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サタヴィーの宇宙帝国漫遊記  作者: 栗木下
4:ニリアニポッツ星系
115/319

115:大混雑なニリアニポッツ

『自動航行への移行を完了。ただいまより『セクシーミアズマ』は目的地である帝国軍ニリアニポッツ基地コロニーへ向けて移動を開始するっす。移動に要する時間はおおよそ9時間っすね』

 ガイドコロニーでのスキャンを何の問題もなく終えた俺たちは、最初の目的地として現地の諜報部隊から指定されたコロニーへと向かい始める。

 道中は亜光速航行を用いるが、それで9時間かかるとの事なので……まあ、もうしばらくは暇そうだな。


「しかし、自動航行機能を使う事がわざわざ推奨されるだけあって、宇宙船の数がとにかく多いな」

「そうですね。ですがそれも当然の事だと思います。ニリアニポッツ星系は帝国各地で行われる競技大会の決勝が毎日のように開かれている、言ってしまえば『スポーツの聖地』ですから」

「大会出場者、関係者、観光客がひっきりなしに出入りをしていると言う事か」

「そう言う事です。そして、それだけの人間が入ってくるならば、それを養うための物資と人材も必要。だから、サタの本体が見ているように沢山の宇宙船が行き交う事になるわけですね」

 と言うわけで、改めて資料を確認したり、本体で偵察したりしながら、情報を確認していくことにする。

 情報の鮮度の都合上、フラレタンボ星系で情報を得るのと、現地であるニリアニポッツ星系で情報を得るのでは全くの別物だからな。

 きちんと確認しておきたい。


 なお、沢山の宇宙船と言ったし、先述のように行き交う宇宙船の群れが線のように見えても居るのがニリアニポッツ星系なのだが……フラレタンボ星系へ繋がるガイドコロニーから出ている線は明らかに少ない。

 これはまあ、うん、仕方がないな。

 フラレタンボ星系だしな。


 ちなみに、ニリアニポッツ星系は星系内に居る人間の現居住地を見た時に、最大で二割から三割程度の人間は別星系から何かしらの理由でやって来た人間になるらしい。

 また、毎日のように何かしらの競技の大会の決勝が行われているのは先述の通りだが、その数は一つとは限らず、日取りがちょうどあった時には大小合わせて30の大会の決勝が同時に行われたこともあるらしい。

 これだけでも、他の星系とのやり取りがどれほど活発であるかが分かると言うものだろうし、賑やかな星系であるかも分かると言うものだ。

 総じて、毎日がお祭り騒ぎにある星系とも言えるかもしれない。


「そして、それだけ沢山の宇宙船が行き交うから、自動航行によって一括制御された方が渋滞や事故が起こらず、結果的に早くなる、と」

「そうなります。おかげと言いますか、私とメモで調べた限り、突発的なものを除けば、殆ど事故の類は起きないようですし、常に人目があるからか宙賊の被害もここ数年は0と言っていいみたいですね」

「まあ、これだけ人間が集まっているところに襲い掛かれる宙賊はまず居ないだろうな」

 ただ、毎日がお祭り騒ぎで、人の入れ替わりが激しいという事はだ。

 裏を返せば、上手く人の中に隠れ潜む事が出来たならば、それを利用した犯罪はし易いとも言える。

 つまり、ニリアニポッツ星系でまず気を付けるべきは窃盗、詐欺、違法賭博、違法取引、雑踏に紛れての不意打ち……宇宙船を使った犯罪ではなく、身一つで行える犯罪という事になるだろうな。

 覚えておこう。


「ヴィー様。宇宙怪獣の反応はサタ様以外にはありませんでした」

「三度確認して、欠片も見つからなかったから、信頼してもらって大丈夫だと思うっす」

「ありがとう、メモ、ジョハリス」

「そっか。なら、一安心ではあるな」

 と、ここでヴィリジアニラの要請でメモクシとジョハリスの二人がやっていた、『異水鏡』による異なるOS持ちの探索が終了。

 念のために解析データも見せてもらったが、間違いなく俺以外の反応はなかった。


「こう言うとアレですけど、フラレタンボ星系でメーグリニアが暴れた時と同じような事がニリアニポッツ星系で起きた場合、その被害はフラレタンボ星系の時の比ではありませんからね。本当に居なくてよかったです」

「そうっすね。こんなに人が居るところであんな事件が起きたら、大混乱どころじゃないっす」

 俺としても居なくてよかった。

 ニリアニポッツ星系でフラレタンボ星系と同じように戦ったら、巻き添えだけでどれだけの被害が出るか分かったものじゃないからな。

 俺以外の宇宙怪獣が居なさそうだと言うのは、本当に吉報だ。


「ただ念のためにですが、毎日一回は『異水鏡』を使用して、データを取っておいてください」

「分かったっす」

「分かりました、ヴィー様。サタ様、先ほどの分のデータをセイリョー社に送るのはお願いいたします」

「やっておく」

 なお、これは余談になるのだが、『異水鏡』は感知データの提供と引き換えにヴィリジアニラに貸与された形になっている。

 そして、俺の事象破綻砲を制御するためのサタンの金環については、メーグリニアとの戦闘が終了した後に、俺一人でセイリョー社へ転移、修理の為に預けてある。

 もう数日もすれば修理完了にはなると思うが……まあ、取りに行くのは暇な時間でいいな。


「さて、私は一度休んでおきますね。コロニーに着いたら、忙しくなるはずですから」

「ウチも一度寝ておくっす」

「かしこまりました」

「分かった。周囲と進路の警戒はこっちでしておく」

 では、しばらくは『セクシーミアズマ』の周囲と進路の警戒を本体でやりつつ、ニリアニポッツ星系全体の様子を眺めているとしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] >日取りがちょうどあった時には大小合わせて30の大会の決勝が同時に行われたこともあるらしい 某妖精「13大会までなら同時に見れるわ」 >数日もすれば修理完了にはなると思うが……まあ、取りに…
[一言] ニリアニポッツ星系でまず気を付けるべきは身一つで行える犯罪→まあ毎日お祭り騒ぎな感じで人も多いなら当然かな
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] >>宇宙船の数 一種の観光名所になってそう
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