魔道具づくり
お読みいただき有難うございます。
今回は道具作りです。
知恵と工夫でお金持ちになれそうですが、自衛の手段が乏しいので一気にお金持ちになると死にそうですね。不死ですが。
いつもの宿屋にたどり着くと、体がふらふらした。
しかも、すごく眠い。
「お、おい坊主。今にも死にそうな顔してるが大丈夫か。」
「ちょっと3日くらい離れた所にある洞窟でアンデッド退治してきたくらいですよ。」
あぁ、眠い。世間話とか無理。
「あー、大体理由は分かった。とりあえず2日分払っといてくれりゃあ明日起さんで
やるからそうしとけ?」
「あぁ、そうですね。お願いします。」
何とか銀貨2枚払って、気合で晩御飯を食べて、寝た。
翌日。目が覚めると、太陽が高いところにあった。
一階に行くと、昼飯時だったのでごはんを食べる。
とりあえず、今日は魔道具でお金稼ぎをしてみよう意外と儲かるらしいし。
昼ごはんを食べて冒険者ギルドに行く。
「こんにちは、えーと、魔道具の説明を聞きにきました。」
「はい、分かりました。少々お待ちください。」
一般的に売られている魔道具について説明してもらった。
1.値段は元となる魔法を基準に威力や効果時間で変化する。
大体は消費魔力が基準になる。
2.狙いについては、指先で示した方向、のみ。
3.光と闇属性は2倍
4.媒体は小さな木の板で、これは近くの雑貨屋で売っている。
「魔法が使える方であれば誰でも作れるので珍しいものでは無いのですが、
魔力の低い方は自分で使うために使い捨ての魔道具を貯めて置くことが多いので、
有れば有るだけ売れます。
また、高威力であれば有るほど作成できる方が居ないため値段も高くなります。」
「作り方が簡単な割に大量にいい値段で売れる、と。」
「そうですね。」
俺の魔力はランクDなので、まともな魔法使い並にあるはずだ。
しかも、成長限界が無いから使っただけ伸びる。
能力と経験に見合わない魔力になるのが心配だけど、そこはギルドの人と相談しよう。
「わかりました。とりあえず作ってみます。」
「はい、頑張ってください。」
ギルドを出て雑貨屋に向かい、使い捨て魔道具用の板 (10枚で銅貨1枚)50枚と
魔道具用のインク (銅貨10枚)を買って、借りてる部屋に戻る。
「さて、まずは矢の魔法からだな。」
とはいっても、特に難しいことはない。
板に円を掘って専用のインクを流し込んだ後、その縁に触れながら呪文詠唱するだけ。
後は込められた魔力がインクを呪文の形にしてくれる。
原理はよくわからないが、呪文を唱えると見えない魔力が魔法陣を描いて、
専用のインクはその魔力を伝って広がる性質が有るそうな。
50枚買ってきたので基本6属性で5個作っておいた。
消費魔力も30なのでまだ余裕が有る。
なんか面白い使い方とか無いかな。
ふと思いついたので、魔道具作って町の外に。
魔道具の板を地面に垂直に刺す。
「えーっと、周囲よーし、そらよーし。魔道具の角度よーし。」
周囲と空に何も居ないことを確認する。
「発射!」
ヒュン!
板が掛け声に合わせて垂直に飛び上がって小さくなる。
しばらく見上げていると、
…………トスッ
「あがっ!?」
頭に直撃し、あまりの痛さにゴロゴロ転がる。
落ち着いてから、治癒魔法をかけた。
「ふむ、魔法陣の上に発生するから吸着を付けておくと板ごとすっ飛んでいくんだな。」
まぁ、なんでこんなことしてたかって言うと。
手回し発電機の取っ手に魔道具固定したら楽に充電できないかなーって思ったからで。
あとは車につけたら自動車モドキが作れないかなと思ったのも一つ。
まぁ、常時突っ走り続けるからあんまり意味ないかもしれないけど。
ちなみに、移動速度0倍、進行方向基準に右回転、ってつけたらものすごい勢いで
回転する様を眺めることになりました。完全にモーターだなこれ。
次に実験してみたのは複数の魔道具が連携して動くのは作れないかどうか。
1つ目のアローの魔道具。これは魔力を使って発動させるタイプ。
2つ目は闇属性魔法の闇治癒である。これは使い捨て。
闇と呼ばれているけれども実際には光が肉体、闇が精神関係で
目に見える効果が黒い光なので闇属性と呼ばれているらしい。
今回の場合だと、魔力回復魔法になる。
2つの魔道具を重ねて2つ目を発動させた所。
1つ目が発動した。
……これ、闇魔法量産したほうが便利なんじゃ……と考えたが、
そもそも闇属性の使い手が珍しいのでこの使い方は逆に高くつくんだろう。
なんとなく満足したので、30枚の魔道具を持ってギルドに行った。
「えっと、アローの魔道具を作ってみたので買い取ってほしいのですが。」
なんか、周囲がこっち見てる気がするけど気のせいだろうか。
「はい、作ったものを見せていただけますか。」
「えっと、これです。」
作ったものをとりあえず6種類見せると、受付の人の顔がなんか怖くなった。
「……なるほど。ちょっと奥まで来ていただけますか。」
「え?、あ、はい。」
奥の部屋に付いて行くと、他にあるなら全部見せてほしいと言われたので、
30枚全部を机の上に置いた。
それを見て、受付の人は頭が痛そうな顔をした。
「あー、えぇと。マサキさん。説明しておかなかった私も悪いのですが。
ロックスさんに複数属性が使えるのは目立つとか言われたりはしませんでしたか。」
「え?えぇ、いわれまし……あ゛」
「気づかれたようなので今回は良いですが、今後は注意願います。
いえ、私は別に構わないのですがマサキさんが困ると思いますので。
先ほど注目を浴びていましたが気づいていましたか?」
「えぇ、まぁ。」
「魔道具はそこそこ高価ですがそれでも切り札として有効です。
魔法使いでなくても魔法が使え、魔法使いであれば魔力の節約になる。
たとえアローの魔法でも場合によっては起死回生の1手となりえます。」
言われてみると、初めて人を殺したのもアローの魔法だったな。
「私が受付に戻ったら何が売られたのか確認されることは間違い無いでしょう。
貴方に問い合わせる人も居るでしょう。その時に多属性が使えるということが
バレるとまず間違いなく面倒なことになりえます。
今回は私は黙秘しますし、貴方が聞かれた場合は風矢と
答えておくのが無難かと思います。」
「は、はい」
「次にお持ちいただく時は、昼頃が良いかと思います。一番人が少ない時間ですので。
それで今回の買取ですが合計で金貨4枚になります」
「い、いがいと高いんですね。」
「全部1倍のアローですのでこれでも安い方です。
5倍以下の火矢であればよく売れますので助かります。
また、1倍で多種多属性の魔法をお売りいただけるのもありがたいです。」
「わ、わかりました。」
金貨4枚もって出てきた俺は即座に冒険者達に囲まれて、
何を作ったんだと問い詰められたので、打ち合わせ通り風矢
を売ってきたと答えて宿屋まで全力で逃げ帰ってきた。
魔法が珍しくないのに魔法使いが珍しいというのは何か理由があるんだろうとは思うが。
剣と魔法の世界なのに何でこんなに魔法関係で驚かれるんだと叫びたくなった。
お読みいただき有難うございました。