閑話 短編集‐再
ep.ステータス
「ステータス表示!」
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名前 アルフレッド ヴァン スミス Lv.54
体力 821/835 魔力 1168/1250
種族 エルフ?
職業 守護者Lv.Ⅱ
スキル
ファイヤーLv.Ⅲ
手元に強力な炎を発生させる
ソナーLv.Ⅳ
自身の周囲を探知し危機を報せる
フラッシュLv.Ⅳ
強力な光を発する
クリーンLv.Ⅹ
完璧な生活をあなたに、清潔はあなたのために
グラヴィティコントロールLv.Ⅴ
自らの魔力に関して重力を自在に操る
フォトニックセイバーLv.Ⅵ
強力な光を束ねた剣を生成する
フリーズLv.Ⅰ
手元に冷気を発生させる
装備武装 ちょっと高級な長弓 矢×45
手入れされた一般的なコンバットナイフ
加護 自然回復促進 消費魔力軽減 精神安定
称号 神の使い 森の守護者 自宅守護者 狂戦士
公園守護者 古典的なエルフ 健啖家
純血ならざるもの ジェントルマン 狂人
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うん、久しぶりに見たけどいつも通りだな....
って、んな訳あるかい!
"クリーン" よ、お前はどうしてしまったのだ......
いつマンションの売り文句みたいな説明になった?
最近、"いつもより早く出来るなぁ"と思ってはいたけど!
そして装備欄、お前もか....
何が"ちょっと高級な長弓"だよ!
確かにちょっと高い弓を買いはしたけど、それでも高級品からは一段、いや三段は落ちる値だったから買ったんだ!
........
なんで僕は怒ってるんだ?
これは安めで手に入った事の裏返しとも考えられる筈だ。
うん、そう思うことにしよう。
ep.件のネクタイ
「そう言えば、まだ使った事なかったなぁ...」
―依頼帰りのギルドで、彼はその首に提げたネクタイを見てそう呟く。
魔力を流し込むと硬化するという特殊なものだったが、如何せん使う機会がなかったのだ。
「なら今使ってみたら? 私もどんなのか気になるし」
「うーん....そうだな。 ――試しにやってみるか!」
―彼はネクタイを外し、魔力を流し込む。
触れてさえすれば、魔力は大体のものに流し込める。
それは例え、ローズだろうと例外でない。
この前のノール戦の時に彼女を眠らせたのも、
この"魔力の流し込み"だ。
もっとも、抵抗力の強い人にはあんまり効果はないのだが....
それにしても.....小剣大剣のあるネクタイなんて現代のスタイルじゃなかったか?
―そうした疑問を一度取払い、小剣側を持って実際に魔力を流してみると....
「おお、説明通り硬化した!」
―ネクタイはマルコの説明通り硬化し、大剣側はまるで本物の剣のようである。
だが.....
「ちょっと曲がってない?」
「流した時の状態そのままで固まるのか.....」
ネクタイの....いや、剣の中腹辺りが若干曲がってるな...
「1回元に戻してからもう一度.....あれ?」
「どうしたの?」
「魔力を切ったのに硬化が戻らない....
暫く持続するみたいだ。」
一度、"魔力場?"みたいなものが整えられると戻らないみたいなことか?
あるいは、結晶構造の固定化....結合の強化...結合を強化する存在の崩壊までは硬化は持続.....駄目だ、魔力を知らないと話にならない。
―原因を探るも、根底への理解が足りない彼は答えを導く前に挫折してしまった。
しかし、そんな彼とは対照的に.....
「ふーん....なら、私が形を整えてみせるわ!」
―彼女は自信満々にそう言い放つ。
「何か良い方法でも思いついたのか?」
「ふふっ、私に任せなさい! ――ふんっ!」
「おお、綺麗になった! ......けど」
―ローズの処置によってその剣の輪郭は直線的なものになる。
「力任せか....」
やっぱり、ローズには脳筋的な一面がある様だ....
「これで....大丈夫でしょ?」
―彼女はわざと言葉に間を入れ、妖艶に言ってみせるが...
「話の腰を折る様で悪いけど....いや、なんでもない。」
「ん? そう言われると気になるじゃない。」
「いやぁ、なんでもないさ....それよりもありがとう。」
「なんて言おうとしたのか気になるけど....
まぁ良いわ、どういたしまして!」
"殴打する武器だから直さなくても良かった"、なんて言うのは無粋だからな。
言わなくて正解だろう。
―その十分後、ネクタイは元のしなやかさを取り戻した。
ep.スキルの研究
この世界には魔法があり、そして魔法を使うためのスキルという存在がある。
スキルを組み合わせ、新しい使い方を見出そうとする者が現れるのも至極当然のことだ。
だがしかし!
それらの成果は秘伝化、若しくは希少スキルに関するものだと技術が途絶えるなどして後世に広まることは無かった。
そもそも魔法なんて千差万別の存在を教える事自体が珍しい。
だからこそ、僕は自分のスキルの新しい使い方を研究する!
........
「もう組み合わせ的にはこれで限界か?」
光のサーベルや炎のジャグリングピン、指令誘導矢など色々なものを試したが、満足の行く成果は一握りだ。
やはり、スキルを増やすのが肝心なのだろう。
いや待て、まだ"あれ"をやってないな....!
.........
「ねぇ、私の剣で何するの?」
「僕だって大剣を使ってみたいって思うことがあるんだ。」
せっかく異世界に来たんだ、大剣ぐらい使わないとな!
―彼はローズの大剣を借りて、ある戦法を試すために街外れの草原に来ていた。
「でも、まずは普通の剣からの方が良いんじゃない?
