自衛手段
お読みいただき有難うございます。
やっぱ、悪人は難しい。
色々あって反省。
まさか、あんなに目立つとは思わなかった。
受付の人も昼に持ってきたほうがいいとか最初に教えてくれてもよかったのに。
それは置いとくとしても他の冒険者の目がめっちゃ怖かった。
どんだけ需要があるのやら。
魔道具大量に作ったら生活に困らなそう、ってことは分かったけど、
普通の討伐依頼もやったりしないと戦闘経験が無くていざという時困るのかな。
とりあえず、ガチで自衛手段が要るだろう。
っていうか、魔法使いがこそこそしてるのって他の脳筋冒険者が怖いからじゃ……
はは、まさかね。
魔法使いである俺の最大の攻撃手段は言うまでも無く魔法。
ただ、アローですら場合によっては必殺の武器足りえるのでとっさに加減とかしたい。
加えて、呪文詠唱なんてしてたらただの的。
となると必然的に無詠唱か魔道具になるが、無詠唱は習得していないしこれも集中が
必要だとしたら接近戦には使えないのでやはり魔道具を用意するのがいいということに。
というわけで、身を守るための魔道具を用意する。
まずは魔力が有る間に使う、魔力が必要な魔道具。
公開情報として私は風魔法使いって事になっているから、基本的には風魔法を使おう。
殺傷と非殺傷、攻撃力、照準の3つを使いやすいように組み合わせる必要が有るけど、
そもそも至近距離で剣士に矢を狙って当てられる気がしない。
となると必然的にショットガンみたいな攻撃手段になる。
アローじゃなくてボールになっちゃうけど、着弾待たずに前方に向かって炸裂して
、攻撃倍率は音声指示できる風球でいこう。
本来の魔法は至近距離で炸裂して至近距離の対象を切り裂きつつふっ飛ばすので、、
至近距離とかで喰らわない限りは大きな怪我も無いでしょう。
こんどから風散弾とでも呼んでおこうか。
火と違って火事の危険がないのは良いよね。
後は、靴底に先端を丸くした風矢を仕込んでおいた。
完全に不意打ち用っていうか至近距離からアッパー喰らわせる用?
他にも色々仕込んでいたら昼になったのでとりあえず昼ごはんを食べた。
威力を検証しておかないと怖いので、人が少ない冒険者ギルドの訓練場に行って
殺傷能力の検証をしてみた。
元の魔法を使ったことが有ったのでほぼ想定の範囲内だった。
ちょっとやばいかなーと思ったのは風魔法のショットガンの方で、
炸裂方向が絞られたせいで近距離だとズタズタにしかねない。
確か、金属鎧相手だと衝撃しか与えられないって聞いているので、
防具の上から攻撃すれば大丈夫かな。
使い勝手を確認するためにビッグホッパー相手に魔道具つかって戦ってみた。
普通に蹂躙してしまったので、やっぱ魔法は使い方間違えるとシャレにならない。
などと油断していたのがよくなかったのだろうか。
ビッグホッパーの討伐部位をお金に変えて外にでたら、ガラの悪い冒険者に絡まれた。
「おう、坊主。新顔の癖にずいぶんと羽振りが良いって話じゃねえか。」
こ、こわーっ
「え?あ?どうなんでしょうね?」
「一人でビッグホッパーをらくらく狩る魔法使いなんだ、儲けてねえって事は
ねぇはずだ。」
ガラの悪い男は嫌らしい笑みを浮かべると、アホなことを要求してきた。
「そこで頼みが有るんだけどよ、この俺様にもその儲けを分けちゃくれねえかな?」
えー、何いってんのこいつ。あれか、これがカツアゲってやつか。
顔がめっちゃ怖いんだけど、言ってることが小物臭いのでなんか落ち着いてきた。
「一つ聞いてもいいでしょうか。冒険者ランクはいくつですか?」
「ん?俺様はランクEさ。」
えぇぇぇぇぇ……Eかよ、何しに来たんだよこいつ。
そら、ランク上がると強さは倍くらい差があるとか言われるけど、
FもEも大差ないじゃろうに。
っていうか、俺が素手で魔物を狩れる魔法使いだって事をわかってないんだろうか。
「なるほど。」
「お?分けてくれるか、そうかそう――」
「お断りします。」
「あぁ?お前何いってんの。俺様は分けろつってんだよ。素直に有り金置いていけよ。」
断ったらいきなり服を掴んで持ち上げ、都合のいいことを言ってきた。
良いのかお前。俺の射程内なんだが。
「手を出してきたのはそっちですからね。後悔するなよ。」
「あぁ?おまえなにいアガッ」
靴の魔道具で思いっきりかちあげてやった。
反撃されても困るので、そのまま腕に仕込んだ風散弾を
撃ってやった。
「一倍!」
ドンッ
ランクE冒険者だけあって、ちゃんと防具を着込んで居てくれたのは有りがたかった。
容赦なく至近でぶっ放せる。
「ガハッ」
軽く5mは飛んでゴロゴロと転がった。
通行人の人達が遠巻きに見てる。
っておい、そこの冒険者楽しそうに見てないで助けてくれても良いだろうに。
俺は、うつ伏せになったアホの背中に手を当てた。
「なぁ、お前はさっき俺になんて言ったんだっけか。」
「ヒッ」
「見た目で舐めるのは勝手だが、それで死ぬのはお前だぞ?
今手を当ててる場所から魔法を撃ったらお前、どうなるんだろうね?」
「わ、わわ、悪かった。もう、お前には関わらねえ、だから」
「悪かった?」
「も、申し訳ありませんでした!」
「そうか。次こんなことしたら後悔もさせないからな。」
「は、はい!」
アホは転けそうになりながら逃げていった。
通行人の人達はなんかよくやったとか言って、食い物とかくれたんだがあいつ一体
どんだけ嫌われ者だったんだ。
あーもー、やっぱり舐められないように仲間の一人は必要かな。
雰囲気はどうしようも無いし、お金貯めて奴隷に付いて相談しよう。
お読みいただき有難うございました。
ちなみに、このランクE冒険者はマサキの事をランクGなりたてだと思ってます。
3日でランクFになったって知ってたら、もうちょっと警戒したかもしれませんね。