表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者の剣 - 男を動かすのは情か理屈か -  作者: 佐藤太郎
第二章 回り始める世界
47/59

第45話 墓地探索 - Ⅲ

「なぁ、本当にこっちで合ってるのか?」


「ふっ、愚問だ....運命の導き、それ即ち天啓!

 だが我は神のマリオネットには非ず....運命を切り開きし者なり!」


「それって、結局分からないつぅーことだよな?」


「汝、愚かなる者よ....何故(なにゆえ)貴様は先を()るを欲するか?」


「さっきから何言ってんのか、全然分かんねぇよ...

 いい加減元に戻れ!」


「これは血の契約...我は我で...「後でローズマリアにバーでお前が言ってたこと...全部教えてやる。」」


「分かったよ...これで良いか?」


「ああ、それで良い...うッ...また、酷くなってきた...」


「冥府が門は疼くか...ならば我が...「止めろ!」」


そっちが誘ってきたクセに....まぁ、仕方ない....か?




―だがその時、微かな、だが聞き慣れた絶叫が彼らの耳へと届く。


「ギィーャー! た、助けて〜!」


.....


「今なんか聞こえたか?」


「...なんだか嫌な予感が...」


―案の定、その声の主は....


「「サイモンか....」」


―サイモンはいつも通り叫びながら走り回っている。


 どうやら、彼にとって走る場所など関係ないようだ。


「なぁ、アイツなんで走ってるんだ?」


「さぁ....? いつもならスライムとかに追われてるけど....」


今回限りはそういうわけでもなさそうだ....とうとう走らないと気が済まない病気にでもなったのか?


―若干サイモンに失礼なことを考えている間にも、徐々にサイモンは2人のもとへと迫ってくる。


「たす、助けて....ハッ!」


あっ、見つかった。


「助けてくれ〜! フレッド、フレート!」


―だが、その表情には普段にない青ざめたものがある。

 彼らのもとへと辿り着いたサイモンはフレッドの足にしがみつき、その恐怖を訴える。


「助けてくれよ...フレッド、フレート!」


「近づきすぎだ、あと僕の足を掴むな......で、どうかしたのか?」


「ゆ、ゆゆゆ....!」


「「ゆ?」」


―怯えた様子のサイモンの口からはただ一文字"ゆ"の響きが出るのみだ。


「ゆ...ここで"ゆ"つったら....」


「墓地で"ゆ"と言ったら.......」


まさか....


「幽霊が出たんだよ、助けてくれ!」


はやり、幽霊か!


「見たのか!?」


「えっ? なんというか.....こう、(もや)みたいな...とにかく助けてくれよ!」


「別に幽霊が追いかけて来たわけじゃないだろ? 

 そんなことよりも、幽霊はどこに!?」


幽霊....実に惹かれる!


「え? そりゃ、俺が走ってきた方にい....ッ!」


「サイモン...? サイモン!」


返事がない...


―彼らに伝えようと後ろを振り向いたサイモンは、その目を"何か"に当てたまま動きを止めてしまった。


「安心して気絶したんじゃねぇか? でも、どれどれ? 一体何が...って....あっ」


「アルフレート!?」


―サイモン同様、アルフレートまでもが白目を剥き、倒れ込んでしまった。


.......


「おい、アルフレート!」


2人とも気絶するなんて一体何があるって言うんだ...



―フレッドはサイモンの来た方向を見てみると...


「ん? 人はいるけど...幽霊なんてどこにも...」


人はいるけど...他に何かいるか?


それにしてもあの人....もっとも僕が言えたことじゃないが、墓場に緑色のスーツで来るとは...


おっと、目があってしまった...


―フレッドは少し微笑んだ後に視線を外そうとするも、スーツの男は奇妙そうな顔をした後、フレッドの方へと歩み寄ってくる。


.........


「えっと....どうかされましたか?」


―緑スーツの男は彼目の前へと"ぐっ"っと距離を縮めると、さらに驚いたような表情をとる。


 そして......


「君の目に....私はどう映る?」


「え? 綺麗なスーツ姿だと思います.....よ?」


どうしたんだこの人? なんで自分の格好なんて...

それにしても、何か違和感が....ん?足元に影がない...


―男は暫く考える様な仕草をした後、怪しげに口角を上げる。


「そうか....そこまで見えるか....ならば、少し君の体を拝借させてもらうこととしよう。」


「え? それはどういう......あっ」


あっ、そういうことか....


―男がフレッドの肩に手を乗せると、たちまち男の姿は靄が切り裂かれる様に消え去る。



「うむ、やはり体があるというのは素晴らしいものだ....さて、一先(ひとまず)はこの忌々しい墓地を出ることとしよう。」


―その声は普段の彼のものとは違い、低く、また体の底を震わせる様なトーンであった。


この2人の青年は...体の持ち主の知り合いであるか....

ならば連れ出すのもやぶさかではない。



― "エルフの姿をした者"は地面に横たわるサイモンとアルフレートを抱えると、墓地の外へと歩みを始めた。


...........


「やはり2人分となると、重いものだ....」


―"その男"は歩く、だがその歩みは何を見据えているのかはまだ分からない...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