私の剣って結構長めだから、短刀メインのあなたには扱いにくいと思う....んむ!」
―彼は何時ぞやの時と同様に彼女の唇をキザに抑える。
..........
確かに、かなりサイズの大きい類だとは思うが、それでこそ試し甲斐があると言うもの!
「グラヴィティコントロール!」
―彼は魔法を使うと同時に剣に魔力を流し込む。
すると....
「おお、剣が動い....ッ、うわッ!」
―彼の魔力で満たされた剣はスキルの効果によって動き始めたが....少々効果が強過ぎた様で彼は制御しきれず、反対に剣に振り飛ばされてしまった。
「うッ、強くし過ぎたみたいだな.....」
ちょっと腕が痛むが....まぁ、大丈夫だろう。
「ちょっと、大丈夫? ――だから言ったのに....」
「それでも...ん?」
―今度は逆にローズが彼の唇を指で抑える。
「"それでもロマンには勝てないんだ"....でしょ?」
「凄いな....その通りだ。」
まさかローズに言い当てられるとは....
―彼は素直に感心していた。
彼女が自分で事を起こしておいて頬を紅潮させている事にも気付かずに.....
ep.エルフの体
エルフの体とは便利なものだ。
身体能力が優れているのに加えて、僕が全くの世間知らずである理由付けにもなる。
だが、当然不思議なこともあり.....
「あれ? ――あなたの耳....なんか短くなってない?」
「えっ? 何かの見間違いじゃない?」
―彼はそう言いつつも耳を触ってみるが...
あれ? 本当だ....短くなってる...
「本当だ.....やっぱり自分のことだと気付けないな。」
今までこんなことなかったと思うけどな....
いや、気づかなかっただけか?
だがこの体には散々驚かされてきたからな、もうこの程度では驚くまい.....
「エルフは個人ごとに特徴があるって聞くから、フレッドの場合は耳が変化するってこと?」
「そうかもな....」
そう言えば、そろそろ冬が近いな....
耳からの熱の放出を防ぐためだったりするのか?
「思い返してみれば、段々と短くなっていったような気もするわね.....」
「特に問題は無さそうだから大丈夫だよ。
そんなことよりもこの依頼なんてどう?」
「バイティングバニーの捕獲、一匹につき25ゴールド.....良いわね、これにしましょ!」
「それなら、まずは耳から手を放してくれない?
動けないんだけど....」
ー彼女はフレッドの耳を撫でる様に触っている。
「エルフの耳を触ると幸運が訪れるって、言うでしょ?
なら、ちょっとぐらい良いじゃない。」
そんな迷信があるのか?
でもローズも喜んでるし....少しだけだったら良いか...
ーしかし、その後も彼女は中々放してくれなかったそうだ。
ep.ローズの悩み
「うーん...」
―ローズは彼女の宿にて、何やら唸り声を上げていた。
「どうかした? あっ、飲み物は何にする?」
「ワイン....うんん、やっぱりビールにする。」
「分かった。」
―彼女はいつもフレッドと一緒に夕食を取る、もとい夕食を作らせているので、もはや状況の説明は不要だろう。
.........
「それじゃあ、召し上がれ!」
「美味しそう!って言いたいところだけど....温かい料理は?」
パンに、バターに、レバーヴルスト...チーズに、ザワークラウトに、ラディッシュ....温かい料理はどこに行ったのかしら?
「僕も今日は疲れてるんだ....今日ぐらい簡単に...というか、これが普通の冒険者の食事じゃない?」
まぁ、確かに今日の依頼は大変だったわね...
でも...
「これくらいなら、私一人でも作れるわよ...
はぁ....でもありがとう、疲れてるのに作ってくれて。」
「それはどういたしまして。 ―そうだ、さっきため息ついてたけど、何か悩み事?」
悩み事っていうか...困り事っていうか...
「ほら、私結構髪も伸びてきたじゃない? ちょっと重くて肩が凝るのよ。」
「確かに....出会った時は肩の辺りまでしかなかったのに、今は腰まで届きそうだ。」
そう言えばそうだったわね....これもあなたとの付き合いの長さってことかな?
「"ヒール"を使うと新陳代謝が促進されるのか...?
いや、そもそもこの世界に合わせて考えないと...」
はぁ...あなたったら、ちょっと目を放すとすぐブツブツと...
もっと私にかまってくれれば良いのに....
「そう言うフレッドは髪の毛、あんまり伸びないのね...?」
エルフって、もっとすぐ長くなるイメージだったけど...
「あぁ、これ? すぐ伸びるから、床屋で切ってもらってるだけだよ。昔、森で生活してた時は頑張って自分で切ってたけんだどね。」
「へぇ....」
「2週間ごとに行ってるから、結構出費が痛いんだ...」
「そんなに行ってるのね....私が切ってあげようか?」
「ローズに切られるのは....なんか頭ごと切られそうだから遠慮しとくよ。」
む、失礼ね。 私だって髪を切るぐらい.....やっぱり怖いかも...
「そんなことよりも、髪ってそんなに重くなるものかな?」
「あなたもエルフなら、伸ばしてみたら?」
「そう言われると....大変そうだ。」
「本当はこのまま伸ばしたいんだけど、これじゃあ剣の邪魔になっちゃうのよね....」
「なら、早く切るしかないね。」
「そうなんだけど....まぁ、良いわ。 あっ、そこのパン取ってくれない?」
「うん...どうぞ!」
........
ちょっと気になるけど....この髪も、あなたと刻んだ時間だと考えると.....
―彼女の悩みはまた別の方向へと変わるのだった。




