プロローグ
「おーい。今日どこ行く?カラオケ、ゲーセン?」
スクールカースト上位の『ヒト』の声が聞こえる。
ボクなんかクラスメイトに名前すら覚えてもらえてない。もはや『空気』として扱われている。
ボクの名前は山田ライト。指事語で『これ』って呼ばれてる。こんな変な名前のせいでいじめられてはや14年。友達?なにそれおいしいの?……という感じである。
さてとぼっちのプライドにかけて話しかけられる前に帰ろう。ま、話しかけられることなんてないんだけど。
「あ、ライト君……。だよね?」
「はひゃい…………。なんですか?」
だれ?だれなのこの美少女。ぼっちなせいでこんな美少女の存在すら知らなかったというのか!まあいいや。この会話の感じからしてラブコメが始まるんだな!ボクがツッコミ兼主人公的な感じだよね?
「あのっ。カフェで話しませんか?ちょっと聞きたいことがあって……。いいですよね?」
ん、なんだこの否定権がない感じ。ちょっと怖いな。ボクは暴力系ヒロインより清純派ヒロインの方が好きなんだけどな。
「あの、えと、どうして?」
「……ここでは話せなくて。とりあえずカフェ行くよ!」
「はい」
わけもわからず美少女に手を握られてはずいんだけど。まじでヤバイんだけど。ギャル口調になるぐらいうれしんですけど。
なに、この手の感触。今まで一回も味わったないんですけど。
とボクの脳内のことお構い無しに彼女は手を引くのだった。
「歩いて15分ぐらいのとこだから。」