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第138話「ラーメン屋さんでアルバイト」

「レッドを人質にとりました」

「!」

「コンちゃんと……ポンちゃんを要求します」

「!!」

「レッドがひどいめにあいますよ~」


「レッド」

「なになにー」

 わたしとレッドでお豆腐屋さんにお使いなの。

 ってか、毎日こわれたお豆腐を貰いに行ってるんですけどね。

「お豆腐もらってから、お鍋振り回したらだめですよ?」

「なにゆえ?」

「お豆腐、ぐちゃぐちゃになっちゃうでしょー!」

「なるほど~」

 なんておしゃべりしていると、向こうからイケメンさんがやってきましたよ。

「こんにちわ~」

「わーい、おにいしゃーん」

 レッド、イケメンさんに向かってダッシュです。

「レッドはお鍋持ってどこに?」

「おとうふやさんゆえ」

「お豆腐屋さん?」

「ですです~」

 イケメンさん、わたしの方を見て首を傾げるの。

「パン屋さんはいつも、こわれたお豆腐をもらってるんです」

「へぇ、そうなんですか」

「まぁ、パン屋さんも残り物をおすそ分けしてますけど」

「あ、いいな~、僕もおすそ分けほしい」

「だめでーす、イケメンさんはお金出してください」

「うう……ポンちゃんのケチ」

「お金、持ってますよね?」

「ええ」

「タダで出してもいいけど~」

「?」

「レッドの子守をしてくれたら」

「……」

 イケメンさん、レッドを抱っこして考える顔。

 でも、すぐに笑顔になって、

「それでいいなら~」

「レッドの子守、大変ですよ」

「僕、レッド好きだし」

「子供は面倒くさいだけですよ」

「ポンちゃんお姉さんなんですよね」

「だからですよ」

 わたしとレッドとイケメンさんでお豆腐屋さんにGO!


