「日記」
7/19(金)
少し失敗をしてしまい、未来里に殆ど告白同然の事をしてしまった。
そのまま妙な関係が続くのも嫌なのでデートに誘いちゃんと告白した。
振られたらどうしようかと思ったが付き合えてよかった。
◇
7/20(土)
付き合ったせいかは知らないがやけに未来里が可愛く見えた。
ただ二人で宿題したり、後はのんびりしていただけなのになあ。
…「は?」
これが私の妄想であったなら、どれほどに嬉しいだろうか…
私が書いた覚えのない文章が、
私の字で、書き連ねてある。
…淡々と書き連ねてある。
一日一日、ただのイチャラブが書かれている。
く、リア充爆発しろ!
…なんてことが、この二人が別れる、疎遠になるまで、
書き連ねてあったら良かったのに…
8/28(水)
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…文字が書かれてない、そして最後のページ。
そこには、文字になっていない線が涙で滲み、
勿論、何が書いてあるのか分からなかった。
でも、ただ一言、
読めるような…いや、本当はそう書いていないのかもしれないが、
ごめんなさい。
と書かれている気がした。
「…」
これは、なんなのだろうか。
私の筆跡を真似して書いた、ただの悪戯かもしれない。
ここにあってはならないものかのような異物感は、
ただの気の迷い。
だれもが罹る厨二病の症状に過ぎないのかもしれない。
でも、だが、しかし、それでも、
この日記の文字の滲みが、更に増えていることは理解が出来た。
「…はは、今日告白とか、こんなの出来る訳がないじゃないか。
こんな気持ちでこんな心で告白したって、一体、何が出来ると言うんだ…」
自分の口から出た言葉が言葉として成り立っていないことは分かる。
それでも、何かこの日記とは、
別のことを、考えて、口に出さないと、
私は、声を上げて泣いてしまったかもしれない…
「…」
どうして必死に堪えているのか、
どうしてこんなに心を揺さぶるのか、
何もかもが分からない。
分からない分からない分からない。
まるで自分の身体で、私ではない自分が身体を奪って泣いているような、そんな感覚に陥る。
…このままじゃ、私が消えてしまう…
「うーちゃん?」
授業中にうたた寝をしているとき、いきなり指名される。
それに近い感覚で、
現実に引き戻された。
「な、何?」
「…うーちゃん…泣いてた?」
→『…』
『泣いてなんか…』
「…」
目に水が溜まっていることぐらい、自分でも理解ができる。
『泣いてなんかいない』
なんて言えるはずがない。
いつもだったら、無駄に、未来里に心配させるようなことは避けたいと思っているので、
こういうことは、正直に喋る…
が、今の私はどうすればいいか分からなかった。
日記のことは、バラしても大丈夫だろうか…
未来里に私の心を理解できるのだろうか…
いつもだったら回る頭も今に限って働いてはくれない。
「あ…その…」
なんて、声に出ていたら、それでも十分なほどだった…
頭に血は流れてないくせに、
目には水が流れていく。
ああ、動いてくれよ私の頭。
ああ、止まってくれ私の涙。
「うーちゃん。」
私の様子が異様なことに気がついたのだろうか。
私を抱きしめ、ゆっくりと頭を撫でる。
愛しい我が子を思う母親の様に。
…もうダメだ…
その安心感を前に、心の枷は簡単に外れてしまった。
分からなくていい。
多分きっといつかわかる日がくるから…
ううん、出来ることなら、分からないままで…
◇
後書き
さて、分かる人ならこの時点で色々な秘密がわかるかも…
ヒント
この作品は、和影さん主人公の話の『世界観』で書かれています




