魔法の練習
お読みいただき有難うございます。
主人公の魔法についてちょっと明らかになります。
仕事にとりかかるのはもうちょっと先です。
今日も今日とて、移動である。筋肉痛なので足がものすごく痛い。
「あーうー、なんかこう空飛ぶ魔法とか無いのかな。」
「空属性に有ったと思うが、魔力消費はさておき移動速度が歩く位だって話だぞ。」
「高速版も有るけど、そっちは魔力消費が高すぎて実用的じゃないわ。」
「さようですか……冒険者として体力は要るけど、それでも何か工夫してみたいなぁ。」
「工夫するのは良いけど、隠しとけよー?」
「了解ですよ~。」
科学ってのは楽をするために有るんだぜ!魔法だけど!
空属性の飛行魔法が魔力消費高いのは、
おそらく空と光と闇の基本魔力消費が大きめだからだろう。
空は比較するものが無いけど、光と闇は大きいし。
ってことは、下位属性の地水火風でやれば魔力消費も抑えられるはず。
魔法撃っても反動が無いから、背後にぶっ放して飛ばすのは……無反動を切れば
いいんだろうか。人が浮くような威力をまともに受けたら……骨折しそうだな。
例えば、射出した魔法に乗る、とか?
球の魔法は着弾時に魔力を全周囲に放出する。
属性は土、放出タイミングを任意、射出速度を徒歩速度、形状を円、
魔力放出を任意タイミング、射出位置を足の手前、移動方向を地表から15cmを維持。風球!
そして、発動と同時に魔法に飛び乗る!
「お、おー」
膝立ちになった俺をすいーっと運ぶ風魔法。
「うわぁ、呪文が何言ってるのか意味不明だったけど少年が新魔法開発しちまったぞ。」
「あれ、風球よ。」
「嘘だろ?乗ったら炸裂するだろうあれ。」
「呪文を色々といじっているのだろう。詠唱が聞いたことのない言語だったが。」
「ざっと思いつくだけでも4つは条件追加しているわね。それなのに詠唱が短い。
詠唱に使う言葉の数が必要魔力に影響するから、私が同じ事しようとすると
直ぐに倒れるんじゃないかしら。そんなに魔力多くないし。」
「よっと、条件は6つですよ。」
魔法を解除して3人に合流する。
「6って……ちなみに、今ので魔力どれだけ使ったの?」
「球が矢の5倍で、60文字ちょいだからアロー17発分?」
「どれくらいなのかよくわからん。凄いのかそれ?」
「多分私だと必要な文字数が倍くらいだから……私には使えない魔法ね。
同じ言語で詠唱すれば別だけど。」
「エレナが使えないとなると、30発超えるのか。」
「ちなみに、少年は何回つかえるんだ?」
「えーと、7回ですかね。」
「魔力量4倍だが、魔力効率が倍近く違うのか。恐ろしい話だ。」
あははは……魔力効率も秘密にしないとまずいってことですか。
秘密が増えるなぁ……あっはっは。
「人前で使えない魔法が増えるなぁ……」
「少年が自分で増やしたんじゃないか。」
「そりゃまぁ、そうなんですけど。」
「まぁ、魔法の引き出しが多いことは悪いことじゃない。魔力効率がいいこともな。
だが、今回はお前さんの訓練も兼ねてるので移動魔法は禁止だ。」
「がーん……了解です。」
頑張って考えたのに、使えないとは……とほほ……
「一人でやっていくのであれば体力が無ければ始まらないからな。
数日歩き続けるくらいが楽勝にならないと話しにならないぞ。」
「まぁ、治癒魔法かけながら運動すると筋力も体力も早くつくらしいから、
頑張りなさい。」
「りょうかいであります……」
そんなこんなで、夕方まで街道を移動し続けた所で野営と晩飯の準備をする。
晩飯を齧りつつ治癒魔法で筋肉痛を治しながらロックスさんに質問をする。
「今日でどのくらい来たんですか?」
「そうだな、大体3分の2位といった所だ。明日からは街道を外れて山に向かう。
マサキがへばらなければ明るいうちに目的地まで行けるはずだ。」
「やっと着くんですね……。」
「気を抜くなよ少年、街道を外れるって事はだ。魔物やら動物と遭遇するって
事なんだからな。」
「そうね、ふらふらして魔物に美味しく食べられた、なんて笑い話にもならないわね。」
げー!この状態で魔物に注意しながら歩くのか……今までで一番疲れそうだ……
「それに、行くことが目的ではなく、目的地の調査と魔物の殲滅が目的だ。
明後日からが今回の依頼の本来の仕事になる。」
「はい、頑張ります。」
帰ったら、数日くらい寝て過ごしたいなぁ……
お読みいただき有難うございました。