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木五倍子(きぶし)

はじめまして、黒宮空火くろのみやうつほと申します~´∀`ノ


この作品はあっしの妄想を基に作った作品でございます。


注意:時折文章中に薔薇、百合な表現が含まれる場合があります。


また、文章表現がつたない部分が多いのでアドバイスもいただけるととても喜びます`∀´っ


では、ごゆるりとお楽しみくださいませ~´∀`ノシ

宇宙開発が進み、地球から火星へと続くコロニー軍が形成された頃、西暦という時代が終わって新たな時代、新西暦が誕生した。それからさらに時を経た新西暦208年。火星に最も近いコロニーで日本人の移民者がほとんどであったマーズコロニー。そこではさまざまな技術が発達し、火星開拓に着手しようとしていた。それゆえにそのコロニーを手中に収めようとするコロニー国家も少なくはなかった。


そんなコロニーに住んでいた少年、静海渚は今日も友人である東雲樹(しののめいつき)と共にゲーセンに入り浸っていた。この時代では最先端の技術を駆使した戦場の臨場感溢れるホログラムロボットバトル、“戦の友”が大流行していて、その流れに渚たちもどっぷり浸かっていた。


「渚、前衛は任せた。」


「任せてよ樹!君は奥から狙撃してくれっ!」


この2人の連携はコロニー中のゲーセンで名を馳せており意気も完璧だった。そんな2人がいるグループは必ず勝利するとも言われており一部のプレイヤーからは神の連携とまで謳われるほどだった。


「よしっ!!今だっ!!」


ゲーム内での渚の音声指揮が味方グループの全機に伝えられる。


『全機、仕掛けるぞ!』


開けた平地に集合していた敵グループに向かって4機の味方のロボが一気に急襲する。そして反対方向から岨つ岩山を縫うように高速で迫る1機のロボ、渚の駆るペルセウスが密着していた3機の敵ロボに突撃を仕掛ける。対応が遅れ、慌てて残りの3機の敵ロボが急いで援護に向かう。だがそれを樹の駆るロボ、アポロンは見逃さなかった。


「そこだ…射抜かせてもらう。」


樹の狙いは針を通すほどの正確な射撃で増援に向かったロボ3機を一瞬のうちに撃破してしまう。そうして完全に慌ててしまった残りの3機はまともな操縦ができないままペルセウスに鉄屑にされてしまった。2人が駆っているロボの性能は名前こそ大層だがゲーム内で支給される一般機と大して変わっておらず、それゆえに2人の操縦技術、正確な狙いが窺えた。


「ふぃ~!!今日も大漁だったね!樹!」


渚は子供のように欣喜雀躍していた。そんなあどけない渚に普段は冷静であまり表情を表に出さない樹も微笑んでいた。


「今日もタイミングはバッチリだった。だが残りの4機が陽動に出なければ勝てなかったかもしれないな。」


「うん!次は犠牲にさせないような戦い方をしないとね!」


そうして大漁で終わった戦の友を終え、それぞれの家路に着く2人。


「ところで渚。明日、鈴原重工の秘書様から直々に呼び出しが入った。俺も含めてな。」


「えっ!!?僕何にも悪いことしてないよ!?」


「いや、多分悪いニュースではないと思う。その前に渚、君が手がけていたシェルターの完成間際に電動式ドライバーをぶっ壊していたな?」


ばれていた…渚はどことなく哀しげに天を仰いでいた。


「いったい僕たちにどんな運命が待ち受けているのだろう…」


わざとらしく話をそらす渚。そしてふと思い出した。


「そうそう!樹は鈴原重工の地下施設を知っているかい?」


嬉々として話す渚に樹は無愛想に知らないと返すだけだった。


「また信じてない顔だなっ!地下にはね、ペルセウスやアポロンみたいなロボットを作っているって噂なんだぞっ!」


「それこそ信用できないな。現に主任は何も言っていないぞ。」


「隠してるんだよぉ!!絶対あるもんねっ!!」


そんな根拠のない自信が渚を取り巻いていた。


「ただいまぁ…って、誰もいないんだった…。」


渚は幼少時代に両親を失っている。それからというもの、孤児教育施設で教育を受けた後に一人でマーズコロニーの居住区画に住んでいた。そんな暗い過去を持っていながらも渚は周りの人に常に明るく接していた。そのおかげか、はたまたつぶらな瞳と童顔のおかげか渚の通っている学校では女子にそれなりの人気があった。“それなり”というのも樹のほうがいっそう人気があったからだ。樹とは一緒の学校に通っているのだが常にクールな二枚目(演じてはいない)で長細い目に端整な顔つきは周囲の女子を魅了していた。ちなみにこの時代にも過去の風習であるバレンタインデーは存在しており、樹は50個以上のチョコレートをもらっていたという。それを見た渚は“食べまくって鼻血出せ!”と微妙に怒っていた。


