ランドセルに鉄板を入れて通学すること6年 中学に進学すると同時に夢の最強無双生活が始まる
アニメとか漫画で普段から重しを付けて生活してるキャラいるじゃないですか。
あれにずっと憧れてたんですよね。
ターバンやマントを脱ぐと、ずしんっ! って地面に落ちる演出がとてもカッコよくて。
普通だったらまずありえないし、フィクションの世界だから起こりうることなんだけど、マネしたいって思っちゃったんですよ。
だからランドセルに重さ10キロの鉄板を入れて登校することにしたんです。
あっ、どこから鉄板を手に入れたかは秘密。
小学校1年生の頃って、10キロの重しを背負うのってすごく大変。
でも頑張った。
とっても頑張った。
毎日、ひぃひぃ言いながら重たいランドセルを背負って、片道徒歩20分もある通学路を通いましたよ。
でも大変だったのは最初の1年だけかな。
2年、3年と成長していくにつれ、特に何も感じなくなった。
だから4年生になってからは、毎年一枚追加していくことにしたんですね。
5年生のころは合計30キロ。
6年生で40キロ。
最終的にはかなりの重さだったけど、最後までやりきりましたよ。
ええ、最後までやりきりました。
こうして無事に小学校を卒業したわけですが、いままで誰にも喧嘩で負けたことないです。
ランドセルをぶんぶん振り回すだけで、クラスのいじめっ子はもちろん、地域でも有名な悪ガキを簡単に撃破できました。
気づけば地区最強の小学生だなんて言われてましたね。
女子たちからは尊敬されて、守って欲しいってたくさんの女の子から言われました。
男子の中には好きな子に意地悪する奴とかいて、そう言う輩にランドセルをぶつけて撃退すると、すっごく盛り上がるんですよ。
女の子が一斉にキャーって騒ぐんです。
それで調子に乗っちゃって、中学に進学したら夢の最強無双生活が始まる――なんて思ってましたね。
中学に上がってからは地獄でした。
まったくモテないんですよ、これが。
ランドセルに鉄板を入れていたって噂が広がって、他の生徒たちからは引かれるし。
先生からは「危険なものを持ってこないように」って入学当日に注意されました。
それでも、中二病からは醒めず、鉄板生活を続行。
あの時の自分を殴り飛ばしたいです。
学生カバンに鉄板を入れて、ぶんぶん振り回して不良を撃退したりしてました。
相変わらず女子からは慕われてるんですけどね。
男子はみんな逃げていく。
そりゃ「アマゾネス」とか「スケバン」ってあだ名の女を好きになる男なんていないですよね。
とほほほほ……。
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