並行世界の自分
勢いで書いてみたものの、やってしまった感がすごい。
できるだけ続きは書く予定です。
いつもの様に、座椅子で寛ぎながらラノベを読んでいたら寝てしまった。
気が付くと、自分の部屋ではなく違う場所に居た。
四方を本棚で囲われた、ドアも窓もない部屋だ。
わけも分からず、とりあえず夢かどうか確かめようとした所。
「はじめまして、俺は正樹。簡単に言うなら並行世界のお前だ。」
等と訳の分からない事をいう男が目の前に現れた。
「お前は何を言ってるんだ……」
「毎度の事とはいえ、揃って同じ反応するのを見ると面白いな。
もうちょっと補足をしようか。
『並行世界で魔法を手に入れた自分が、魔法とか授けてくれないかなー』
とか考えたことはあっただろう。今回の事はつまりそれだ。」
はぁ?
「あー……いやいやいや、魔法とか何いってんのお前。」
「まぁ、急に言われてもとは思うだろうが。もうちょっと気楽に願い事言ってみないか。
こう見えても俺は色々できるし、色々暇なのである。」
「軽くって言われてもなあ……」
妄想に近い願い事を人に言うとか難易度高すぎでしょう。
「あぁ、そういうタイプか。じゃあ、元の場所に戻してやるから
適当に願い事書いて机の上にでも置いてくれ、気がついた時に読むから。」
「お、おう……」
「んじゃ」
そいつが、軽く手を挙げると変な部屋と男は消えて見慣れた自分の部屋が戻ってきた。
しばらくぼうっとした後ルーズリーフとシャープペンシルを鞄から引っ張り出してきた。
今のが現実なのか、夢なのか、よくわからないが言われた通りにすれば
夢かどうかははっきりするだろう。
夢だったら、友人に変な夢を見たと笑いながら話せばいい。
そう思って、願い事を書いてみることにした。
個数制限も何も言われなかったので、色々書いてみることにする。
で、書いてみたのがこの8点。馬鹿だな俺!
1)よくある剣と魔法の世界とかに行ってみたい。
2)魔法を使えるようになりたい。
3)2の補足、チートな魔力とかは要らないけど努力した分だけ
成長するようにしてほしい。
4)不慮の事故とかで死にたくない。
5)魔法でなんとかなるなら要らないけど、肉体年齢を好きに調整したい。
6)語学は苦手なので、魔法か何かで何とかしてほしい。
7)日本生まれの豆腐メンタルなので、殺害とかに耐性がほしい。
8)現代の知識をこっそり持って行きたい。
こんな所か。これ、誰かに見られたらヤバイな。中二乙とか言われそうだ。
夢だということが確認出来たらシュレッダー行きだな。
夜も遅かったのでとりあえず寝ることにした。
そして、その日の晩。
「よぉ、色々書いたみたいだな。読んだぜ」
「うわぁ、出た……夢だと思ったのに」
「俺はお化けか何かか……まぁいい。例によって異世界欲求があるようで何よりだ。
チートいらないとか言いつつも不死とか要求する辺ビビリだよな。」
「いやあ、異世界は行きたいけど死にたくないからねぇ、あっはっは」
死んだら終わり、生きてこそ楽しみも見つけられようってものだ。
「まぁ、Dieジェストも見てる分には面白いからやってやるよ。
大体そのまま何とかしてあげるけど、
8についてはスマホ使って検索できるようにしてあげるから頑張って検索して。
手回し充電器とスマホに保護つけとくからよっぽどなんか無い限り
傷ひとつ付かないようにしといたから。」
「了解……って、え?マジで異世界行くの?」
「いや、マジで行くんだよ?これだけ、補助してるんだから楽しく生きて行けるでしょ。
時々適当に生暖かく見守ってるから頑張って。」
そう言うと、パチンと指を鳴らす。
床の感覚がなくなる。ってヲイちょっとまて!
