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不落の龍神  作者: グー
3/12

3.僕の名前はウミ!



「ところで俺、元の世界に戻れるの?」

「戻すことはできるけど・・・君に大分ダメージを受けたからね。肉体を回復して、魔力を戻さないといけないから3ヶ月くらい待ってくれたら・・・」

「いや、いい」

「は?」


俺が否定の言葉を口にすると”悪魔”が目を丸くしてこっちを見ていた。あんなナリして意外と表情豊かなんだな。

しかし、俺はいくらこっちに来たばかりで魔力に耐性がなかったとしてもあれほど一方的にやられた自分自身に対して猛烈な怒りを感じているんだ。

元の世界では”不落の龍神”なんていわれていい気になっていたことも認めるが、俺も魔力やそれに”魔法”に興味がある。

俺も使ってみたい。


「俺は”強さ”というものに興味があってな、こっちには魔法や魔力というものがあるのだろう?俺も使ってみたいのだが使えるか?」

「そりゃ魔力に体が慣れてきたら多分使えるけど・・・、元の世界に帰りたくないのかい?」

「かえりたくない訳ではないがそれほど未練はない。あちらの世界では俺を震わせてくれるような強者はもういなかった。しかしこちらの世界では枷を外していなければお前にぼこぼこにされていた。魔法を使えるようになってもっと強くなりたいのと、強者と戦いたいがためにこちらの世界に残った。」


あちらの世界では何重にも枷を施していないと日常生活もままならなかったからな、この世界では今のところある程度自由に動けそうだし、何より楽しそうだ。目の前のこいつもある程度強かったしな。


「ククク・・・アッハッハッッ」


そんなことを考えていると突然目の前の”悪魔”が笑い出した。異様な勢いで笑っているけど大丈夫か?

しかし何がそんなにおかしかったのだろうか?理由もなくこれだけ笑われるとムカムカしてきたな。

ヤッチマウゾコノヤロウ


「なにがおかしい」

「いやいや、”異世界人”にしては面白い考え方だと思ってね。”異世界人”は”和”を尊ぶ考え方だと思ったんだけど。君に興味が湧いてきたよ」


そういうと”悪魔”の体が光に包まれ、そこには一人の美女が残されていた。

腰まである水色の髪ははよく艶があり枝毛一本なさそうだ、透き通るような白い肌という表現がここまで似合うのも珍しいだろう。大きな碧色の瞳は楽しげに細められ、朱を塗らなくてもなお紅い唇も緩やかな弧を描いている。女性を象徴する胸や尻はそれほど大きい訳ではないが、細くしなやかな死体とあいまってよく均整がとれており、女性らしさを十分に発揮している。

流石に俺が驚愕に目を開き言葉を失っていると、目の前の美女がより一層笑みを深くした。


「僕たち魔族は人形に姿を変えられるんだよ、どうだい美しいだろう?」

「ていうか女だったのか」

「男も女もないんだよ、興味を惹いた相手にあわせて姿を変えるから。だけど今後はこの姿に固定だ。僕を女にした責任は取ってもらうよ?」


そういい、やつは魅惑的な笑みを俺に向けてきた。

は?ていうか・・・は?

何を言っているんだろうこいつは?責任って何?そもそもどうやってとればいいんだ?

よほど俺の顔が疑問に染まっていたんだろう。やつがニヤニヤと笑いながらまた口を開く


「魔族はね、基本的に性別もなく、寿命もないんだ。魔力がなくなれば消滅するけどね。だけどそれだけじゃつまらないだろう?だから僕たち魔族は生まれた後一番興味を惹かれた相手を誘惑しようと、その生物に対なる存在に変化することができるんだ。獣なら獣、人なら人、雄なら雌、女なら男といった風にね。で、僕は君に興味を惹かれた、だから人間の女に変化したという訳さ。もうもとの魔族には戻れないから責任を取ってくれといった訳さ、ここまではわかったかい?」


・・・なんだかよくわからんが要するに俺に惚れたから俺に好かれるような姿になったってことかな?

その認識をそのまま口に出す


「その認識で概ね間違いないと思うよ。で、責任の取り方なんだけど、君が異世界に帰らないなら僕と一緒に過ごさないかい?強者に会いに旅に出るというならついていくし、体を休めるなら一緒に住もう。魔力の使い方や魔法、一般常識、といっても魔族の僕が知っている範囲でよければ教えてあげるよ?」


なんだか話がうますぎるような気がするが、こいつは俺に惚れているのだからこんなもんなんだろう。

それに俺にとって特に問題となる点はなさそうだ。

こんな綺麗な女ー元の姿を思い出さないようにする必要はあるがーと旅ができるなんて、俺の方から望みたいくらいだ。

それに俺もこの世界のことを知らないと生きてくことも大変かもしれないしな。まぁどうにかなるだろうけど。


「特に断る理由はないな、勝手にすればいい。俺は強者に喧嘩を売りに、もとい会いに行くつもりだ。どこに向かえばいい?」

「ここから3日程西に向かったところに人間の大きな町があるよ、まずはそこを目指そう」


おそらく西であろう方角を指差しながらそんなことを言う。

3日か・・・結構距離はあるが本気で走れば数時間でつくだろう。疲れるから最後の手段だけどな、こいつがついて来れないかもしれないし。

あ・・・そういえば


「お前の名前はなんていうんだ?一緒に旅するんなら名前くらい教えてくれ」

「魔族のときの名前はウエルシフェルスだけど長いし、人間になったんだから君に名前を付けてほしいな」


確かに長いし呼び辛い・・・。だけどこの俺が誰かに名前を与えることになるなんてな。

思わず自嘲の笑みを零す。

俺が考えている間やつは期待するような笑みを浮かべている。


「よし!最初に言っておくが文句は受け付けない。お前はウミだ!」

「ウミ・・・ウミ、うん!僕の名前はウミ!これからよろしく!」

ネーミングセンスに関する苦情は受け付けません、

それ以外で感想、評価、アドバイスなどなどぜひよろしくお願いします!

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