4.突然の口付け
設定説明の回です。一部ですが分かりにくいところがあれば教えてください
俺は眼前の光景に目を奪われていた。目の前の美女―ウミ―がその整った容姿を崩してニコニコと締まりのない顔をしているからだ。
「アハハ、ウミ…ウミかぁ」
それだけ喜んでくれると名付け親としても名付けた甲斐があったってものだ。
しかしこれだけの美女から惚れられたとなると悪い気はしないな、思わず頬が緩むのを抑えられない。
俺がニヤニヤしていると一足早く我にかえったウミが話し掛けてきた。
「あ、そうだ、魔法についてとか教えるって話だったね。まずは一般常識からいこうか?」
「ああ、まぁ軽くでいいから教えてくれ」
「うん、まずこの世界の名前はアルメリア、君の世界から見たら異世界にあたるね。種族は大きく分けて魔、獣、人、天、精霊の五つ。中央に大きな大陸が一つあって、その回りを囲むように島が五つある。島にはそれぞれの単一国家が一つあって中央の大きな大陸には混成国家がいくつもある。それでここは魔の国“シェイド”その更に辺境の僕の城付近さ。」
ウミは一息つくと、分かったかな?といった顔でこちらを見てくる。
肯定の意を示すために一つ頷きを返す。
ウミは満足したようで一層笑みを深めてまた喋り出す。
「で、魔力かな。闘ってるときも少し言ったけどこの世界には君の世界と違って魔力が溢れている。ま、この辺りは特に濃いけどね。僕達魔族は個体差はあるけど体内に魔力が溢れていて、魔力が生命源だから魔力があったほうが調子はいいんだけどそれ以外の種族は魔力に体が慣れないと本来の力が発揮出来ないんだ。で、魔法なんだけど僕達魔族は体内の魔力を使って現象を起こすからただ心の中で想像して創造すればいいんだ。だから魔族はそれぞれ固有魔法を持っているのが一般的だね。だけどそれ以外の種族は世界に溢れてる魔力、自分のものではない魔力を使わないといけないから詠唱したり補助具を使ったりして事象を起こさないといけないからある程度体系化されて伝わっているね、だからそれぞれの個体で固有の魔法は少ないね、種族毎に伝わってる魔法はあるみたいだけど。少し休もうか?」
俺の頭に疑問符が沢山浮かんでいたのを察したのかウミがそんなことを言ってきた。
バカにするな、と言いたいところだがその気遣いは適切なものであったことを認めざるを得ないだろう。
俺はそれほど理解力が良くないが自分なりに精一杯頭を捻って要点を理解しようと努める。
「つまり、俺は魔族じゃないから魔法を使うには呪文とかを覚えないといけないと、面倒だな。それに魔力に体が慣れるってどのくらいかかるんだ?素の状態だと体が重いし頭も重い。どうにかならないか?」
「う~ん、それは個体差があるんだよね…あ!それ全部一気に解決する方法があるんだけどどうする?」
ウミは困ったような顔をして話していたが話している途中で悪戯を思い付いたように目を輝かせている。
…あの表情が気になるが手っ取り早く強くなれるならそれに越したことはない。
多少のリスクはあるだろうがそんなことは関係ない、望むところだ。
「ああ、それで頼…んむっ!!」
突然視界一杯に広がるウミの顔、大きな水色の瞳は閉じられていて長い睫毛が俺の頬を優しく撫でる。
細く柔らかな髪は首筋を撫で、その首には真っ白な両腕が絡められてきた。
口付けをされていると気付くのに時間はかからなかった。
その事実に思考が追い付いた頃俺の舌に柔らかく温かい、ザラっとした舌がねっとりと絡み付いてきた。
それと同時に体中に広がるこの熱さ、まるで体中がウミで満たされていくみたいだ。
気づけば俺はウミの背中に手を添え、その細い体を抱き締めていた。
二つの柔らかな膨らみが俺の胸で形を変え、ウミから香る甘い香りで頭がクラクラする。
俺の方からもウミの舌を貪り、口内を蹂躙しどれだけたっただろうか。
どちらからともなく離れる俺とウミ、見つめあう二対の瞳は潤み、熱が込められていた。
「いきなり…何を…」
「アハハッ、まぁしたかったってのが一番大きいかな?気持ち良かったでしょ?」
「ふざけるな」
気持ち良かったのを否定する気は全くないがとりあえず不満を言葉と表情で表してみた。
ウミは慌てた素振りも見せず言葉を足してきた。
「さっき言ってた方法だよ、メンドクサイのは嫌なんでしょ?だから今口の中から僕の魂と魔力の一部を流し込んだんだ。これで体内で魔力を生成出来るから身体能力も発揮できるし、呪文なんて必要なく魔法も使える。それに僕の魂に刻まれた魔法や魔力の使い方も君に魂レベルで刻み込んだ。理屈じゃなく感覚で理解出来ているハズだけど?」
そう言われてみれば体も頭も軽い。それにいつも意識している“気”と違ったエネルギーが体の中で渦巻いているのがわかる。それの使い方も確かに感覚でわかる。
これは強力な力だ。
思わず笑みが溢れる。
その姿をウミに見られていたようだ。
「気に入ってくれたかな?ちなみに僕の魂を一部あげたから君は“魔人”になっちゃったけど君なら別に気にしないよね?」
「ああ、いい気分だ。礼を言う。」
そんな些細なことこの力の前ではゴミの様なものだ。
さて、早速試してみるかな。
キスシーンに力入れすぎっていう(笑)
次回も説明が多くなるかもしれません
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