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ……」
「やはり、落下オチは基本だよねっ」
部屋には満足そうな顔の男だけが残された。
「いやいやいやいや!この高さから落ちたら死ぬでしょうまじで!」
部屋から落とされたら、下に人が居るかも見えないような高さだった。
『だ~いじょうぶ、だいじょうぶ。今回だけはどんな風になっても痛くない、はず。
そもそも、不死にしてあげたんだから死にゃあしないよ。じゃあね』
何か居ないはずの人の声が聞こえるしー!
「死ななかろうが、何だろうがこんな高さから落とされたら恐怖で死にかねんわー!」
あー、やばい。地面見えてきた。っていうか、森じゃね?
あんな所に落ちたら串刺しじゃね?
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
あまりの怖さに目を瞑った後ズドンという凄い音がしたが、特に痛みは感じ無かった。
自分にはなんとも無かったけど、落下地点を中心に半径3mくらいのクレーターが
できてた。木とか衝撃で放射状に傾いてる。
無茶苦茶するな並行世界の自分は。
とりあえず、状況を確認しよう。
並行世界の自分と名乗る男に異世界に行きたいと言ったら飛ばされた。
身体能力等にチートは無いけど、不死かつ肉体年齢を操作できる。
言葉とかの心配は不要で、動物殺してもたぶん耐えられる。
元の世界の技術を引き出せる。
うん、楽勝楽勝。俺はコミュ症……何言ってんだ俺。
とりあえず、肉体年齢を15歳位に操作しよう。
若すぎてもあれだしな……
肉体年齢は明確に意識すれば変わるらしい。
ポケットに入ってたスマホで確認したらすごく若くてびっくりした。
後は、魔法の使い方と街での生活の仕方か。
マニュアルとか無いんだろうか。
などと考えていると、トサッと簡単な冊子が落ちてきた。
タイトルは『オタクが読む魔法基礎』、衝動的に破りたくなったが我慢した。
無事な木を背もたれにして座りながら読む。
とりあえず、この世界の魔法は一般的に以下の手順で発動させるらしい。
1)呪文を詠唱
2)魔力をどこかに集中させる
3)魔法名を言う
魔力の集中ってどうやるんだろうとか思ったが、
呪文唱えたら勝手に集中していくものらしい。
ほかにも魔法陣とか無詠唱とか有るらしいが、そこまでは教えてくれないようだ。
本には基本的な攻撃用の呪文とアイテムボックスの呪文が載っていた。
攻撃用の呪文は属性とか効果範囲とかで組み合わせて使うみたいなので
なんとか暗記できそうだ。
スマホとか見られたらヤバイので、早速アイテムボックスの魔法を使ってみた。
無駄に右手を前に出してノリノリで呪文詠唱する。
「それは宝物を収める箱、鍵を持ってそれを開く、アイテムボックス!」
後で冷静になってから思い出してすっごく恥ずかしかった。
右手になんか暖かくてビリビリする感覚がした後、右手の前に黒い円が現れた。
多分、この穴から出し入れするんだろう。
スマホを持った手を中に入れるとスマホが手から消えて、
中に入っているもののリストが思い浮かんだ。
スマホを出したいと思うと手の中にスマホらしき感覚がするので、
引っ張りだすとスマホがちゃんと取り出せたので、服以外の持ち込み品を
アイテムボックスに仕舞った。
これで、とりあえずは大丈夫だと思うのでまずは森から出てみることにした。
落ちて来たのが森の端っこの方で良かった。
そうじゃなきゃどっちに行けばいいのかもわからず行き倒れになってた気がする。
飢えても死ねずに苦しみ続けるとかなんという拷問、不死も場合によっては迷惑だな……
等と、しょうもないことを考えながら森を出ると、背の低い草が広がる草原と
遠くに見える馬車。
そして、その周りに居る沢山の人だった。
お読みいただきありがとうございました。