エピソード8
「ん?ここは?」
気がつくと真っ白な空間にいた
・・・・・それもかなり見覚えのある
「重ね重ね申し訳ございません。貴方には平穏な人生を歩んでほしかったのですが、私は彼らの召喚魔法を止めることができませんでした」
そして、やはり出てくるこの空間の主・・・・女神
「色々と言いたいことはあるが、まずは一つだけ聞きたい。今はどんな状況だ?俺は確か自分で作ったテントの中で寝ていたはずなんだが?」
俺が最後に覚えているのは創作で作った『魔物避け』『認識ずらし』『完全防備』の能力を持ったテントの中で寝た記憶だったのだが・・・・まさかまた死んだとは考え辛い・・・というかあり得ないのだ
「ここは私の世界。今はあなたの意思のみをお呼びしたと言えば分かりやすいでしょうか?」
要するに、俺はテントの中で寝ているが意識だけはここにいるという感じか
「なるほど、理解した。次にホライズンは俺が去ってから何年が経ったんだ?正直そこんところがまだわからん」
「この世界は基本的にあなたが転生した日本と同じ時間の流れなので16年しか経っていませんが・・・・・その質問がここで来ますか?」
女神が一瞬呆れたような顔をする
「ん?それ以外に重要なことなどあるのか?俺にとってはレイや、他の皆に会える可能性が高くなるこの情報ほど大切なものは無いんだが・・・・まさかとは思うがレイが早まったことなんてしていないだろうな?」
レイの実力を考えれば易々と敵に殺されたり、捕まったりするのは考えにくい
例え俺を殺した勇者が相手だろうと逃げ切ることくらいはできるくらいの力はあるからな
あの勇者の能力が俺を倒すことに特化した能力だということにも関係があるんだが・・・・・
「いえ・・・・・まぁ彼女はまだ存命ですし、死んだとしても因果率を少しいじってあなたの幼馴染みとして日本に転生させる予定でしたが」
なるほど、レイはまだこの世界で生きていると
「それだけ聞ければ十分だ」
「聞かないんですね?」
女神が悲しそうに目を伏せる
「何をだ?」
「どうして、前世で特に人間を襲ったりもしていなかった貴方が討伐されるようなことになったのか・・・・・そしてどうして私があなたを転生させたのか・・・・・そして、今回貴方が転移してくるのを私が止めることのできなかった理由も・・・・・」
ふむ、確かに少し気になるところではあるか
「確かにそれも気になるな・・・・もし俺や魔族の皆に関係する話で、尚且つそれを聞くことで俺が皆を守ることができる可能性が少しでも上がるなら話してくれ」
「それではお話しする前に私の正体をお話ししておきましょう。私の名前はサタン。創世の3柱の一人で魔族を見守る者です」
創世の3柱サタン・・・・この名前には心当たりしかなかった
最初にこの世界を作った3人の管理者
サタン、ガラン、カステル
それぞれ、自らの卷族として魔族、獣人族、人族を生み出しそれらを見守っている存在
「サタンって言えば全ての魔族の母と言っても差し支えのない存在のはず。そんな存在がどうして俺なんかにここまでのことをする?」
そう言う俺に女神・・・・改めサタンが目を伏せる
「それは・・・・・私が貴方達を守ることができなかった。そのせいで貴方たちは大きく数を減らすことになり、貴方は命を落としてしまったからです。私にできることはせめて次の生を与えて幸せになってくれることを祈るだけ・・・・・」
「守ることが出来なかった?」
普通よっぽどの事がない限り管理者は俺たちに干渉することは無いと聞いている
俺が死んだ時のことなら目の前にいるこのサタンには何の関係もないはずなんだが・・・・
「それは一から説明しましょう。この事態が始まったのは今から約20年ほど前・・・・人間の管理者であるガランの言い出した言葉が発端となります」