「異世界」という概念すらない戦国武将の「異世界?生活」
関ケ原…天下分け目の大戦である。
「「うおおお!!」」
槍が交差し、刀が交わる。そんな音を聞きながら
「我らは小勢!しかし、勢いは止められん!攻めよ!本陣には近づけるな!」
「「応!」」
300の兵が声を上げる。
この部隊を率いるのは、西軍に付いている、5万石を治める武将「三船 哮惣哮惣」
「伝令!宇喜多隊は総崩れ、島津隊は撤退の様子、東軍はこのまま味方本陣へ到達致します!殿もどうか撤退を!」
「ちぃ!致し方ない、総軍撤退する!三成殿には御恩はあるが、このままでは我らも保たん!撤退するぞ!」
「応!」
そうして、三船隊は散り散りに撤退するのであった…
そうして、幾何か馬を走らせ撤退していると気づけば哮惣は1人での撤退となっていた
「しまった、皆とはぐれたか…。しかし、我が兵は精兵、恐らくは大丈夫だろうが…む?」
独りで現状の把握をしているときに、遠くから光が見えた。その瞬間、あっという間に。哮惣は光に包まれてしまった。
「なんだ、これは…何かの妖術か…?しかし、何か起こる訳でもない…何なのだ…」
何があっても良いように腰から下げている刀の柄には手をかけている。しかし、何も起こらず、そのまま進むことにした。そうして、どれだけ進んだのだろう…気づくとそこは見慣れぬ風景、そして、悲鳴や剣戟の音の響く戦場であった
「なんだ、ここは…」
辺りを見回すと、逃げ惑う民、そしてソレを襲う賊らしき集団…
その時…
「あ、ここにも生き残りの方が…あの、早くこちらへ!」
桃色の髪をした少女が哮惣に叫ぶように逃げるように言う
「む?其方は…いや、ここはどこだ?」
「今はそんなことを言っている場合じゃないです!早く逃げないと…」
「むぅ…分かったが…この惨状はなんだ…?」
「邑が賊の襲撃を受けているんです。私は、皆を安全な場所へ避難させようと…」
「なるほどな…相分かった。では微力ながら、私も協力しよう。」
「本当ですか?ありがとうございます!では、早くこちらへ!」
「うむ。」
そうして、2人は避難所まで走るが、賊と鉢合わせしてしまう。
「おーっと…ここから先には行かせねえぜ。」
「がはは!そこの女は上玉だなあ…」
「こっちの男も良いモン着けてるじゃねえか。お前ら、こいつらの身ぐるみ剥がすぞ。」
下卑た笑みを浮かべながら近づいてくる数人の賊
「ちっ…」
舌打ちをしながら、腰から下げた刀を抜く哮惣。
「おいおい、そんなモンで俺たちとやろうってか?お前ら、やっちまえ!」
一斉に掛かってくる賊だが、哮惣の刀により切り伏せられていく
「なんだ、コイツ…」
「私は三船 哮惣。5万石という、小領ながら領地を治める武将である。貴様ら賊とは訳が違うわ!」
もう1人切り伏せ、名乗る。
「領主だと?そんなのがこんなところで何してやがる!」
「知らん。だが、貴様らは敵だと判断した。ならば斬るまで。」
「桃香様!」
そこに今度は黒髪の女性がやってくる
「愛紗ちゃん!」
「ちっ、増援か…」
「どうする?引くなら今だぞ?それとも、刀の錆になりたいか?」
「おい!野郎ども、引くぞ!」
そうして、賊は撤退していった
「ふう…。しかし、賊にこの邑…」
じっくり観察するが哮惣の記憶では、こんな建物や、少女たちの服装には見覚えが無い…何処に来てしまったのだろう…と考えていると…
「あ、あの…」
「ん?ああ、ケガはないか?それに被害も大きいだろう…」
「いえ、その…助かりました。」
ペコリと頭を下げる少女
「桃香様、このような訳も分からない人間に頭を下げるなど…」
「でも、この人が居なかったら、私は襲われてたよ?愛紗ちゃん。」
「それは…そうかも知れませんが…」
「して、貴女方は…?」
「む?私は関雲長。そしてこちらは…」
「劉玄徳です。」
「なんだと…?あの軍神、関雲長と、人徳の劉玄徳だと…?」
知識としては持っていた、大陸から入った書物に記されていた歴史上の人物である。
「むう…」
「それで…貴方は…?」
「おお、これは申し遅れた。我が名は三船 哮惣である。小領ながら5万石を治める大名だ。」
「大名…?」
「領主とは違うのか?」
「むう…領主との違いを問われると似ているものだが…」
「しかし、こちらにも桃香様を救っていただいた恩がある。それに、三船殿のその恰好は戦の恰好だろう?何があったのか聞かせて欲しい。」
「うん。愛紗ちゃんの言う通りです!私も三船さんのことが知りたいです。」
「む?そうか…では、自分が把握していることは、出来る限りお話しよう。」
「では、桃香様、鈴々も待っているでしょうし、まずは鈴々と合流しましょう。」
「そうだね。じゃあ、三船さんも。」
「うむ。」
そうして、関羽と劉備に連れられて住民の避難場所へ向かうのであった




