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第133話「巫女さんのお手伝い」

「はいはい……レッドは大吉~」

「だいきちとは?」

「大当たり~」

 ふふ、で、わたしがなにを引いたかわかりますか?

 それは本編を読んでのお楽しみです!


 お客さんのいないパン屋さんにたまおちゃんのお父さん。

「こんにちは、ポンちゃんにコンちゃん」

「あ、たまおちゃんのお父さん、どうしたんですか?」

 たまおちゃんのお父さんは神社の神主さん。

 普段はふもとの神社でお勤めしてるんですよ。

 わたし、とりあえずお茶を出すんです。

 たまおちゃんのお父さん、会釈をしながら、

「たまおからメールがありまして……」

「?」

 たまおちゃんのお父さん、メールを見せてくれます。

「忙しいから、お手伝いをおねがいします?」

「はい……そこでお願いにあがったんです」

「はぁ……」

 わたしは首を傾げるだけ。

 でも、コンちゃんはムッとした顔で、

「これ、たまおの父よ、メールはそれだけではあるまい」

 コンちゃんの言葉にお父さん、頷きます。

 そしてメールBOXを見せてくれるの。

「コンお姉さまがいい……ミコお姉さまがいい……ですか」

 たまおちゃんらしいです。

 わたし、その一つを開けてみます。

 むー、コンちゃん推しまくりなの。

 あ、画像が添付してありますね、クリック。

 おお、巫女姿のコンちゃんが……

「あの、お父さん、ちょっといいですか?」

「なんですか?」

 わたし、問題の写メを見せながら、

「わたし、コンちゃんの巫女姿なんて見てない、コンちゃんもコスプレしてないよね?」

「コスプレ」辺りでお父さんとコンちゃん嫌な顔します。

「わらわ、神楽の時にちょっと巫女服着たのじゃ」

「そんな事、ありましたね」

「でも、あの時はこんなノーマルタイプの巫女服ではなかったのじゃ」

「ですよね、神楽用のスペシャルでしたよね」

 わたしとコンちゃんでお父さんを見つめます。

 お父さん愛想笑いで、

「たまお、きっと画像加工でもしたんでしょ」

 だ、そうです。

 そうそう、子供神楽の時にパソコンでチラシを作ってました。

 神社もIT時代なんですね。

 でもそれって……

「お父さん、さっきたまおちゃん『忙しい』って事じゃなかったです?」

「はい、そうですね」

「写真を切り貼りしている暇はあるんですよね? 暇なんですよね?」

「はい……きっと暇なんだと思います」

 って、わたしの隣でムッとしていたコンちゃんの頭上に裸電球点灯なの。

「それで父たるおぬしが折檻に現れたのじゃな」

 いきなり折檻なんだ……まぁ、それでもいいかな。

 お父さん、すまなさそうな顔で、

「本当にたまおがすみません……ですが」

「ですが?」

 わたしもコンちゃんもびっくり。

 てっきりたまおちゃんを叱るとばかり思ってました。

 でも、お父さんは考える顔で、

「たまおには頑張ってもらわねばなりません」

「だからこそしかるべきでは? 喝を入れるべきでは?」

「それはそうなんですが……」

 お父さん、にっこり微笑んで、

「ポンちゃん、お手伝いお願いできないでしょうか?」


「ポンちゃん、お手伝いお願いできないでしょうか?」

 って、たまおちゃんのお父さんが言った時にはミコちゃんと話は済んでいたみたい。

 わたし、レッド、みどり、千代ちゃんでお手伝いする事になりました。

「レッドとみどりはなんでです?」

 わたし、着替えながらふすまの向こうのお父さんに聞きます。

「二人は子供神楽の時から目をつけていたんです」

「そうなんですか」

「お似合いですよね?」

 わたしの目の前で二人は着替え、終わってます。

 千代ちゃんが手伝ってくれたんですね。

