第8話 冒険者フレッド
前々から気になっていたことがある。
それは、この世界の言語を理解出来るかということ。
幸い、神はしっかりと調整してくれたらしく僕が街で困ることは今のところ無い。
だが...金が無い。そして、金が無ければ装備も情報も揃えられない。
唐突だが、僕は今、質屋に来ている。
何故かって? 街に来てすぐ、僕はファンタジー物の定石 冒険者ギルドに行き、冒険者登録しようとした。
冒険者になれば、その日の生活費は稼げるだろうと
思ったからだ。
しかし現実は甘くなく、登録には登録費の支払いが必要だった。
最初は日雇いの肉体労働で賄おうとしたが、それらでの労働は身分証か冒険者資格が必要で、僕は諦めざるを得なかった。
その結果が質屋である。
ただ、この質屋 怪しい。
最初に識字できるか聞いてきたのはまだ分かる。
だが僕がYESと答えると、質屋は一瞬顔をしかめ、
別の案内を僕の前に持ってきた。
十中八九、法外な規約を持ち掛けるつもりだったのだろう。
とは言え、一振りのナイフを質に、貸し出してくれるところも他になかったため仕方がない。
長らく愛用してきたコンバットナイフを手放すのは寂しいが、他に質に出せるものがないため仕方ない。
「必ず取り戻してみせるから、待っていてくれ。」
ナイフと引き換えに手に入れたのは、170ゴールド。
ゴールドとは、この世界の通貨単位であり、
1Gが約100円といったところか。
というのも、使われているのは金ではなく、銅や鉄が主であるからだろう。
ちなみに街への通行料は7G、ギルドでの冒険者登録費は、100Gもかかる。
また、最低限の武器も買わないといけないため、
宿に泊まってしまうと、手元がかなり寂しくなってしまうので、公園の木の上で寝ることにした。
こういう時もエルフの体は便利だ。
........いつの間にか自宅守護者どころか
ニートにまで成り下がっている気がする。
「よう、兄ちゃん。
今日はしっかりと登録費持ってきたか?」
このおじさ...お兄さんの名前は、マッスル。
エールのギルドで受付人を務めるフランクな人で、
いかにもマフィアの.....冒険者の様な見た目だ。
「ああ、100Gしっかりと持ってきた。」
「確かに受け取った。
それじゃ、登録する前にステータスを測るぞ。
暫く、水晶に手を置いてくれ。」
自己申告での詐称対策か...そういえば最近ステータス見てなかったな。
「アルフレッド=ヴァン=スミス
レベル32で、職業はレベルⅠの守護者、
体力450 魔力512 敏捷483 知力740か。
知力はかなり高いが、知力はなぁ...
軍の司令官でもない限り役に立たないだろうな。
他のステータスもそこそこまとまってるし、
Cランク位が妥当か?」
敏捷? 知力?ステータス表示じゃ見たことないな。
それにしても職業のレベルは上がってないのか.....
何か条件でもあるっていうことか?
「まぁ、そんなこったどうでもいい。
坊主、冒険者の説明は必要か?」
―わざわざ測っておいて、「どうでもいい」は、ない
だろう「どうでもいい」は。
...... まあ、いいか。
「ああ、頼む。」
「じゃあ、まあ、冒険者は冒険者ギルドに所属し、
キルドから紹介された依頼を請け負う。
依頼を達成出来れば報酬は全て冒険者のものとなる
が、もし失敗した場合、ギルドは一切補償しない
し、責任も負わない。」
「冒険者には、FからSのランクがあり、
モンスターも同じ様にFからSに分類される。
Fとかは例外だが、基本的には冒険者とモンスター のランクで強さは一致している。
それだけだ。分かったか?」
「ありがとう」
「ほら、発行できたぞ。これが冒険者カードだ。」
―これが冒険者カードか......サイズは、クレジット
カードとそう変わらないな。
......最初は誰しもFランクか、早くランクを上げないと十分な報酬が得られないな。
「これで兄ちゃんも浪漫を求めるエクスプローラー、
冒険者の仲間入りだな。」
"浪漫求めるエクスプローラー"か、悪くない響きだ。




