ヾ(@゜▽゜@)ノあれ?
「イケメン!こっちこっち!!この段ボール捌いてって!!」
「だから!!もう…!!!」
4か月も経ったら、随分仲良くなれてるはずなんだけど、なんか、こう、イケメンの機嫌がすこぶるよろしくないんだよね!
おかしいな、私の魔法が効かないなんて!
このイケメン、実は魔法耐性無限大スキルとか持ってんじゃないの!!
今日の私の担当は、荷物受取所でのバラマキアイテム配布。
若干イラついているイケメンを堂々盗み見ながら、サクサクバンバン仕事をこなしていく。
うーん、イケメンの起爆剤、めっちゃ効果大だわ!!!
どんどん検品済みの箱が回ってくるので、それを端末チェックして、カートにのせていく。
地味に体力いる仕事なんだって、マジで!!!
いい筋トレになってるみたいでさ、このところ二の腕が若干もりもりしてるけど、まあいいチャームポイントだよね!!
「やよい!!こっちの箱のせろよ!これ面倒だしバラマキたくねーよ!!」
「うっせー!やよいって呼ぶな!配られたらやり切れ!乙!!」
納品の箱を開けて、カートにのせるのが配布係の仕事なんだけど、のせるアイテムによって、人気不人気があったりする。
人気なのは、段ボールに入った、四角い軽い箱系。
不人気なのは、重いやつとか、細かいやつ。
杉浦君には、耳かき一本包装500本入りの箱をのせたんだけど、これめんどくさいんだよね!
本数数えて、ゴムで止めてってやってると、数が足りなくなったりして、サーキットスタートまで遡って入れ直しなんてことも、往々にして、あったり。
「くっそー!覚えてろよ!!出まーす!!!」
文句垂れながらサーキットに出てった!
よし、ご褒美にあいつの家の雑草抜いといてやろ!
…ゲームの話だってば!
「なんかここってさ、社員とパートさんの垣根が低いというか、なさ過ぎて、たまに引くんだけど。」
おお!イケメンから話しかけてきたぞ!!!
いいね!イイね!!
目の保養と耳の保養が一気に真横で!!
テンション上がりっぱなしっすよ!!
「え。そお?普通だと思うよ!!イケメンが委縮しすぎなんじゃないの!」
4か月もたつのに、まだなんか、こう、ちょいちょい、遠慮があるっていうかさあ。
私なんか入ってその日にみんなとタメ口だったからね?!
「僕のいたところはさ、社員がブイブイ言わせてて、パートさんが委縮しててね…。」
「え!何それ!そんなんじゃ信頼関係も減ったくれもないじゃん!!」
ここはみんな仲いいからさ、ミスがあったら怒るけどフォローハンパないし、ノリもいいから仕事も楽しくやれるし!仕事ってさ、効率よく楽しくやりたいじゃん!
「イケメンも苦労、したんだねえ…。」
「赤池!!冬木さん、いい加減僕の名前呼んでくれないかな…!!!」
あれ。まだこだわってんの、この人。
「いやまあ、だって、もうイケメンで根付いちゃったもん。無理無理www」
怒るお顔も震え上がるほどイケメンっすな…!!!
いつ頃私と恋に落ちてくださるのかしらwww
「イケメンイケメンって毎回毎日!あんたおかしいんじゃないの!!」
「事実イケメンじゃん!」
おお?!なんかハトが豆鉄砲食らったみたいな顔してるぞ!!
でもしっかりイケメンだ!
「もうイケメンって単語がなんかのおかしな呪文か、キーワードにしか聞こえないんだけど!!」
「あはは!!私の呪文、地味に効いてきたんじゃないの!!初日に魔法放ったじゃん!あれめっちゃ遅効性だったんだね!ウケるwww」
いやあ、さすがにあの初日顔合わせはなかったと、今になっては、思ってるんだよ!
でもさ、そこはほら!私やらない後悔より、やる後悔選ぶタイプだから!!
微塵も後悔はしてないし!!
現にほら、いい関係、イケメンと築けてるし!!
多少一方的だけど!
「で、どお?私のこと、好きになった?」
「ッ!!あのね、だからそういうねっ!!!」
「おい!!やよい!!やっぱ数合わねえよ!!俺に回した罰だ!!代わるからBOXんなか探ってこいよ!」
ゲゲ!マジか!!杉浦君の報告に焦る。
とりあえずボックス回収ラインの検品ボタンを押してと。
「じゃあ探ってくるから、イケメンと仲良くやっといて!!」
「仲良くはしねえけど仕事はやるって!!」
私はサーキットへと、カート未装備で繰り出した。
赤いランプのついているボックスを、一つ一つ、探る。
数を数えなおして、あってたら、赤ボタンを押していく。
むむ、誰だ、軽い箱の上に洗剤のせたの。
「ちょっとー!洗剤は箱の下に入れないとあかんやーつ!!」
「おおごめん!俺だわ!!別のもんのせようとしてよけてそのまんまだった!」
「オッケー!なおしとくわ!!」
そう、こういうミスを見つけて、ミスを認めて、ミスを正す感じね。
こういうのがスムーズにできるって、素晴らしい!
ここの事業所はさ、そういうのホント連携取れてると思うんだよね!
イケメン、結構ひどいとこにいたのかな。
地味にさ、協力プレイが必要なこの職種。
一人ワンマン野郎がいると、崩れちゃう。
苦労してきたの、かもねえ…。
よし!今まで以上に、やさしくして差し上げましょう!!
イケメンだし!
いつも恩恵もらってるし!
そう思って、眼福を味わおうと荷物受取所を振り返ると。
・・・?
あれ。
なんかイケメンと杉浦君がもめてるような?
怪しいな。
仲良しこよしのこの職場で、何をもめ事起こしてるんだ!!