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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
6:バニラシド星系

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225/319

225:帝星バニラシドへ

『では、只今より当船『カーニバルヴァイパー』は帝星バニラシドに向かって出発するっす。ガイドコロニー周辺のランディングゾーンを抜けたら亜光速航行に移行するっすから、乗員各位は念のために注意をして欲しいっす』

 翌日。

 俺たちはケルたちメイド五人が作った朝食を食べると、帝星バニラシドに向かって出発した。

 何事も無ければ、今日の夕方ごろには帝星バニラシド近くに到着するはずだ。


 なお、ケルたちが作った朝食だが、流石は本職と言うべきか、専門的に学んでいると言うか、俺が作ったものよりも美味しい状態で提供されていた。

 張り合う事ではないが、ちょっと悔しくはある。


「さて、到着までの間に色々と確認をしていくか」

「そうですね。昨日一日の間にした情報収集で分かった事も含めて、確認をしていきましょう」

 閑話休題。

 移動中の時間を活用して、やるべきことをやっていこう。


「まずミゼオン博士の護衛ですが、帝星バニラシドにあるイセイミーツ子爵の屋敷。そちらまで連れていく事が私たちの仕事になります」

「うん、よろしく頼む。可能ならばその後も協力体制を敷いて行動をしたいけれど、その辺はイセイミーツ子爵やその周辺の出方、私が受けた仕事次第でもあるから、確定は出来ないね」

 やるべきことその1、ミゼオン博士の護衛と言うか移送。

 こちらについては、帝星バニラシド到着後にも出来るだけ一緒に行動して、ミゼオン博士の保護者役になるらしいイセイミーツ子爵の屋敷まで連れていくのが仕事になるようだ。

 となると、ヴィリジアニラとイセイミーツ子爵が顔を会わせる事にもなるのだろうけど……まあ、これまでの話を聞く限り、問題になる事はないか。


「次に私たちと陛下たちのお茶会ですね」

「何度聞いても痛くなりそうな話だ」

「幸いにして非公式のお茶会です。相手も私たちの立場を分かっていますから、サタの礼儀やマナーに仮に問題があったとしても、どうこう言われることはないと思います」

 やるべきことその2、皇帝陛下たちとのお茶会。

 個人的には割とどうしてこうなった案件なのだが、行う事は既に決定しているから、逃げることは出来ない。


「サタ。不安なら今から私がマナーについて詰め込もうか?」

「付けない方がマシな付け焼刃にしかならないと思うんで、遠慮しておきます」

「そうか。残念だ」

 なお、この場にはミゼオン博士たちが居て、俺たちの会話も聞いているわけだが……まあ、お茶会について知られても問題はないとヴィリジアニラが判断しての事だから、俺が気にする事じゃないな。


「このお茶会についてですが、メモが調べてくれた限りでも、帝国貴族の中で知っているものと知らないものに分かれているようですね。具体的に言えば、陛下の信が置かれているものは知っていますし、信用できないものには知らされていません」

「ですが、皇帝陛下のスケジュールは分刻み、場合によっては秒刻みです。察しが良いものの中には、陛下の信に関わらず気づいているものも居るでしょう。油断はされない方が良いかと」

「ん? 気づくのは分かるけど、何か出来るのが居るのか? 皇帝陛下のお茶会なんだろ? 邪魔なんてしようがないと思うんだが」

 メモクシの言葉に俺は首を傾げる。

 何かをしてくるかって、何が出来るんだ?

 お茶会を壊すような真似をしたら、ただでは済まないと思うんだが。

 帝国貴族に度し難いほどの馬鹿が居るとも思えないし、そんな馬鹿を通すような警備体制とも思えない。


「そうですね。邪魔はされないでしょう。しかし、茶会後に何があったのかと根掘り葉掘り聞いてくるもの。茶会の前に陛下に自分を紹介して欲しいと言って来るもの。あるいはこちらの手土産や衣装に関わる事が出来ないかと尋ねてくるもの。他にも様々な思惑で、色々な動きがあるでしょう。中にはヴィー様の邪魔をする事を狙って来るものも居るでしょうし……油断がならないとはそう言う事です」

「な、なるほど……」

「流石は帝国の政治の中枢。そこに勤める貴族と官僚たちと言ったところだね。時折伏魔殿なんて呼ばれ方をするのも納得だ」

「正直に言って、面倒な事この上ないので、静かにしていて欲しいのが私の思いですね」

 なるほど、茶会そのものを邪魔する事はないが、それ以外に色々とある、と。

 しかもそれはこちらの思惑や予定とは関係なしにやってくる、と。

 ヴィリジアニラが溜息を吐いているが、それに納得しかない面倒くささが既に醸し出されているな。


「と、そう言えば。茶会で陛下が何を話すかとかは決まっているのか? こちらから話すことは決まっているけれど」

「そうですね……私のところには近況を聞きたいとだけ言われています。ただ、茶会の長さからして、それだけではないと思います。ですが……」

「メモたちの下にまでその情報は出てこないと思います。私的な茶会ですし、皇帝陛下の心中を推し測れるものなど居ませんから」

「つまり、その辺は出たところ勝負にしかならない、と」

「そうなります」

 茶会でこちらから話すのはシルトリリチ星系の件について。

 皇帝陛下から話す内容は不明。

 ただ、ヴィリジアニラ以外に俺、メモクシ、ジョハリスもわざわざ呼んでいるのだから、俺たちの方にも何かしらの話が振られる可能性はありそうだ。

 心構えだけはしておいた方がよさそうだな。


「その後の私たちは諜報部隊の情報収集を行う予定ですが、ミゼオン博士と協力が出来る事項については協力して行動に当たります」

「ああ、その時はよろしく頼む」

 やるべきことその3、情報収集。

 まあ、これについては……俺は護衛メインの雑用として動くだけだな。

 ついでに帝星バニラシド内に美味しいお店の一つでもないか、探すとしよう。

 帝国の中心だと言うのだから、きっと色々なお店があるはずだ。

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― 新着の感想 ―
>「次に私たちと陛下たちのお茶会ですね」 >「何度聞いても痛くなりそうな話だ」 頭が?胃が? サタ「8個ある脳と胃全部」
[一言] >陛下が何を話すかとかは決まっているのか? 皇后様「陛下は今回のお茶会で発言権はありません」 皇太子「(承認印) ヴィー様母(陛下が動けない様に椅子に縛り付ける)
[良い点] サタサン式長距離移動でも入国?手続きして貰えるのね 事前打ち合わせとか必要そうだけど [気になる点] 最短秒単位のスケジュールの中、唐突に数時間の会談時間を捩じ込む陛下… 後ろで顔色の悪い…
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