2.”悪魔”との
初めての戦闘シーンです
心の中で地球に別れを告げ、後ろを振り返るとそこにはやはりと言うべきか先程の“悪魔”が立っていた。
何やらニヤニヤしているが、先程より明らかに威圧感が増している。
少し警戒していると徐にやつが口を開く。
「そんなに警戒しなくてもいいよ、まずは少し話そうじゃないか。僕としても久しぶりの客人で嬉しいんだ、まぁ君が勝手についてきたんだけどね」
「なんだと?」
「話だよ話、色々気になってる事もあるだろうし質問にも答えてあげるよ」
「…ふん、なら色々聞かせてもらおうか。まずここはどこだ?」
「それは君も予想してるんだろう?異世界だよ、まぁ僕からすれば君の元いた世界が異世界なんだけどね。世界の名前は“アルメリア”そしてここは魔族の住む魔界、その僕の城近くさ。」
やはり異世界なのか、もう一度さよなら、地球。
まぁそれは半ば確信していたからいいだろう。
それにしてもペラペラとよく喋るヤツだな、好都合だが…。
「何故か体が重くて、頭に靄がかかったみたいなんだがこれは?」
その質問をすると一層声の調子が嬉しそうになった。
どうやら聞いて欲しかったみたいだ、なんだこいつは。
「それはね、魔力に体が慣れてないんだよ。君の世界には魔力がほとんどなかったからね、だけどこの世界には魔力が溢れている。魔力はそのままだと生物に負担をかける、だから魔力に慣れないと普段の力を出せないんだよ。ちなみに僕達魔族にとっては魔力が生命源だからないと逆に力を出せなくなるんだけどね。さぁ、僕が何を言いたいか分かったかな?」
そういう事かよ、ペラペラ喋ってたのは余裕の現れってことか。
本格的に体が重いからな、こりゃヤバいかも知れない。
「俺はここで死ぬ、か?」
「正解!」
その声と同時にヤツが飛び込んでくる、早い!
狙いは水月か!真っ直ぐヤツの右拳が迫る、左手で払おうとするが間に合わない。
「グッ!」
く…重い。間髪を入れず左のハイキック、これも避けられず俺は地面に沈む…ことも許されず膝での蹴りあげ、アッパー、フック、後頭部に肘打ちを落とされ、ようやく地に伏すことを許された。
「ガッ!グッ!ガハッ…ハッ…ハッ…ハッ!」
「君には二発殴られたからね、三倍返しだよ。」
あ~まさか魔力の影響がこれ程とはね、この俺が手も足も出ないなんてな。世界は広いな。
だけどいつまでもこのままやられっぱなしなんて俺のプライドが許さない!
「ふん、意外と呆気なかったな。最後に今度こそ地獄の炎を見せてあげるよ。」
《ヘルファイア》《ヘルファイア》《フェニックス》
ヤツは俺に興味を無くしたようだ。声色が急に冷たくなったかと思うと、
両手の平を俺に向けそれぞれが俺が二、三人入りそうな炎を出すとそれを合わせた。そこには燃え盛る鳳凰が顕現していた。
…普通ならこれで終わりだろうな。仕方ない、枷を解くか。
「さて、何か言い残すことはあるかい?」
「ふん、それはお前の方だ!見せてやるよ、龍宮流無差別闘法、心の章《枷外》!」
「それが遺言でいいのかい?じゃ、さよなら」
俺は一度目を瞑り、まず自分の体全てを把握する。筋肉、骨格、神経、内臓、血液、チャクラの流れなど全てだ。そして、臍の下あたりと、脳のあたりに一度溜め、その後猛烈な勢いで循環させる。すると頭の奥の方から何かが割れるような音が聞こえてきた。
…外れた。
その間にヤツは鳳凰をこちらに向けていたようだ、既に鳳凰は俺に肉薄している。
俺は手刀を頭上に振りかぶり、勢いよく降り下ろした。
鳳凰は手刀に沿って真っ二つに割れる。もちろん俺は無傷だ。
「な、なに!?そんなバカな!?」
ヤツは驚いているが既に俺はヤツの視界にはいない。
背後に高速で移動したのだ。
「冥土の土産にもうひとつ!龍宮流無差別闘法、技の章奥伝《朱雀》」
背後からヤツを蹴りあげる、俺も翔び、蹴りあげ続ける。
二十も蹴り続けたところで肩を踏み台にしヤツより高く飛び上がり、そのまま回転踵落としを脳天に落とす。ヤツはそのまま地面に衝突し大地に深めのクレーターを作る。
あー、やっぱり魔力の影響って凄いのな。枷外しても全然力出ないや、まあまあ力込めたのに相手の原型残ってるもんな。ピクピクしてるから生きてるだろうし。
「その力…化物か」
「それはもう言われ飽きたよ、ところで俺元の世界に帰れるの?」
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