス」

 とまあ、図書館に関する基本的な情報はこんな所であり、驚きや疑問もとりあえずは収まった。

 という事で、俺たちは此処へとやって来た目的を果たすことになる。


 ミゼオン博士たちはバニラシド星系へと設置される『異水鏡』に起きているノイズの除去方法を探るべく、その原因に関係しそうな情報を集める。

 ただ、その原因とやらがチラリズム=コンプレークス及びフナカっぽい感じが、俺の直感ではあるが、凄いするので……まあ、宇宙怪獣とか『バニラOS』とかについて調べることになるのだろう、たぶん。


「俺たちはシルトリリチ星系関係か」

「そうなります。後はマガツキもですね」

 ヴィリジアニラが調べるのはシルトリリチ星系及びフナカについて。

 俺たちは少なくない数のフナカが関わった案件に触れているとは思う。

 だが、セイリョー社を襲ったギガロク宙賊団に宇宙怪獣モドキが居たと言う話があったように、俺たちが関わっていないところでも、フナカが関係する案件は存在する事だろう。

 それらについての情報を集めるのが、第一目標だ。


 出来れば、容姿だとか、移動手段だとか、色々と決定的な証拠でも見つかればと思うが……まあ、そんなのがあれば、もう帝国軍が総力を挙げているか。

 図書館の館内には軽食スペースどころか仮眠スペースまであるようだし、じっくり調べるとしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一瞬ウィノレッジラリのィが大文字にみえてビクッてなった人はいるはず……私です。ウイじゃなくてWeのほうか……
[一言] >大きな石に文字を刻んで作られた石板 FG〇のバビロニアで見たようなやつですね(駄女神と書かれた石板を眺めつつ)
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] >>羊皮紙やら石版やら 古代遺物やん
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