無課金は縛りの一つ。これテストに出るからね
初めましての方は初めまして。知っている方はありがとうございます。急に書きたくなったので書いて見ました。かなり適当に始まるのは慣れてないと言う事で許してください。他に書いてある小説はニッチな感じなので…
俺の名前は斎藤 次郎、現在26歳のフリーターだ。
実家暮らしのため気ままな独身生活をエンジョイしているが、家族からは白い目で見られているのはご愛嬌だ。
一日の殆どを課金ゲームで過ごしているが、そんな俺が課金出来るはずもなく無課金プレイと洒落込んでいる。
手軽に出来るゲームを10個ぐらい掛け持ちして、そのプレイ動画を動画サイトにアップしていたりして周りの反応を楽しんでいる。
ゲームは縛りプレイと呼ばれる制限付きの遊び方をしており、俺は無課金の他、詫び石やボーナス石と呼ばれるアイテムの使用すら禁止している。
ゲーム序盤の強制ボーナス使用によるキャラだけは仕方がないので使っているが、それ以外はコモンと呼ばれるモブキャラでのゲームプレイだ。
そんな俺のプレイが動画サイトでは人気らしく「無課金の斎藤さん」、「無課金さん」などと呼ばれている。
今も、課金ゲームでも課金要素の名高い「フェアリーダンス」と呼ばれるゲームをしている所だ。
このゲームは妖精を召喚して自分の代わりに戦わせて行く、良くある育成ゲームだ。
そして、キャラに育成要素があるゲームは殆どが重課金必須の場合が多い。
このゲームも例外ではなく、レアキャラを召喚するためには多大な資金の投資が必要だ。
そんな恐ろしいゲームなのだが、キャラがとても可愛く出来ており、レア度に比例して可愛さが上がるのだから世のゲーマー達はこぞって課金をしてしまう。
寧ろ課金しなければおかしいと言われるほどだ。
俺が何とかこのゲームをしていけるのは、最初に引いたボーナスキャラが登場した当初、最強キャラと呼ばれた「ティターニア」と呼ばわるウルトラレアキャラだったからである。
当時は動画を生中継していたのだが、賞賛の嵐と妬みの嵐のコメントで生放送が止まるほどだった。
今でこそ最強とは言えなくなったが、制作している人の愛着があるのかティターニアはパワーアップされる事が多く、絵柄も昔は無名だったが、今では超一流のイラストレーターとして名を上げている人で、ティターニアが代表作になっている程だ。
勿論、俺の愛するキャラであり無課金育成で出来るだけの強化もしている。
今はイベント中で、配布キャラと呼ばれるイベント攻略後に貰えるキャラを獲得するため攻略中だ。
「やっぱ無課金だと最近はきつくなってきたなぁ。イベント攻略も本当にカツカツになってきたよ。今回のイベント以上の難易度だと、そろそろ全クリも難しそうだ」
作戦を色々考えながら攻略しているが、最期のボスが難敵だ。
基本、課金ゲームは新しいキャラこそ最強である。
作戦を色々立てて何とか出来るレベルは限られている。
大体ボスが毎回毎回強くなるのだ、笑うしかない。
「でも…これで終わりだ!今回は何とかなったな。」
ティターニアに補助魔法を掛けさせ、攻撃特化の妖精に攻撃させる。
一撃の為だけに特化させた妖精は、ティターニアの援護を受けてラスボスを撃破する。
ようやく配布キャラをゲットだぜ!
「あれフリーズしたか? 画面が黒くなってから反応がないぞ? イベント中なのでサーバに負荷がかかり過ぎたか? 」
初期の頃はサーバが弱く、よくメンテナンスに陥ったフェアリーダンスだが最近は大型サーバを導入したとかで問題なくなったはずなのだが…
「はぁ ⁈ 画面に指が吸い込まれた ⁈ 」
画面を指で押しているうちに指がすっぽりとスマホの中に入ってしまう!
いや、それどころか右手が…体まで吸い込まれて行く !
「これが噂の異世界転移ってやつなのか ⁈ さらば地球! さらば我が家! さらば俺の部屋! 」
後で考えると、かなりテンパっていたのだろう。
そんな言葉を残しながら、俺はスマホに呑み込まれていった。
「知らない天井………どころか青空じゃねーか!」
折角の有名なセリフを使える時だったのだが、どうやら異世界は俺に厳しかったようだ。
俺は起き上がると、すぐさまお約束の言葉を叫ぶ。
「ステータスオープン! 」
その言葉と同時に、俺の目の前にホログラムのようなウインドが現れ文字や数字が書かれてある。
これこそ俺が求めていたものだ。
「おぉ…これが伝説のお約束事の一つステータスか、どれどれ…」
俺は興奮してステータスを読んでいく。
(名前)
ジルア・オシト
15歳 ♀
(種族)
レジェンドエルフ
(職業)
魔法騎士
(スキル)
ユニークスキル
・無課金ゲームLv1
(称号)
異世界転移者
…おかしいな? 名前が違うぞ? 性別が違うぞ? 種族すら違うぞ? これって………
「アーーーーーーッツ!」
甲高い少女の声が響き渡る。
これは俺の声じゃない。
手を見てみる…子供の手は傷一つ無くおまけにとても肌白い。
重い頭を触る…長髪だ、俺は短髪だったはず。
体を見てみる…皮の鎧やショートソードを持っている…俺の着ていた寝間着じゃ無い。
…だけどこの体を俺は知っている!
「ドラゴンファンタジアの自キャラじゃねーか!」
そう!俺がしていた無課金ゲームの一つ、ドラゴンファンタジアという重課金必須の時間育成ゲームのキャラだったのだ ‼︎
「よ、よりにもよってこのゲームの自キャラかよ…これ、俺死ぬんじゃねー? 」
可愛らしい声で絶望を呟く俺。
何で俺が絶望してるいるかと言えば、ただ一つ。
時間育成ゲームのこのキャラは俺がしていた無課金ゲームの中で多分、最弱だと思われるからだ。
時間育成ゲームとはイベントや戦闘を時間が経つことによって解決するゲームなのだが、本来なら時間は皆平等。
素晴らしいゲームのはずである…そこに課金による時間短縮という恐ろしい課金システムが無ければ…
分かってもらえたかと思うが、課金により時間短縮が出来るならその分他の人より進めるのである。
要は札束で成長するゲームなのだ!無課金縛りの俺には一番の鬼門ゲームである。
そんな俺が何故このゲームをしていたかというと…お判りかも知れないが、種族レジェンドエルフを引いてしまったからだ。
この種族はこのゲームで未だに一人しかおらず、これまた生放送時は俺のブログに万を超える人から買取のメールが来たのを今でも覚えている。
成長すれば最強の一角なのだが、一つだけ問題がある…成長速度が恐ろしく遅いのだ。
それに加えて職業の魔法騎士も成長速度を更に下げている。
公式からドラゴンファンタジアで一番成長速度の遅いキャラ認定を受けている程だ。
同じドラゴンファンタジア仲間から憐れみのアイテム送付を山ほど貰ったが、無課金縛りに抵触する為、全て送付ボックスに入れたままである。
「やばい!やばすぎる!成長出来ないこの状態で一人なんてやばすぎる!」
俺が独り言を呟いていると周りの木々が揺れ出す、足音まで聞こえてくる。
俺の異世界転移は絶望から始まった。
それでは次がある事を祈っております。読んで頂きありがとうございます。