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温かいご飯でお腹が満たされたあと、マリアさんに「紹介したい人がいる」と告げられた。
彼女が食器を下げるのと入れ替わるように、寡黙そうな男性が部屋に入ってくる。
背が高くて、体格もがっしりしてそう。
顔を見上げると、表情の変わらない、不器用そうな人だという印象を受けた。
食器を誰かに任せたのだろう、マリアさんはすぐに戻ってきた。
「彼は聖女様の護衛に付く騎士です。昨日からこの部屋の前で見張りをしていました」
「ロディと申します」
胸の前に右手を当て、首をぺこりと少しだけ動かした彼は、それ以上言葉を続けなかった。
「星野ナナです。これから護衛、よろしくお願いします」
なんだか、少し変な挨拶だなあと思った。
ロディさんはそれに「はい」とだけ返した。
どうやら本当に寡黙な人らしく、それ以降、彼が口を開くことはなかった。
私もどう反応すればいいのか分からなくなって、マリアさんへ視線だけで助けを求める。
「無口ですが、剣の腕は確かです。下に兄弟がいるからか、気の利く人でもありますよ。ご安心ください、聖女様」
ロディさんは、そのまま部屋の扉の脇に立った。
壁に寄りかかるでもなく、ただそこに立っている。
「……立ったままで大丈夫ですか?」
「問題ありません」
短い返事だった。
そのままずっと、立っているつもりなんだろうか。
護衛なら、きっとそれが普通なのだろう。
私はそれ以上気にしないことにした。
コンコン、と扉がノックされる。
「失礼いたします、聖女様」
入ってきたのは、神殿長補佐だった。
「準備が整いました。このあと、貴族の方の屋敷へ向かっていただきます」
祈りのため、らしい。
「では、参りましょう。護衛を伴って移動します」
私は小さく頷いた。
ロディさんは何も言わず、私の一歩後ろに立った。