「千代ちゃんはなんでです?」

「私、前も何度がお手伝いしたから」

 返事は千代ちゃんがしてくれました。

「だから、ここのお仕事ちょっと知ってるし」

「そうなんだ」

 ふすまの向こうからお父さんが、

「千代ちゃんはお正月にお手伝いしてもらってたし……」

「もらってたし……なんです?」

「レッドくんの扱いに慣れていそうだから」

「あー、それはナイスですね」

 わたしも着替え、終わりました。

「で、最後の質問です、なんでわたしなんでしょ?」

 わたしがふすまを開けると、お父さんは正座で待ってます。

 ニコニコ顔のお父さんは、

「それは、ここが神社だからです」

「当たり前じゃないですか」

「いいですか、たまおが好きな人を選んだらどうなります?」

「……」

 ミコちゃんやコンちゃんが一緒だったら、きっと事件や事故が起きますね。

「それでわたしなんですか」

「それにポンちゃん、お店で真面目に働いていますよね」

「まぁ……コンちゃんよりは絶対マシです」

 コンちゃんくらいしか比べるのがいないのがなんですけど、ね。

「では、お勤め、よろしくお願いします」

 お父さんを先頭に社務所に向かいます。

 って、売り子をしているたまおちゃん、なんだか黒い空気が渦巻いているの。

 レッドやみどり、千代ちゃんも気付いたみたい。

 足が止まっちゃうの。

 なにかブツブツ言ってますね。

 よーく聞いてみると、

「なんでコンお姉さまじゃないの、なんでコンお姉さまじゃないの……」

 念仏みたいにリピートしてます。

 お父さんは苦笑いしてるだけ。

 ここはわたしがたまおちゃんにチョップですチョップ。

 あ、たまおちゃん、本当にムッとした顔で振り向くの、

「何でポンちゃんなの? とほほ」

「手伝いに来てるのに『何で』とはなんだっ!」

「私はコンお姉さまかミコお姉さまってお願いしたのに」

「いいから一緒にお仕事です」

「ちぇっ!」


 ふてくされたたまおちゃん……わたしが相手じゃダメです。

 って事で子供3人で売り場って事になりました。

 たまおちゃんも子供の前ではしっかりしてくれてるみたい。

 わたしはお父さんと一緒に神社の掃除なんかをする事になりました。

 ほうきで落ち葉を片付けたり……

 池のヌシにえさをあげたり……

 お祓い希望者にお祓いしたり……

「なんだか神社も結構忙しいんですね」

 わたし、さっきからずっとお祓いアシスタントなの。

 むー、ここはヌシにさわれば美肌になるって噂。

 だからヌシにさわって終わりじゃないの?

「お祓いは効果あるんでしょうか?」

 お父さん苦笑いで、

「ここの神社の効能なので……美の追求は女性の本能なのでは?」

「むー、わたしもお祓いしてもらおうかな~」

「ポンちゃんもですか?」

「わたしだって女なんです!」

 お父さん笑ってます。

 わたし、お祓いの時に使う「榊」を並べながら、

「お祓いというか、祈願はやっぱり『美』お目当てなんですよね」

「まぁ、そうですね」

「ねぇねぇ、お父さん」

「なんですか?」

「美肌はどーだっていいんです」

「どーだって……って、だったら何なんですか?」

「胸です胸、ここで祈願したら大きくなりませんか」

 って振り向いたらお父さんダッシュで逃げてます。

 むう、今度お祓い・祈祷の後でつかまえて叩いちゃうんだからモウ!


 さっきからお祓い希望者が多いと思ったら、どうやら観光バスだったみたい。

 観光バスが行っちゃえば、あとは自動車で来た参拝者だけなんです。

 人もまばらで、お祓いもないので社務所に戻って……

「な、なんですかっ!」

 そう、観光バスが行っちゃったと思ったら、社務所はまだフィーバーの最中。

 あ、お父さん、柱の陰でそんな様子をうかがっています。

 さっきの事もあるから、お父さん捕まえちゃえ、えいっ!

