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世界シリーズ番外編

走り出した世界の行き止まり

作者: 448 23

 「少女が泣いた後の世界状態」「傭兵が辞めた後の世界状態」の後の話。

 大事な幼馴染がいなくなってから4ヶ月。わたしは海の限界を知る旅に出た。この旅をする前にかつての仲間のもとへ赴き、幼馴染の言葉を届けた。皆は優しい。言葉を聴いて涙を流す者もいた。わたしは、泣けなかったのに。

 なぜ泣けなかったのか。その答えを見つける旅。それが、海の限界。幼馴染がいなくなった海は既に何回か行ったことがある。だから今度はいろんな海に行く。答えを知るために。

 そういえば、仲間の一人が探し物をしていたはずだ。言葉を届けるときに聞いたら、見つかったと言っていた。積極的に人と関わることがない人だったが、そんな彼にも探し物があった。彼が見つけたんだ。きっとわたしの探し物も見つかる。きっと。




「はぁ、はっ……ぐっ……」

 森の動物に追いかけられた。深呼吸をして、息を整える。

 わたしが旅を始めて1年。いろんな海を見てきた、といっても互いに隣接するものばかり。1年では見ることができないと考えると、世界もまだまだ広い。

 目の前に広がる海。この海は緑色らしい。透明感があって、魚の群れが泳いでいるのがよく見える。

 探し物は着々と見つかっている。海を見るたびに、あの日の感情を思い出す。そして、今。

「ははっ、ようやく見つけた」

 そうだ、わたしは泣かないんだ。泣けないんだ。幼馴染がいなくなって心が泣いた。心は、泣いた。わたしは泣いていない。わたしは、泣いていない。

「キル……」


 君はいつでも、わたしの近くにいたんだ。




 これは、少女の物語。あの日の涙はオードの涙。わたしが泣くことは、もう無い。



 黒い世界に白があった。

 白い塊はもぞりと動く。

「やっと、見つけてくれた」

 そうしてまた、静寂は続く。

 誰よりも、そばにいるから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 切なくてホントいい話だと思いました!! 泣けてきちゃった(^^// なんかより一層話が深くなってきてる感じで面白い❤ 次回も楽しみにしてるリンゴさんでした~ww
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