エピソード0
新連載始めました
同時連載の『成長限界チートで異世界無双~最大レベル2の成り上がり~』もよろしくお願いします
遥か遠くの世界「ホライズン」で魔王をしていた俺が勇者とやらに負けて命を落としてからもう16年もの月日がたった
16年前、俺は勇者の一太刀と共に自らのスキルによって張った結界も破られ同時に命を奪われた
そして、自らの死を実感した時に女神を名乗る女によりホライズンより遠く離れた世界、地球に転生させてもらった
俺には女神がなぜ魔王である俺に転生なんてことをしてくれたのか未だに理解してはいない
しかし、最後に女神が呟いた言葉だけは耳に残って離れなかった
「人々のためとはいえ犠牲を強いる役割を押し付けてしまい申し訳なく思っております。せめて新たなる人生を平和な場所でお過ごしください」
だったか・・・・・
犠牲を強いるだの役割だのよくわからないことを言っていたが俺には何の事かさっぱりだった
ここまで話しておいてなんだが一つだけ言っておこうと思う
俺は断じて中二病というやつではない
実際に魔王をしていたし、女神にも会った
それゆえにこの世界に来て色々と驚いていることがある
この世界は魔法が無いはずなのにそれに変わる「科学」を使うことでホライズンと変わらぬ生活水準を維持していた・・・・いや俺のホライズンでの生活環境が魔王だということを考えると平民の生活水準がかなり高いのだろう
更に、識字率や知識の量が平民からかなり高い
まぁ、これは俺の転生した国、日本に限った話なのかもしれないが・・・・・
そして、一番驚いたのは「ライトノベル」というものだ
単純に言葉からして簡単な書物かと思っていたのだが俺が会った奴とは別の存在かもしれんが女神が出てくるもの、俺とは逆だが異世界に転生した奴のこと、また、異世界に召喚された奴の話まであった
確か俺がやられたのも異世界から召喚魔法によって呼び出された勇者だと聞いている
これを書いてる奴等は俺と同じく他の世界から転生させられた奴や一回異世界で魔王を倒して帰ってきた勇者じゃあるまいな・・・・と本気で考えていたりする
まぁ、ライトノベルの中の話は基本的に魔王がやられてしまうのが元魔王としては考えものではあったりするのだが・・・・
読んでいると無性にホライズンが恋しくなることがある
残してきた配下、友、娘や息子がいたわけでは無いが勇者との戦いが終わったら結婚しようと誓い合っていた許嫁もいる
あの世界には遺してきた物が多すぎた
それにしてもホライズンて死亡フラグの存在さえ知っていればさっさと結婚していたものを・・・・
いや、どちらにせよ「家で愛する妻が待っているんだ!」も死亡フラグになり得るからたいして変わらないか
可能ならば魔法でホライズンまで帰りたいところではあるのだがここではなぜか魔法が使えない
別にこの体に魔力が無いという訳では無いのだ
魔力自体は感じとる事ができるし、魔力を動かすこともできる
しかし、魔力を放出し、魔法を発動させようとすると魔力が急に霧散してしまうのだ
どうやらこの世界では魔法は発動できないようだ
それと、俺の持っていたスキルだがこの世界に転生した時に使えなくなっているようだ
まぁ、あんなスキルこの世界では邪魔以外のなんでも無かっただろう
この世界であんなことできたらそれこそ化け物扱いである
そして、この思考の果てはいつも決まってこうだ
無理だとはわかっていても考えてしまうのだ
この平和ボケした地球もいいけど、ホライズンに戻りたい・・・・・・と
そして、その願いは思いがけない形で叶うことになるのだが、今の俺がそんなことを知るよしもなかった