「うわ、ポンちゃん!」

「さっきはよくも逃げましたね……でも、これはどーゆー事ですか?」

「よく見てください」

「……」

 観光バスは行っちゃった……と思っていたけどガイドさんもまだいます、旗持ってるの。

「観光バス、行っちゃったんじゃないんです?」

「あれ、アレ!」

「あれ?」

 お父さんが指差す先にはレッドとみどり、千代ちゃんがいるの。

 レッドはニコニコ顔で売り物のお守りなんかを手渡してますね。

 みどり……真剣な顔でこれまた手渡し係を頑張ってます。

 千代ちゃんはレジをやってるみたい。

 すごい勢いで売れてるから、バックでたまおちゃんが補充しまくり。

 お客さんはほとんど観光バスの人なんだけど……

 ああ、中にレッド好きーの常連さんがまざってます。

 あの常連さんがサクラになってるみたい。

「それにしても、すごい売れっぷり」

「お正月に千代ちゃんに子供売り子をやってもらってもすごいけど……これは……」

 お父さん、ホクホク顔です。

 わたしに向き直って、

「レッドくん好きの人がいるみたいですね」

「ですね」

「これも売ろうかな?」

 って、なんだかもうレッドのプロマイドが出来上がってるの。

「い、いつの間に……」

「デジカメで撮ってサクっとプリント」

「バカ売れしますよ、レッド好きーさん、かなりいますから」

 わたし、ついつい表情が曇ります。

「あのー、お父さん」

「?」

「商売気出しまくっていいんですか? 神社ですよね?」

「その事なんですが……」

 急にシリアス顔のお父さん。

「神社は神さまを祭っています」

「はぁ」

「つまり、パン屋さんのコンちゃんやミコちゃんは神さま」

「ですね、コンちゃんはお稲荷さんですよ、ミコちゃんは卑弥呼さま」

「だから、私達の味方と思っています」

「はぁ」

「世の中には、他にも宗教勢力がいるわけです」

 なんですか、宗教勢力とか、急に難しい話になってないですか?

「他の宗教勢力にやられないためにも、資金調達は大切なわけです」

「宗教戦争みたいな事やってんですか? 宗教抗争とか?」

「ないですよ」

「じゃあ、資金調達はどうしてですか」

「じゃあ、ですね、神社の隣に教会とか出来たとしますよ」

「教会、ふふふ、教会でウエディングドレスとか、うふふ」

 わたし、妄想ふくらみます。

 お父さんあきれた笑みを浮かべて、

「神前結婚式もあるんですよ!」

「えー、結婚式はウエディングドレスでしょ」

「まったく今の若い娘は……って、ポンちゃんタヌキでしたね」

「今は人間なんですモウ!」

「ともかく、隣に綺麗な教会とか造られたらたまらないわけです」

「はぁ……」

 わたし、話を聞きながら社務所を見てるけど、ちょっと面白いかも。

 レッドは終始ニコニコ。

 みどりはアップアップ。

 千代ちゃんも必死になってます。

 ああ、たまおちゃんも売り子で参戦。

 さて、お父さんに向き直ってポツリ。

「あの、この神社の隣に教会とかないでしょ」

「……」

「だって田舎で山の中で、なにもないですよ、この神社のヌシのご利益くらい」

 お父さん、腕を組んで考え込んでます。

「隣に教会が出来る危機なんてないですよね」

「……」

「ね!」

 お父さん、急に笑顔……ちょっと引きつってるかな……わたしに向かって、

「お金、いくらあってもいいじゃないですか!」

 そこですか!

 結局お金!

 まぁ、いいでしょ。

 って、社務所のたまおちゃんがこっちを見てます。

 ジェスチャーで「HELP」みたいな感じ。

 わたしとお父さん、頷いて向かいます。

 さて、わたしも頑張りますか。

 社務所の中ではレッドを中心にすごい繁盛。

 たまおちゃん、ムッとした顔で、

「お父さんもポンちゃんも、ボサっと立ってないで手伝って!」

 パニックなたまおちゃん達を見てるの、ちょっと楽しかったんですけどね。

「うむ、こんなに繁盛しているとは思わなかった」

「ここはヌシがいるから、下の(麓の)神社よりすごいんです」

「うむ、確かに」

「お父さんはこっちでレッド達のお手伝い!」

 って、たまおちゃんとお父さん交代です。

 お父さん、レッド達にまじって売りまくり。

 わたしはたまおちゃんに捕まって、

「ポンちゃんとわたしは『おみくじ』担当」

「おみくじ!」

 って、わたし、つっこみますよ。

「おみくじは箱があるから、なにもしないんじゃ?」

「あれは30円のサービス品」

「サービス品……言っちゃうんだ」

「社務所で売ってるのは高級品」

「高級品……って?」

「この『くじ引き』から一本抜き出して、後ろの棚から高級おみくじを授与!」

 くじ引きって言っちゃうんだ。

 で、そのくじ引きって箱から一本棒を取り出すんです。

 番号書いてあって、それをたまおちゃんに渡すと、高級おみくじを取ってくれるの。

 たしかに箱の30円のと比べて本格的?

