第30話 スタンピード - Ⅰ
一言にスタンピードと言っても、その中身は多様だ。
中には冒険者ですらない普通の農民が制圧したもの
もあれば、都市がそのまま崩壊した例もある。
実際に十四年前、スタンピードによって世界の都と
言われていたマークスタットという街はスタンピード
により崩壊、街は封鎖され原則立ち入り禁止になった
らしい。
今回のスタンピードは中規模なものと推測されているため、十分エールに対して脅威に成り得る出来事だ。
そのため、冒険者を除く市民は大半が避難した。
「市場にすら人がいないわね。」
「.....むしろ、市場だからこそいないんじゃない?」
「本当にどうなっちゃうのかしら?」
「無事に終われば良いんだけどな......」
そんな声もちらほらとしか聞こえない程、昨日まで
活気に溢れていた街は閑散としている。
こんな状況であれば、普通もっと緊張感が流れるはず
なのだが....
「スタンピードを抑えるのはこの俺だ!」
「ふっ、この力とくとその目に焼き付けよ!」
「我が血が疼き、その奔流が暴走する.....」
この様に名を立てたい冒険者にとっては活躍の場でもあるので、かなり興奮している者もいる。
最後の言葉、格好良いな....
"血が疼き、その奔流が暴走する"......完全に記憶した。
...................
その数日後、冒険者はギルドに招集された。
そして、再びのギルドマスターからの言葉だ。
「スタンピードの発生を確認した。
第一陣の到達まであと1時間程度...
討伐隊が来る前に方を付ける。
冒険者の威信にかけて.....抜かるなよ。」
ギルドマスターはその言葉だけを残して去ってしまった。
...............
最後の"抜かるなよ"って時、何をどうすればあんな
威圧感を出せるんだ?
お陰で腰が抜けそうだった。
だが、その言葉に多くの冒険者が熱気を帯びる。
「ふん、討伐隊様の面を拝むのが楽しみだ。」
「お貴族様が来る頃には.....ふっ、結果が楽しみだ」




