各々の仕事
「よっと…」
鉈を振り下ろし薪を割る。パカン!と小気味の良い音が響く
「おやおや、こんなに薪を用意してくれたのかい?」
「む?ああ、女将か…薪割りは結構な労働だろう?それに、女将には世話になっているからな…」
汗を手ぬぐいで拭きながら食事処の女将と話す
「全く…義理堅い人だねえ…元はアタシらがこの邑を守って欲しいとお願いした立場なのに…」
「だからと言ってタダ飯を食べるワケにもいくまい?ならば賊が出ない時は働かねばな。」
「本当に、アンタって男は…関羽ちゃんくらい義理堅いかもねえ…」
「ふむ…軍神関羽と比べられるのは自慢になるな…それで、女将…店の方は良いのか?」
「ああ、今は休憩中さ。昼時は過ぎたからねぇ…」
「なるほど…では、私も少し休むか…」
「そうすると良いさ。ほら食事を持ってきたよ。」
「なんと、支度の良い女将だ…」
「まあ、余り物だけどねえ…」
「メシが食えれば何でも良いさ。馳走になる。」
そう言って女将から弁当らしき物を受け取り手を合わせて食事を始める
「本当にアタシらは感謝しないとねえ…」
「む?何がだ?」
米を口に運びながら問う
「そりゃ、邑の護衛だけじゃなくてこうやって、劉備ちゃん含めアンタらがウチの邑で困ってる人も助けてくれていることにさ。」
「当たり前だと思うが…」
「でも、アンタは良いとこの出なんだろう?」
「うむ。少ないながらも拝領された領地を運営していたな。それが何か問題か?」
「普通なら、こんな辺鄙な邑で仕事なんかしないだろうに…」
「ふふ。これも天運。ならば自分の出来ることをするまでよ。」
「アンタの領地の民たちは幸せだったろうねえ…」
「さて、どうであろう…自分には分からんよ…さて、馳走になった。自分はまた仕事に戻る。」
「アンタってホントに仕事人間だねえ…」
「少なからず給金は貰っているのでね。仕事はせねばなるまい?」
「ホントに、アンタって男は固いねえ…」
「自分の仕事を全力でこなすのは当然だろう?」
「そうかも知れないけど、アンタらの仕事は邑の護衛で薪割りじゃないだろう?」
「そんな毎回のように賊が来るワケでもあるまい?ならば、他の仕事もするさ。」
「はあ…じゃあ、他にも仕事してもらおうかねえ…」
「ん?何をすれば良いのだ?」
「皿洗いさ。」
「まあ、それくらいならば…」
「よし。決まりだね。じゃあ、お願いするよ。」
「うむ。任された。」
そうして今度は皿洗い…
「劉備たちは大丈夫だろうか…」
そんなことを呟きつつ、頼まれた仕事を黙々とこなすのであった。