「こっちはいくらです?」

「200円……」

「ぼったくり……」

 でも、たまおちゃんが棚から出してくれたおみくじ、30円のとダンチです、さすが200円!

 印刷の文字もかっこいいし、色も白黒だけじゃなくて赤もあって見栄えがいいの。

 30円のおみくじは一度やったことあるけど、これなら200円でもいいのかも。

 おみくじコーナーの窓を開けたら、お客さんすぐに並びますよ。

 わたしがお客さんから棒をもらって、たまおちゃんにリレーするの。

「一人でもできませんかね?」

「おみくじ、200種類あるんだけど」

「うえ、たまおちゃん、頑張って」

 わたし、どんどんくじ引きひいてもらいます。

 じゃんじゃんたまおちゃんに渡すの。

 そして出て来たおみくじをお客さんにあげますよ。

「むむ、たまおちゃん、ちょっといい」

「何、ポンちゃん、おつりのお金、ないとか?」

「いや、そんなんじゃなくて」

 お客さんの表情は、さっきから正直微妙です。

 うーん、もう大分売ったと思うけど、お客さんはほとんど神妙な顔になるの。

 なんでかな?

「このおみくじ、大丈夫なんです? お客さん、なんだか複雑な顔してるし」

「ああ、それ……」

 たまおちゃん、真面目な顔で、

「30円のは良い事ばっかりだけど、こっちはちゃんと凶も入ってるの」

「そ、そうなんだ……」

 ふむ、こっちのおみくじはちゃんとしてるんですね。


 しばらく大変だったけど……

 陽も大分傾いてきたら、お客さんもはけちゃいました。

「ね、ね、たまおちゃん」

「何、ポンちゃん?」

「わたし、これ、一度やりたい」

 わたしがたまおちゃんに迫っていると、

「ぼくもやってみたーい、くじやりたーい」

 レッドにはくじに見えるんですね、なるほど。

「ワタシもやってみたいわね」

 みどりも興味津々みたい。

「あ、私も、高いから普段はできないし」

 千代ちゃんも手を伸ばしてます。

 たまおちゃん、みんなにくじびきを渡します。

「これで今日のバイト代はタダね」

 って、そんなたまおちゃんの頭をお父さんがチョップしてるの。

 レッドが一本取って渡す……戻って来たおみくじを開きます。

 でも、レッド、難しい顔でわたしにおみくじ渡しながら、

「よめませぬ」

「はいはい……レッドは大吉~」

「だいきちとは?」

「大当たり~」

「やったー!」

 みどりも大吉、千代ちゃんは吉でした。

 そしてわたしの番ですよ。

 おみくじをガラガラ振って……えいっ!

 出て来た棒、たまおちゃんには渡しません。

「ポンちゃん、番号を!」

「いいえ、たまおちゃんの事だから、番号のじゃなくて『凶』を渡すはず」

「そんな事しないよ」

「いいから、自分でやるんです」

 わたしの番号は『56』……ありましたよ。

 おみくじの紙を見ます。

「!!」

 お約束の「大凶」です、なんでこうお約束なんでしょう。

「ねぇねぇ、ポン姉、『大凶』ってなーに?」

「アンタ、『大凶』ってすごいの?」

 レッドとみどりは知らないんですね。

 千代ちゃんとたまおちゃん、お父さんは背中を丸めて床を叩きまくり。

「ふん、今が一番悪いだけだもん、今にきっとよくなるもん!」

 千代ちゃんとたまおちゃん、笑いすぎです。

 とほほ、なんでこんなにお約束なんでしょ。


 千代ちゃん、わたしをガン見して、

「ポンちゃん、気にしすぎなんじゃない?」

「千代ちゃんはしっぽないからわからないんですー!」

「ですー!」

 またマネしてますね、チョップですチョップ!


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