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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
4:ニリアニポッツ星系
116/319

116:基地コロニー到着

『あーあー、当機『セクシーミアズマ』は帝国軍ニリアニポッツ基地コロニーのランディングエリアに到着したっす。亜光速航行を終了。コロニーの管制に従って、コロニー内のドックに停泊するっす』

「着いたか」

「そうですね」

「現在時刻は帝国共通時刻で午後六時……今日は到着の連絡だけ入れておき、面会は明日の朝以降にした方がいいとメモは判断します」

 『セクシーミアズマ』は帝国軍ニリアニポッツ基地コロニーに到着した。

 此処、帝国軍ニリアニポッツ基地コロニーはニリアニポッツ星系に存在しているコロニーの中でも

屈指の大きさを誇る特大コロニーである。

 どれぐらい大きいかと言えば、長辺が俺の本体の数倍に及ぶほどだ。

 で、細かく見ていけば……まあ、球、直方体、三角錐などなど、様々な形の立体が組み合わされて、全体的には薄い板のようになっている感じだな。

 薄いと言っても帝国軍の戦艦の高さを優に超えるわけだが。


「メモの言う通りにしましょう。この時間から押しかけるのは流石に非常識だと思いますし、日程的にも余裕はありますから」

「分かった。と、挨拶までは観光も無しでいいんだよな」

「そうですね。真っ先に来て欲しいと向こうから言われていますし、それを無視するわけにはいきません」

 なぜこれほどまでに立派なのか。

 此処までの道中で読んだ資料によればだ。


 まず、ニリアニポッツ星系の黎明期では、このコロニーのサイズは一般的なものと変わらなかったらしい。

 しかし、時が進み、ニリアニポッツ星系がスポーツの聖地となっていくと共に、凄まじい人通りが発生して、それに伴って宇宙船を用いた強盗、襲撃がニリアニポッツ星系からなくなっていく。

 そうなると力を持て余した帝国軍は、訓練によって鍛えた力の発散先を各種スポーツに向けていき、それなりの成績を収めると共に、地元……ニリアニポッツ星系のスターになっていく。

 すると、スターたちが普段住む場所という事でコロニーの整備が進んでいき、整備が進めばそれだけ人も集まる場所と言う事になり、コロニーが肥大化。

 結果として、今のように巨大で立派なコロニーになったそうだ。


「メッセージを送りました。返事は……来ましたね。明日の13時にとの事です」

「分かりました。では、そのつもりで準備しましょう」

「えーと、先方との待ち合わせ場所は『バニラプレス』社……ヴィーが記事を送っている場所だったか。つまり……そう言う事だな?」

「ええ、そう言う事です」

 でだ。

 それだけ立派なコロニーになって、生活を支えるべく様々な企業が入って来たとなれば、当然のように帝国軍諜報部隊のフロント企業も支社やら本社やら本店やら支店やらを置いている。

 具体的に言えば、先日までジョハリスが表向き所属していたことになる衣料品の『エニウェアツー』社は、ニリアニポッツ星系支店の本店を、此処のコロニーの一等地に構えている。


 そして、『バニラプレス』社。

 ここはヴィリジアニラが書いた記事を普段送っている会社であり、本社は帝星バニラシドに存在しているのだが、ニリアニポッツ星系にある支社をまとめているのは、此処のコロニーにある会社だ。


 俺には判断がつかない事だが、ほぼ間違いなく他の帝国軍諜報部隊のフロント企業たちも、此処のコロニーに拠点を置いている事だろう。

 で、それらの拠点が繋がり合う事で、コロニー内の治安を維持すると共に、表に出せない情報を表に出さないままに仲間へと伝えているのだろう。


「ん? あ、セイリョー社の派出所もあるんだな。小さいけど」

「そうみたいですね。検査依頼を受けるのと、結果を返すことしかやっていないようですけど」

 ちなみに、俺が普段記事を送っているのはセイリョー社系列の企業であるが、ヒラトラツグミ星系に本社がある会社である。

 そして、その会社はニリアニポッツ星系までは手を伸ばしていない。

 なのでまあ、ローカルと言ってしまえば、否定はできない感じである。


「そう言えばサタ様。セイリョー社から要請されたレポートは……」

「じ、地道に書いているから。返済は少しずつ進んでいるから……」

「まるで借金の取り立てのような扱いになってますね……」

 藪蛇だったか!?

 と言うか何故にメモクシがそんな事を!?

 くっ、さてはセイリョー社から何かしらの援助を受ける代わりに、俺のレポート執筆を促すような裏取引でもあったか!?


「それでどうしてメモはそんな事を?」

「『異水鏡』の補修用パーツ発注に合わせて、セイリョー社にはメモの望みを少々聞いてもらったのです。なので、少々の便宜くらいは図るべきかと思いまして。もちろん優先されるのはサタ様ではなくヴィー様です」

「本当に取引があるって……メイドがそれでいいのか……」

「問題ありません。先述の通り、優先順位は変わりませんから」

「あ、はい」

「そうですか……」

 どうやら本当に取引があったらしい。

 なお、製造された『異水鏡』の補修用パーツを取りに行くのは、俺の仕事になるようだ。

 まあ、真っ当な方法で送るのと、俺が転移で取りに行くのでは費用も時間も比較にならないので、それは当然の話か。


「コホン。では、明日に備えましょうか」

「分かった」

「かしこまりました」

 では、明日に備えるとしよう。

この基地コロニーについては、関東平野の上半分くらいのサイズがある板が浮かんでいるとお考え下さい。


12/06文章改稿

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― 新着の感想 ―
[一言] >「そう言えばサタ様。セイリョー社から要請されたレポートは……」 >「じ、地道に書いているから。返済は少しずつ進んでいるから……」 >「まるで借金の取り立てのような扱いになってますね……」 …
[気になる点] >まず、ニリアニポッツ星系の黎明期では、このコロニーのサイズは普通だったらしい。 『帝国軍ニリアニポッツ基地コロニーは他と比べても特に大きく普通ではないサイズ』と言う前提のもとで読んで…
[良い点] 新たな舞台の観光地表現 [気になる点] 宇宙怪獣でも理性と協調性としがらみが有れば発生する弱点の「レポート」
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