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『白い手』

とりあえず読んでみてください。


わたしの白い手を見ていた。

何も汚れていないと思っていた。


けれど、その手は

いつのまにか

誰かの肩を押していたのかもしれない。


声を、いつしか、塞いでいたのかもしれない。

涙を見ないまま、

通り過ぎていたのかもしれない。

 

わたしは、ただ立っていた。

何もしていないつもりで、

何も壊していないつもりで。


けれど、

その「つもり」が、

誰かの沈黙を呼んでいたのだと、

いまは、思う。

 

自分の痛みを言葉にしたとき、

空気が、音もなく、凍った。


誰かが、黙った。

その沈黙に、

耳を澄ますことを、しなかった。


沈黙の奥に、

沈んでいたものを、

知ろうともしなかった。

 

靴の裏に

乾いた泥がついていた。


どこで踏んだのか、思い出せない。


けれど、

それが誰かの庭だったことだけは

その庭の静けさが、わたしに告げていた。


足跡が

そこに

残っていた。

 

白い手は

きれいなままで

何も掴まず

何も手放さず

ただ

すべてを通り過ぎていった

まるで

何も関わらなかったかのように

 

けれど

その無垢さこそが

誰かの痛みを

見えなくしていたのかもしれない

 

いま、

その手を洗う水が、冷たい。


それは、わたしのせいかもしれない。


水は、沈黙の重さを

冷たさで、ただ、伝えていた。



読んでくださった方々、ありがとうございました。

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