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召喚された聖女は、秩序を守る  作者: はたの


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いつものように、朝食後のお茶を飲んでいた。


「おかわり、いかがなさいますか」


そう言われて頷いた、その時だった。


手が滑ったのか、熱い湯の入ったポットが傾き、マリアさんの腕に落ちる。


「っ……!」


声にならない音が漏れて、マリアさんはとっさに腕を押さえた。


──体が、勝手に動いた。


「マリアさん!」


考えるより先に、二の腕を掴んで引き寄せる。

そのまま、抱きしめていた。


離す、という選択肢が浮かばなかった。


腕の内で、マリアさんの身体が強張って、早かった鼓動が、少しずつ落ち着いていく。


気づいた時には、白い光が、私たちを包んでいた。


「……聖女様……?」


驚いたように、マリアさんが私を見上げる。

いつもは変わらないその表情が、はっきりと揺れていた。


その瞬間。


「──何かありましたか」


扉が開き、ロディさんが入ってくる。


床に落ちて割れたポット。

まだ消えきらない光。

そして、私に抱き寄せられたままのマリアさん。


一瞬で状況を理解したのか、ロディさんは何も言わず、私の腕に手をかけた。


静かに、けれど迷いのない力で、私とマリアさんの距離を、引き離す。



「痕、残ってないですか!?」


ハッとしたように、マリアさんは袖を捲り、自分の腕を確認した。


「……大丈夫です、ありがとうございます、聖女様……」


いつもの落ち着いた声音とは違い、言葉が少しだけ途切れがちだった。



ホッとしたのも束の間、肩に添えられた手に導かれるまま、私はロディさんの方を向いた。




「……祈ったのですね?」


彼に確信したように聞かれて、順番表を無視してしまった事を思い出し、私は少しだけ視線を逸らした。


「すいません……でも、マリアさんが痛い思いをせずにすんで、良かったです」


これが正しいのかは、私には分からなかった。



ロディさんは何も言わなかった。

マリアさんも、何も言わなかった。




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