(゜Д゜≡゜Д゜)゛?はい?
結局、私は昼からサーキットの方に入ることになった。
見目麗しい二人が、荷物配布してる。
なんかさ、最近入った新人さんが、ビミョーに、バラマキがうまくない感じなんだよね。
そこはほら、サポートしてあげないと!
「あ、宮崎さん、こういう重たい液体系はね、端っこの、隅に置くの。オッケー?」
「はい・・・。」
うーん、いまいち覇気がないかも?
カートの使い方もなかなかマスターできないし、段ボール専任になってもらった方がいいかな。
ちょっとイケメンに相談してみるか。
「あ、イケメンちょっといい?あのさ。」
「やよい!!さぼんなって!!」
「違うって!マジな相談だってば!!!」
も~!すぐ絡んでくるよ!!この美少年は!!!
「え、何。ちょっと段ボール終わりそうにないんだけどな…。」
「マジで!じゃあ仕方ないな…原田さん!!ちょっとヘルプ・ミー!!」
カートで出発したばかりの原田さんを呼び戻して、イケメンと交代してもらう。
「ん?おれ荷物やればいいの?はいはい。」
原田さんのカートはちょっと横に置いといてと。
あんまり人に聞かれたくない話なので、ちょっと壁際に引っ込んで、話し込む。
「あのさ、宮崎さんのことなんだけど。」
「ああ、やめたいって言ってたよ。」
何!!マジか!!
「え、聞いてない!何それ。」
「歩くのきついし、みんなの輪に入れなくて居心地悪いんだって。」
居心地が、悪い…?
「…僕ちょっとわかるな。ここ、微妙に輪があって、ちょっと入りにくい。」
「え、なにそれ。あんただってみんなにイケメンイケメン言われて、楽しそうにやってるじゃん…。」
「赤池。イケメンって、言うな。」
なんか、地味に、ちょっと、キタぞ…?
私たちが作り上げてきた、チームワークの、輪を、穢された、ような…?
何だろう、この、胸のざわつき?
ちょっと、今まで感じたことない、不安が、私を包む。
いつもへらへらしてる私が、黙り込んだからか、イケメンが変な顔、してるよ。
ああ、変な顔ももちろんイケメンですけれども!!
ドンっ!!!!
「…あんたさ、好きな人に名前呼んでもらえないきつさとか、わかんない?」
はへ?
なにこれ。
壁際に立ってた私、なんかイケメンに、追い込まれてますけど?
壁と、イケメンに、挟まれて、私何が何だか???
「勝手に変な呪文かけといてさ、責任取ってよ。」
何、この急展開。
散々今まで私のことスルーしてたくせに、いきなりなんなんだ!!
…ちょ!!これって!!壁ドンってやつじゃないの!!
ぎょーえーーーーー!!!マジか!!!
「毎日毎日!イケメンイケメンっておだてて!僕のこと勘違いさせて!」
「毎日毎日!前向きなこと言って僕のこと元気づけて!」
「毎日毎日!人見知りの僕のパーソナルスペースに乗り込んできて!!」
「そんなの好きにならない方がおかしいんだって!!」
おーい!クールなイケメン、温度のひっくーーいイケメン、どこ行ったーーー!!!
めっちゃ熱く語っとるがな!!!
「そもそもだな…僕は、いや、うん……。あんた、マジで責任取ってくれないと、困る。」
まあね!初対面でかけたあの魔法、効いたってことだもんね!!責任取ったるわ!!!
「ええー?!いいよ!」
ああそうだ、みんなに立会人になってもらおう!!!
なんてったって、仲良しこよしの職場だからね!!
「みなさーん!私、今から!壁ドン越しに、チューされるみたいでーす!!」
「はあ?!ちょ!!何言ってんの…!」
みんなが一斉にこちらを向く。
ああ、宮崎さんは我関せずだな。
なるほど、こういう温度差、ね…。
「おお!いけいけ!」
「ちょ!!ふざけんな!!おい!誰かここはいれよ!!」
「オフィスラブ真っただ中か?!」
「ギャー俺の配当が!!」
誰だよ!人の恋路で勝手に賭博打ってるやつ!!
ゲゲ!なんか杉浦君が凸してきたよ!
15センチある身長差をもろともせず、下からイケメンをにらみつける美少年!
おおお!これは腐女子連合白川さんの目が光る奴だ…光ってるぞ!!サーキットの端っこでええええ!!!
「はいはいはい!!痴話げんかはここまで!!みんな仕事して!!」
いつの間にか経理の不和さんが帰ってきてた!
ふう、正直助かったぜい!!!
「冬木さん。ちょっと事務所、来なさいね。」
はわわ!!これ、怒られるやつじゃないの!!!