ソシャゲの為に働いてソシャゲの為に時間を作る……あれ? 余分な時間なくなるよね?
この回より通常の話へと戻ります。
森のダンジョンでの第1フィールドのボスをようやく見つけたと思ったらブルブル震えている件について……
10m以上の巨木が揺れている為に、周りの魔物達もつられてブルブル震えているのかな?
「あれは単にボスの魔力をも凌駕する相手が目の前に来たから震えているんじゃないのか? ほれ、あそこの狼型魔物なんて尻尾を股に挟んでいるじゃねーか」
アクトが指差す方向には、確かに大型の狼のようなモンスターがこちらを見ながら尻尾を隠して伏せている……いや、そんな表情で見られても。
「取り敢えず、このダンジョン初めてのボス戦だよ! みんな気を引き締めて戦おう! 」
俺の言葉に頷くみんなを横目に見ながら俺はどうやってこのボスを倒そうか思考を重ねる。
どうやらボス配下の魔物達も覚悟を決めたのか、こちらに向けて走ってきているがこちら前衛を受け持つシロとアクトが立ちはだかり、それ以上こちらへは近づかないようだ。
「ケットシーとセシルは左右から攻撃していって! ライアは私の後ろから離れないように。ライアは一応後ろの確認もお願いね」
こうして俺達のボス戦は乱戦となり始まるのであった。
「こちらはこれ以上攻められない! シロ、そっちはどうなんだ? 」
「腰抜け剣士はもっと頑張るのです。私は……元々守備メインです! 」
シロとアクトが悪態をつきながらも絶妙なコンビネーションで襲い掛かる敵を上手く受け止め、受け流している。
左からはセシルが短剣で魔物の四肢に的確な攻撃を加え相手の動きを止めていく。
その反対側ではケットシーが自分に補助魔法を掛けながら、一撃一撃で相手の急所を突き葬っている。
俺は前衛達に補助魔法や回復魔法を掛けながら抜けてくる魔物を聖剣で切り裂いてゆく……
「ジルア、このままではボスに対して何も出来ないのでは? 今の内になんとかしないと……」
ライアが周囲に気を配りながら膠着した現状に苦言を吐く。
「分かっているけど……補助をしながらボスに攻撃迄は手が回らないよ! 」
俺としても何とかしたいのは山々だが、二人で魔物達を撃退しているシロ達への補助を止める事には躊躇いがある。
「でしたら……今こそ私の出番ですわ! 」
ライアはそう言うと、自分の目の前に既に描かれた屏風を取り出す。
「ちょ⁈ 一体何をするつもりなの? せめてみんなに説明してから行動して⁈ 」
俺が焦りながらライアに説明を求めるが、ボス戦という雰囲気に高揚しているライアにその言葉は届かなかったようで、そのままライアは屏風を解放していく……
「出でよ! 私が生みし新たなる力よ! 私の前進を阻む敵に鉄槌を! 」
ライアの台詞と共に屏風の中から光と共に丸太のような太さの毛皮に包まれた腕が現れ、屏風を裂かんばかりに押し広げながらその身を現世へと現していく……
「……おい、ライア。『あれ』は一体何なんだ? 」
流石に俺の言葉の真剣さを感じたのか、少し気まずそうな顔でこちらを見ているライアに視線で話を促すと、言葉に詰まりながらもライアは自分が呼び出したものについての説明を始める。
「あ、あの子の名前は『アトルフォス』と言いまして、多数の敵に対して戦えるように考え出した子ですわ。見た目は可愛いらしいですけどその力は今見てもらっている通り……ですわ」
「確かに頑張っているようだけど……あれって魔物で遊んでいるだけじゃないの? 」
俺達の見守る中、5mを超える大きなぬいぐるみの姿をした三頭身程のクマがつぶらな瞳を輝かせながら迫る魔物達を掴んでは魔物の集団へと投げ込んでいる様子を見せつけられ、俺はライアに詳しい説明を求めたのだがどうやら彼女もこんな戦い方をするとは思っていなかったらしく、目を逸らしている状態だ。
「ご主人! いきなり変な生き物が乱入してきたのですが、あれは一応仲間と考えても良いのですか? 」
「おぃライア! あれ程屏風を無駄にするなと言っただろう! あんな奇妙な絵を描くぐらいならもっと竜巻や炎の嵐なんかを書けば良いだろう! 」
どうやら混乱する魔物達から離れることの出来たシロとアクトがこちらに確認を取りに来たようだが、アクトに関しては完全に怒っているようだ……まぁ、いきなりあんなのを応援に寄越されたらそうなるよね?
「だってアクト達ピンチだったじゃない!私だけ何もしないでいるなんて、そんなの嫌よ! 」
少し涙目になったライアがアクトの方を見て己の本心を叫ぶ。
「ライア落ち着いて……確かに私達が不利だった訳だから正直言ってありがたかったわよ……ただ、どんな能力で助けるのかをみんなに知ってもらわないとみんなが余計に混乱しちゃうからそこだけは気を付けてね。シロとアクトは悪いけどこのままボスのところまで突撃よろしく! こちらの雑魚は私とライア、セシルとで何とかしておくから。ケットシー!貴方はこの二人の補助を頼むわよ」
少しだけ気不味くなったアクトとライアに距離をとらせて頭が冷えるのを待つ為に、俺はみんなに命令を飛ばして戦闘を継続していく。
俺の命令を受けたシロとアクトは直ぐかま意識を切り替えてボスの元へと走っていく。
「ちょっと ⁈ まだ言いたい事があるのよ?待ちなさい! 」
離れていく2人に気が付いたライアだが、その言葉の届く距離には既にいなくなっており、放心するライブの腕を掴むと俺はライアを諌めるべくセシルとクマもどきのアトルフォスの元へと向かっていく。
アクトとライアって何時の間に仲良くなったのやら……
俺はため息を吐きながら、これからの面倒な戦いへと思いを馳せるのであった……
次回投稿は土曜日予定です




