精神科の患者になって
掲載日:2026/05/30
精神科病棟で過ごしていると、さまざまな状態の患者さんと出会う。
食事がほとんど取れない人。夜も眠れず苦しんでいる人。部屋から出ることができない人。活動に参加できず、涙を流している人。頓服薬を飲みながら何とか一日を過ごしている人。
そんな姿を目にするたびに、「心の病気は簡単に治るものではないのだ」と実感する。そして同時に、なかなか回復できず苦しみ続けている人がいる現実に、悲しさを覚える。
少しでも楽になってほしい。少しでも穏やかな時間を過ごせるようになってほしい。そんな思いが自然と湧いてくる。
一方で、私は食事も取れているし、眠ることもできる。活動にも参加できている。そのため、「自分がここに入院している意味はあるのだろうか」「もっと大変な人がいるのに、私は迷惑なのではないか」と考えてしまうこともあった。
それでも今の私にできることは、自分に与えられた治療や活動に真剣に向き合うことだと思う。体調の優れない人たちの分まで、という気持ちで一つひとつの活動に取り組んでいる。
そして何より強く願うのは、医療のさらなる進歩である。今は治療が難しい病気や症状であっても、いつかは回復への道筋が見つかり、多くの人が苦しみから解放される社会になってほしい。
病棟で出会った人たちの姿は、その願いを私の中でより強いものにした。




