第33話 スタンピード - Ⅳ
ダンジョン内に侵入すると、そこはモンスターの大群と
その死骸が行く手を阻んでいた。
ダンジョン内には様々な道....というか穴が存在するのだが、
このコースは何故か絶えることのない松明で薄暗く照らさ
れているため、ランタンなしで周囲を把握出来る。
おそらく、先行した冒険者達は先に進むことを重視して、
ここのモンスターは無視したのだろう。
.................
―2人はモンスターから隠れるために岩陰に入った。
「コボルト......コボルトスター.......ゴブリン......
何かのパニック映画みたいだ...」
「パニック映画? 映画は知ってるけど、ニュースとか
淡い恋愛とかを観るものじゃないの?」
おっと、ついうっかり....
というか、もう映画自体は発明されてるのか...
まぁ、原始的なゴブリンから蒸気機関まである世界だ、
それくらい何もおかしくはない。
................
「ローズはあとどれくらい魔力、持ちそう?」
「まだ、全然大丈夫よ。」
「なら、ここはローズが倒した方が早いか?
........
いや、やっぱりここは僕が行ってくる。
出来るだけ魔力の消耗は避けたいからな。」
ローズは剣を振るうにしても魔力が必要だからな......
今は魔力を温存した方が得策だろう。
..................
最近は、ローズが倒してるばっかりで良いところ
見せられてないからな.....ここで秘技を使う!
―ヒュンッ.......コボルトスターの額を矢が貫く。
勿論、その矢を放ったのはフレッドだ。
しかし、即座に次の矢が放たれるかと思われたが、その矢を放った彼の手に、次の矢は用意されていなかった。
「フレッド? 早く次の矢を....んむ!」
―2発目を急かすローズの口をフレッドが人差指で抑える。
ちょっとキザな感じだが、まぁいいだろう。
ここまで格好付けて失敗とかは恥ずかしいからな、
気を付けて挑まねば.....
………
―フレッドがそんなことを考えている間もローズが顔を紅潮
させていたことは、言うまでもない。
...............
「大丈夫、ここからが本番さ。」
―その言葉と同時に、決して一直線上に位置していた
わけではなかった魔物達が全て矢で貫かれ絶命する。
「えっ? 矢が勝手に動いた?」
「これぞ我が秘技......."ストリングメテオ"ッだ!」
ストリングメテオ....操られた流星はその軌道を穿つ。
技名は思いつきだから、次また撃つ機会があったら
別の名をつけてるかも......
「矢の軌道が変わった...
もしかして、グラヴィティコントロールを使った技?
そういえば毎日何か練習してるなぁ、って思ってたけど、
これのためだったの?」
「ローズに出会う前に挑戦したことがあったんだけど、
その時は上手く行かなかったから....」
あの時は失敗して悔しかったし、何より後でエリーカに見られていたことを知ってからはもっと恥ずかしかった。
だから日頃練習を重ねていたのだ。
..................
「さあ、早く奥に行こう。
他の人達も先に進んでいる筈だ。」
「ふふっ...ええ、行きましょう!」