「いらっしゃいませ……って、めずらしいですね」

 ポン太がお出迎え。

 お豆腐屋さんにお客さんはいません、めずらしいですね。

 ここのお豆腐はテレビにも出て、有名らしいんですよ。

 山の奥にあるのに、いつも一人二人はお客さんがいるんです。

「今日はお客さん、全然ですね」

「たまにそんな時もあります」

「今日もお豆腐、ください」

「はいはい、くずれたのと、揚げですね」

「ふふ、揚げ、コンちゃん喜ぶよ」

 って、ポン太、揚げを新聞に包みながらちょっと赤くなってます。

 そんな揚げをわたしに手渡しながらポン太は、

「ポン姉、なんでコン姉は来ないんです?」

「それはコンちゃんがなまけものだからです。獣だけに」

「全然うまくないです」

「むう」

 ポン太、レッドとイケメンさんを見ながら、

「今日はラーメン屋さんも一緒なんですね」

「さっき、途中で会ったんですよ」

 ポン吉が微笑むと、イケメンさんは、

「あの、僕にもお豆腐もらえますか?」

「はーい」

 って、ポン太、一度イケメンさんを上から下まで見て、奥に引っ込みます。

 お鍋を持って戻って来ました。

「お鍋は今度返してください」

「ありがとう、お代は」

「いいですよ、お代は」

 わたし、ポン太を捕まえて奥に連れ込むの。

『ちょっとー!』

『なに、ポン姉、小声で!』

『なんでイケメンさんにお豆腐あげちゃうの!』

『だってご近所だし』

『お金、取るのが普通ですよね、商売ですよね』

『でも、壊れたのだし……ポン姉だってもらって……』

『それはパン屋さんとお豆腐屋さんの間の事でしょー!』

『ポン姉はどうしてほしいわけ?』

『べつにぃ~』

『ラーメン屋さんにはたまにお世話になってるんです』

『え! そうなんだ!』

『長老が話し相手になってもらってるんです』

『そうなんだ』

 それならしかたないですね。

『おじいちゃんとおばあちゃんも、ラーメン屋さんに食べに行ってるみたいだし』

『むむー、イケメンさんもやりますね』

『パン屋さんはお金をもらってるの?』

『当たり前です』

『せこいですね』

『商売ですから』

 ポン太ともめていると、柱の陰からイケメンさんがこっちを見てます。

 わたし、そんなイケメンさんをジト目でにらんで、

「なにか?」

「いや、どうしたのかなって」

「なにもないですよー」

 わたしが行こうとしたら、その背後でポン太が、

「はぁ~」

「!」

 わたし、足が止まっちゃうの。

 ポン太の方に向き直って、

「今のため息なに? わたしに文句でも?」

「い、いや、その……ポン姉に文句があるんじゃなくて」

「なに?」

「いつもいつも、ポン姉かシロ姉ばっかりで……」

「ああ、コンちゃんが来ないって事ですね」

 コクリとうなずくポン太。

 って、レッドがやって来てそんなポン太に飛び付くと、

「ぼくは、ぼくは~」

「ふふ、レッド、いつも来てくれてありがとう」

「すきすき~」

 レッド、ポン太にキスしまくり。

 本当に誰にでもキスしますね。

 まぁ、子供だからしかたないか。

 って、ポン太、レッドをじっと見つめて考える顔。

 それからレッドを抱っこして、電話を手にしましたね。

「ねぇねぇ、ポン太、どうしたの?」

「うーん、レッドをですね……」

「レッドを?」

 名前が呼ばれたからレッドはしっぽを振りまくり。

 ポン太にほっぺスリスリしてます。

「レッドを人質にとって、コン姉を要求したらどうかなって」

「あー。ミコちゃんが荒れるよ」

「でも、ミコ姉ならボクの考えを読んでくれないかなって」

 わたし、考えちゃいます。

 レッドを人質にコンちゃんを要求。

 別にコンちゃんを出したってなんでもないですね。

「案外うまくいくかもしれませんね……電話してみたら?」

 ちょっと面白そうだから、ポン太の背中を押すとしましょう。

 ポン太、レッドを抱っこして電話してます。

 あ、繋がったみたいですよ。

 ポン太、一言二言、それからレッドに代わりました。

 レッド、ニコニコ顔で受話器を耳を寄せてから、

「ひとじちです~きゃー」

 緊迫感ゼロです。

 って、レッドは受話器をポン太に返して、それかポン太は何度か頷いて、

「ポン姉、ミコ姉が代わってって」

「わたし?」

 ポン太が頷くのに、わたし電話を代わります。

「なに、ミコちゃん」

『ポンちゃん、何やってるの!』

「レッドが人質な事?」

『じゃなくて~』

「?」

『ポン太くん、コンちゃんを要求してきたわよ』

「どうせコンちゃん何もしてないから、こっちに里子に出してもいいよね」

『わかってないわね!』

「?」

『コンちゃんを「ぽんた王国」に、「お豆腐屋さん」に出したらどうなると思う?』

「なにもしない」

 断言です、ええ!

『でしょ!』

「パン屋にいても、なにもしないよ?」

『余所に出して迷惑かけると、申し訳ないでしょ』

「あー!」

『ポンちゃんもお姉さんなんだから、ポン太くんにちゃんと教えておかないと』

 って、電話切れちゃいました。

 みんなにも聞こえてたみたいで、全員トホホ顔ですね。


 わたし、レッド、イケメンさんでパン屋さんに帰還です。

「えーっと……」

 わたし、お店に入りながら、イケメンさんを見ます。

「どうしてついてくるんですか?」

「いや、だって……」

 そうです、レッドがイケメンさんの服を引っ張ってるんです。

 うーん、レッドが懐いてくれるから、わたしラッキーって思ってたけど……

 レッドの代わりにお鍋を持たないといけなかったし~

 イケメンさんも着いて来ちゃうし~

 よかったのか悪かったのか、わからなくなりました。

 でも、レッドがニコニコでいいのかな?

 ってミコちゃんが前掛けで手を拭いながら、

「お帰りなさい、あら、ラーメン屋さんも一緒なの」

「うん、途中で一緒になって、レッドが連れて来ちゃったの」

 ミコちゃん、わたしとイケメンさんのお鍋を見ながら、

「ラーメン屋さんも夕飯、食べていってください」

 微笑むミコちゃん。

 受けて微笑むイケメンさん……お鍋をテーブルに置いて……レッドを抱っこ。

「ミコちゃん」

「?」

「レッドを人質にとりました」

「!」

「コンちゃんと……ポンちゃんを要求します」

「!!」

「レッドがひどいめにあいますよ~」

 って、イケメンさんニコニコ。

 レッドも楽しそう。

 ミコちゃんあきれ顔で、

「あの、ラーメン屋さん、どうしたんです?」

「コンちゃんとポンちゃんを要求してます」

 わたし、イケメンさんに近寄って肘鉄食らわしながら、

「なんでわたしとコンちゃんなんですか!」

「えっと、コンちゃんがツケをためてるから」

 みんなの視線、テーブルを枕に寝息をたてているコンちゃんに集まるの。

 わたし、頬を膨らませて、

「どうしてわたしも?」

「だってコンちゃんだけだったら何もしないってさっき言ってたし」

「あー!」

 って、ミコちゃんが首を傾げながら、

「だったらポンちゃんだけでよくない?」

「華が」

 えいっ! 肘鉄フルパワー!

 イケメン撃沈です。

 ミコちゃんなんでクスクス笑ってるんですか?

 レッドも心なしか、笑ってませんか?

 寝てるはずのコンちゃんも、背中、震えてませんか?

 まったくモウっ!


