第40話 契約 - Ⅰ
「はぁ....すっかり寒くなってきたわね...」
―ローズは珍しく朝早くからギルドに向かっていた。
...........
昨日まではここまで気温も下がらなかったのになぁ.....
それにしても......
"明日は大切なことがあるから、早めに来てほしい"って言ってたけど、一体何があるのかしら?
― 前日に彼から伝えられた事を思い返しながら、まだ寝惚けた足取りでギルドのドアをくぐる。
すると、そこには待ちくたびれた様子の彼の姿があった。
「ごめんなさい、待たせちゃって....」
「大丈夫だよ、もう慣れたし....そもそもローズが朝に弱いことを考えて、"早めに来て"って言ったわけだけから。」
あら、それは果たして優しいご配慮なのかしら?
「"慣れた"って、どういうことよ?」
「言葉そのままの意味だよ....」
そんなこと言われたって...
「フレッド.....私だって早く起きたいのよ?
でも、出来ないんだから仕方ないじゃない。」
「そうだね.....でも、今日はしっかりと来てくれた。
その事実だけで僕は嬉しいよ?」
「そう....ふふっ、それはどういたしまして!」
やっぱり、無理して早く起きて良かったわ!
― そこで彼の表情は少し蠱惑的に変わる。
ローズが彼の顔に釘付けになっている様に見えるのはきっと気のせいではないだろう。
だが、次の瞬間彼の口から発せられた言葉によって彼女はその真意を知ることとなる。
「次からもしっかりと来てくれればなぁ〜」
「なッ!」
フレッド、あなた図ったわね!
まずい...
これで私が無理すれば早く来れることがバレてしまった!
「それは....その...
あっ! そ、そんなことよりも、なんでこんな時間に呼び出されたのか、私まだ聞いてないんだけど?」
「そう言えばそうだった.....」
―彼はそこで言葉を一度止め、彼女の方に向き直す。
「ローズ、その....僕と...」
"僕と..."?
もぉ....続きが気になるじゃない。
早く言ってみて!
―その後の長い沈黙の後、続いた言葉は...
「本契約を結んでくれないか!」
..........
え?
あれだけ勿体ぶっておいて......本契約?
「勿論....良いわよ?」
「えっ?」
えっ? 何か変な事言ったかしら?
..........
フレッド? 何を驚いているのよ?
と言うかなんで皆、フレッドに"同情する"とか言ってるの?
これじゃまるで、私がひどいことしたみたいじゃない!
「は、早く、その"儀式?"を済ませましょう!」
「えっ、あぁ....」




