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モ
我が家は田舎らしく、敷地内に納屋がある。そこはほとんど使われておらず、ガラクタに支配され、かび臭かった。深夜ということもあって、周囲は静けさが占めている。慎重に、抱えてきた彼女をそこへ座らせた。
四肢は硬く動かすには苦労が要った。これが死後硬直というものなのだろうか。とすれば、これはまだ一日と経っていない新しい遺体なのかもしれない。全身が硬直するには約十二時間が必要とされているが、老人や幼児の場合はそれよりももう少し遅いらしい。なんにせよ、今は午前零時になるかどうか、そこから逆算しても今朝にはまだ生きていたのかと思うと、胸が疼いた。
彼女のことをスマートフォンで撮影する。今まで読んできたミステリの中で何人もの人が死んでいったが、その質感は実物を見て触れなければわからない。
仔細に撮影を繰り返しながら、はたと疑問に思うことがあった。
それは、彼女に外傷らしいものが見当たらないことである。