 ラーメン屋さんでアルバイトです。

 うーん、お昼のラーメン屋さんはすごく忙しいみたいなの。

 わたし、イケメンさんに聞きます。

「パン屋さんもお昼は忙しいですよ」

「お昼は食事時だから」

「でもでも、そんなに忙しいんですか?」

「うん」

 イケメンさんが言うと、早速のれんをくぐってお客さんなの。

「いらっしゃいませ~」

 わたし、そば屋の娘をやったくらいだから、接客もばっちりです。

 って、お客さん、空いているテーブルに着いたのはいいけど……

 わたしをガン見して固まってますね。

 理由……わかってるんです。

 パン屋はメイド服でコーヒーを出します。

 ここラーメン屋さんのユニフォームはなんと「チャイナドレス」。

 ちょっとこっぱずかしいですね。

 足の所が切れていて丸見えなんだもん。

「なんになさいますか?」

「じゃ、ラーメン」

「はーい、ラーメン1丁」

 わたし、厨房に入ったらすぐさまイケメンさんを捕まえて揺するんです。

『なんでチャイナドレスなんですかー!』

『中華ならチャイナドレスかなって』

『普通の格好でいいでしょ、前掛けくらいで!』

『チャイナドレス、可愛いと思うけど』

『こっぱずかしいんですよ!』

『似合ってますよ』

 って、二人で言い合っていたら、

「何をごちゃごちゃ言っておるのじゃ」

 不機嫌な顔をしてコンちゃん登場です。

 わたしもイケメンさんも固まっちゃいますよ。

 いやいやコンちゃん、すごい似合ってます、綺麗!

「わらわをタダ働きさせるとは、イケメンも偉くなったものよのう」

「ミコちゃんに言いますよ?」

「うえ……」

 イケメンさん、ツケノートをちらつかせながら、出来上がったラーメンをコンちゃんに渡します。

「ちっ!」

 コンちゃん恨めしそうな目で一度イケメンさんをにらむと、黙ってラーメン持って行きました。

「ほれ、ラーメン1丁なのじゃ」

 コンちゃん、「ドン」ってラーメンを置きます。

 スープ、ちょっと弾けてますよモウ。

 でも、お客さん、コンちゃんに視線釘付け&口パクで何も言えません。

 あ、またお客さん。

 わたしが注文取って……

 イケメンさんが作って……

 コンちゃんが持って行って……

「なんじゃ、ラーメン屋、忙しいのう」

「本当だね、わたし、びっくり……いつもお客さんいないって思ってたのに」

「そうじゃの、わらわもそう思ったのじゃ」

 わたしとコンちゃんでイケメンさんを見ると、

「いつもポンちゃん達はよそでお昼をご馳走になって来るでしょ」

「それが?」

「ポンちゃん達はお客がいない時間に来るわけ」

「なるほど~」

 って事は、ここ一時を頑張ればいいんですよ。

 でも……コンちゃんは嫌そうな顔してます。

 さっきから髪がうねってるもん。

「何故わらわが働かねば……」

「ミコちゃんに言いますよ?」

「うえ」

 コンちゃん弱みを握られてるんだから、黙って働けばいいんです。

 でもでも、お客さん、多くないですか?

 女のお客さんが多いのは……わかるんですよ。

 なんたってイケメンさんが働いているわけですから。

 でもでも……

『ねぇねぇ、コンちゃん!』

『なんじゃポン、わらわは忙しいのじゃ!』

『なんだかお客さん、異様に多いと思いませんか』

 コンちゃん、考える顔になってます。

 お店を見渡して、

『ふむ、確かにそうかのう、パン屋でもこれだけ入るのは観光バスの時くらいなのじゃ』

『お昼どきって言っても、多いですよね』

『それに……』

 お客さん、わたし達をガン見する人が多いの。

 ええ、特に男のお客さんはコンちゃんを見つめてます。

 まぁ……コンちゃん綺麗だから、その気持ちはわかるんですけどね。

『男のお客さん、多いと思う』

『うむ、わらわもそう思ったのじゃ』

 わたしとコンちゃんでイケメンさんをにらみます。

 イケメンさんニコニコで、

「コンちゃんのツケを今日、回収しないと」

 って、言いながらスマホを見せてくれるの。

 お店、ライブされてるみたい。

 ついでにわたしとコンちゃんのチャイナドレス姿写真もアップされてるみたいです。

 イケメンさん、わたしとコンちゃんの前に出来たラーメンを置きながら、

「はい、頑張ってコンちゃんのツケは2万円になりま~す」

 わたし、コンちゃんをにらみます。

 コンちゃん視線泳ぎまくり。

「ど、どんだけ食べてるんです!」

「ここのラーメン、うまいのじゃ、2万なんてあっという間なのじゃ」

 この女キツネは!

 あとでミコちゃんに告げ口しちゃうんだから。 


「なんですってーっ!」

 花屋の娘、いきなり立ち上がると帽子男の襟首を捕まえます。

 もう一方の手であっさり銃を抜き取り、帽子男に突き付けるの。

「ちょっと、約束したじゃない、お兄ちゃん殺してって」

 おお、花屋の娘、やりますねっ!


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