そして渚は軽快な鼻歌を刻みながら夕食を作っていた。これも教育施設で教わった賜物だった。


「よぉ~し!いただきま~す!」


至福の表情で自分の食欲を満たしていた。渚の頭の中に“呼び出し”の言葉が全く無くなっていた。


そして明くる日、渚は見事に遅刻寸前で家を飛び出していた。少女漫画にありそうな、食パン一切れをがっしりと咥えたまま…


「ぶば~っ!!ひほふふふぅ~!!(うわ~っ!!遅刻するぅ~!!)」


全力疾走でギリギリ教室に飛び込んだ渚をクールに見る樹がいた。


「間に合ってよかったな、渚。」





そして学校の授業が終わり渚と樹はバイト先である鈴原重工に向かっていた。


「そ、そういえば…秘書さんから呼び出しがあるんだっけ…」


「そうだな…だが渚と一緒とは何があるのか…」


「人を疫病神扱いしますか…ハァ…」


そんな日常的なやり取りをしている間に2人は鈴原重工に到着していた…が、なぜかいつもと雰囲気が違う。


「いよぅ!渚と樹!秘書様がお呼びだぜ!」


「は、はい…あの…みんなピリピリしている気が…?」


先輩アルバイトもその異様な雰囲気の原因を突き止められないでいた。2人は恐る恐る秘書室のドアを開ける。そして渚を待っていたのは…


「は~い、いらっしゃぁ~い!!」


マシュマロの応酬…?いや、何やら息苦しい。そして目の前が真っ暗だ。そして…生温かい


「あぁン!!この子くぁわいぃぃぃぃぃぃ~!!」


そして悟った。渚は今、豊かな膨らみの双丘に顔を(強制的に)埋められていた。しばらくして開放されると渚の惚けた視界に入ったのは…黒いスーツを着た美しき女性だった。端整…という言葉では片付けられないくらいの美貌の持ち主と挑発的に吊り上った猫目に魅力的な体を際立たせる豊満なバスト。傾国の美女と呼ばれるに相応しい容姿をしていた。その隣にはあきれた顔をした白衣の…主任がいた。その主任も負けず劣らずの端整な顔つきに丁度よく盛り上がった双丘は上品さと貞淑を持ち合わせていた。


「し、主任さん!?」


渚の驚きなどお構いなしに主任は言葉を発する。


「母よ、今は仕事中ですよ。性癖を全開にするのはおよしなさいな。」


どうやら主任と秘書は母娘のようだ。優美のいじわるぅとのたまいながら渚と樹を見る。


「この子が…静海渚君ね。そして、後ろで白い目をしているのが、東雲樹君。2人ともようこそ!私は鈴原重工秘書の鈴原優那(すずはらゆな)です。そして知っているとは思うけどこの子が娘の鈴原優美(すずはらゆみ)です。今日は来てくれてありがとう。」


いきなり礼を述べられて渚と樹は少し困惑していた。


「そんな顔をするのも無理はないわね~。実はね、君たちには少し手伝ってもらいたいことがあるのよ~。んじゃ、入ってきてくださいな。」


優那の命を受けて秘書室にはいってきたのはなんと軍人だった。小麦色に肌をした、いかにもイカつそうなその男性は渚と樹に深々と頭を下げた。


「地球軍コロニー統括部隊所属、アルベロ・マッカートン大佐だ。以後見知りおきを。」


2人はなぜ軍人がいるのか全く想像がつかなかった。そしてその軍人が深々と“以後見知りおきを”と言ったことも…。


「彼はご覧のとおり軍人です。では渚君、なぜ軍人さんがこの小さな工場に来ていると思いますか?」


優那に唐突に質問を投げかけられた渚は瞬時にわかりません!と返答した。だが、優那の表情が突然真剣なものになる。


「では、君達にはこれからあるところに来てもらいます。いいですね?」


樹の端整な顔の眉間には皺が寄っていた。樹が真剣に物事を考えている証拠だった。一方の渚はなぜか興奮していた。


(こ、これは…この展開って、さっきわかんないって言ったけど…もしかして!!)


重役のみが通れる専用通路を歩かされ、目前には重厚な扉をしたエレベーターがある。それに乗りエレベーター地下へと降りていく。樹はふと思い立ったような顔をするとすぐにいつもの表情に戻った。


(昨日の噂…フッ、まさかな。)


その間、5人の空間はエレベーターの扉のように冷たく重いものだった。




・・・

・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・




どれくらいの時間が経ったのだろう。それとも無言の重苦しい雰囲気が時を長引かせたのだろうか。目の前にある硬く閉ざされた扉がゆっくりと開いていく。そしてそこで目にしたものは…








6メートルほどのメカだった。

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