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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
5:シブラスミス星系
173/319

173:マジカル☆パンプキン

「えーと、予定だと3時間ほどかかる見込みか」

 さて、『異水鏡』をメモクシの体内に搭載すると言うのが、今回の改修のメインではある。

 だが、それ以外にも色々とあるのが今回のメモクシの改修だ。

 少し具体的に述べるなら、ジョハリスとの協力体制を取りやすくなるような仕掛けやら、装備の強化やらがある。

 なのでメモクシ自身が言ったように、今回の改修には非常に時間がかかる事になる。


「サタとしては予定通りに行くと思いますか?」

「どうだろうなぁ……。メモクシの事だから、事前にセイリョー社からmod周り含めて設計図は受け取っているだろうし、此処の機械知性とも綿密な打ち合わせは事前に済ませてあるだろうし、基本的な部分の製造は事前に終わらせているだろうけども……どこかで不具合が起こる可能性は否定できないし、微妙な調整も欠かせないだろうからなぁ……」

「つまり、サタから見ると、予定通りに進むかは分からない、と」

「そうなるな」

 俺は専門家ではないから正確な意見は出せないが、それでも『異水鏡』のような特殊なmodを付与された品を体内に収納するのは色々と面倒な調整が必要になる事は分かる。

 本当に何もなければ必要な加工だけして、新しいボディにメモクシの本体を移してしまうだけなのだろうけど、一つでも上手くいかなければ……まあ、連鎖的に面倒事が起こるだろうなぁ。

 精密機器の類なのだし。


「で、ヴィーの意見としては?」

「私は予定より少しかかるくらいと見ています」

「なるほど」

「はい」

 ただ、ヴィリジアニラの目を信頼するなら、想定外と言えるほどのトラブルは起きないようだ。

 何かが起きるのだったら、予定より少しなんてものでは済まないからな。


「お客様。こちらは当施設内に限って無料で視聴出来るデータになっております」

「お客様。こちらは待機中のお客様ならば無料提供できる飲食物となっております」

「お客様。こちらは有料コンテンツとなります。ですが、選んでいただければ必ず満足していただけることを保証いたします」

「ありがとうございます。サタ」

「そうだな。ただ待っているのも暇だし、色々と楽しませてもらうか」

 俺たちの下へメニュー表を持った機械知性たちがやってくる。

 えーと、データの方は映画、アニメ、ドラマ、音楽、小説、漫画、ラジオ……色々とあるな。

 飲食物の方は……飲み物は水、紅茶、コーヒーと言った普通の物から、スープの類まであるし、食べ物の方もクッキー、煎餅、チョコと言ったお菓子から、様々な具材のサンドイッチにおにぎりのような軽食まで揃っている。

 有料コンテンツは……マッサージのような時間をかけてやるようなものもあれば、ステーキやハンバーグと言ったしっかりとした料理もあるみたいだな。


 なお、有料コンテンツに大人向けのものがあったが、そちらは無視する。

 俺は宇宙怪獣なので、人間向けのそう言うコンテンツをお出しされても、正直困るのだ。


「とりあえず音楽を流しましょうか。人気の曲を適当に流し続けるラジオがあるようなので、それで」

「分かった」

 ヴィリジアニラが端末の操作をして、部屋に備え付けられたスピーカーから適度な音量で明るくポップな感じの曲が流れ始める。


『パッ、パッ、パッ、パッ、パンプキ~ン♪ パッ、パッ、パッ、パッ、パンプキ~ン♪』

「……」

「あ、マジカル☆パンプキンの曲ですね」

『ビタミンA! カロテン、堅皮、内側、たっぷり!! ビタミンB! 1,2,3,5,ロッキュー!! ビタミンC! つやつやお肌でヘルス! (ヘルス!!) ビタミンE! バイバイラジカル!! (ラジカル!!) ビタミンK! カチカチボーンで健康だ!! (健康だー!!)』

「???」

「懐かしいですね。どのシリーズでも食育がテーマなので……サタ?」

『パッ、パッ、パッ、パッ、パンプキ~ン♪ パッ、パッ、パッ、パッ、パンプキ~ン♪』

 えーと、うん、なんだこれ?

 教育には……良いんだろう、きっと、たぶん、うん。

 変なことも言ってないと……思う、そう、うん。

 しかしその、部屋全体の空気の変わりように俺の頭が付いていけていないと言う現実があるのが現状だな、うん、それでいいはず。


「えーと、曲を変えます?」

「ああいや、大丈夫。あまり触れてこなかった系統のコンテンツだから、面を喰らっただけだ」

「そうですか。では、そのままにしましょうか」

 とりあえず本体を第六プライマルコロニーで建造中らしい『ジチカネト』の方に向かわせておくかー。

 最新技術を使っているから、こっそり覗き見た程度じゃ分かる事なんて碌にないだろうけど、静かな宇宙空間に幾らか意識を割いておきたい。


「あ、折角なので、コチラの南瓜のジュースと、南瓜の種入りクッキーをお願いします」

「かしこまりました」

「サタはどうしますか?」

「ん? ああ、曖昧なオーダーになってしまって申し訳ないけれど、シブラスミス星系の食べ物で名産っぽいものをお願いします」

「かしこまりました。では、シブラスミス小惑星塩を使った焼き鳥串とスポーツドリンクをお持ちいたします」

「ではそれでお願いします」

 魔法少女マジカル☆パンプキンなる子供向けアニメの曲が流れるのを聞きながら、俺とヴィリジアニラは少し待った。

 うーん、小さなモニターでカボチャ頭の小人がラインダンスを踊ってる……。

作者は正気です(真顔)

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― 新着の感想 ―
[一言] 今度はスパルプキンwwwwww
[一言] >俺は宇宙怪獣なので、人間向けのそう言うコンテンツをお出しされても、正直困るのだ。 じゃあ宇宙怪獣向けのそういうコンテンツは? そんなものあるのかって?人間の業の深さを舐めてはいけない >…
[一言] >作者は正気です(真顔) 正気の方が怖いことってあると思うんですよ(褒め言葉)
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